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愛知県に本社を構え、約80年間木製の家具づくりに取り組んできた、カリモク家具。
森林の循環まで考えて木材を利活用し、職人の自慢の技術で高品質な家具を生み出してきました。
より多くの人との接点をつくりたいと、2021年から運営している場が「Karimoku Commons(カリモク コモンズ)」です。
今回は、東京と京都、それぞれの拠点で働くスタッフを募集します。ギャラリーやショールームでの運営、接客を担いながら、イベントや展示の企画運営、開発などに幅広く関わります。
あわせて、東京のスタッフが担うのが、昨年近所に生まれた「KARIMOKU RESEARCH CENTER(カリモクリサーチセンター)」の運営。こちらは、家具づくりで培った技術を伝え、企業やクリエイターとの新たなつながりや共創を生み出すことを目的としています。
いずれの拠点も、カリモク家具のこれからの可能性を広げる実験の場。変化に柔軟に対応しながら、正解のない取り組みを楽しめる人を求めています。
表参道駅から、歩いて15分ほど。根津美術館を通り過ぎ、あたりが静かな住宅街になったころ、Karimoku Commons Tokyoに到着する。
1階はアートなどを展示するギャラリー、2階と3階は家具のショールーム兼スタッフのオフィススペース。
迎えてくれたのは、金子さん。空港のグランドスタッフを経て、2022年に入社した方。ここでの接客に加えて、PRとしてプレス対応なども担っている。
「このカラフルなソファは『Karimoku New Standard』というブランドのアイテムです。ここで展示するようになってから、より多くの方にこのブランドを知ってもらえるようになりました」
「わたしが入社してからの2年半でも、家具を検討されるお客さまや1階のギャラリーを目的に初めていらっしゃる方がすごく増えた印象です」
Karimoku Commonsプロジェクトがスタートして4年。社内でもまったくの新しい取り組みだったところから、少しずつ認知が広まってきた。
スタッフはふだん、ショールームの一角で仕事をしていて、お客さんがやってきたら声をかけ、会話が始まる。お客さんは自由に出入りでき、気軽に家具に触れながら、カリモク家具のある暮らしを体験できる。
「入社する前に読んだ日本仕事百貨の記事では、『正解がない』『前例がない』と何度も書かれていました。でも、前職ではルールがあるのが当たり前。正解がないってどういうことか、想像がつかなかったんです」
「たとえば、プレスリリースにはフォーマットがあると思っていたし、企画の提案もどう進めていくか、すでにプロセスがあると思っていたけれど…いい意味でどれも設けられてなかったんですよね(笑)。やり方が決まっていないことは、最初の壁でした」
そんななか、昨年は1階のギャラリーで一から写真展を企画したという金子さん。
どうして写真展を?
「わたしには、ものづくりの経験はありません。でも、お気に入りの家具との暮らしは豊かな気持ちになるし、人生にもいい影響があるとずっと思っていて」
「カリモク家具の職人さんたちは、みなさん真摯に丁寧に家具づくりに向き合っています。そうやってつくられた家具があることで、きっともっと暮らしを愛おしく感じられると思う。カリモク家具をもっと広く知ってもらうために、新しいタッチポイントをつくりたかったんです」
とくに、自分と同世代の人たちにもっと届けていきたい。
写真を見るのが好きな金子さん。家具を主役に据えた写真があったらおもしろいのでは、とアイデアが浮かんだ。
「写真などのカルチャーが好きな人って、身の回りのものにもこだわりを持つイメージがあるので、家具のよさにも共感してくれるんじゃないかなって」
「ただ、やりたいとは言ったものの、企画の提案も初めてだし、社内に写真展をやった前例もない。必要な座組みもわからないなか、自分が中心となって進めることに何度も心が折れかけました」
アイテムの選定とディレクションは、Karimoku Commons Tokyoのスタイリングを手がけてもらったご縁で、インテリアスタイリストの作原文子さんに依頼。
3名の写真家とクリエイティブチームをアサインしてもらい、家具を主役にした写真作品を制作し、10日間にわたって展示した。
開催を記念して、限定カラーのスツールも製作。金子さんは、工場との連携も初めての経験だった。
「展示を見てもらうだけで終わらせず、きちんと次のアクションにつなげる、という課題もあって。営業スタッフを巻き込み、クライアントであるインテリアコーディネーターさんに向けた朝食イベントも実施しました」
「カリモク家具のイメージが『実家にある家具』というような、昔のままで止まっている方も多いのが現状。作原さんから直接、家具と空間スタイリングのポイントなどをお話しいただきながら、ここで時間を過ごすとどんな気持ちになるのか体験してもらいました」
陽の光が気持ちいい午前中、館内ツアーのあとに、ケーキとコーヒーを楽しみながら、暮らすように家具を使ってもらう。そんなイベントは、即日予約が埋まるほどの盛況だったそう。
「自分も成長できた経験でしたし、この場にもいい影響があったんじゃないかな。一から形にする大変さはあったけれど、途中で投げ出すのはいやだったので、みんなの力を借りてやり切ることができました」
「ここで一緒に働くなら、正解がないことをおもしろがれたり、人との出会いを楽しめる人がいいですね。得意を活かしてお互いに手を取り合いながら、いろんな取り組みをしていけたらと思います」
隣で話を聞いていたのが、Karimoku Commonsの立ち上げから関わっている中内さん。
「この写真展のような企画や、企業とのコラボレーションがすごく増えていて。一方で、新たなアイデアを生むために、リアルな場での接客や対話も大切にしたい。どちらにもしっかり向き合っていくため、今回増員することになりました」
今は、東京が6人、京都は4人の運営体制。中内さんのように、愛知本社を拠点とするメンバーが出張で訪れることもあるそう。
東京にあるもうひとつの拠点が、KARIMOKU RESEARCH CENTER(カリモクリサーチセンター)。昨年10月に生まれたばかりで、Karimoku Commons Tokyoから歩いて数分のところにある。
家具のある空間を通じてに「カリモク家具のある暮らし」を提案する場がKarimoku Commonsだとしたら、こちらは家具づくりで培ってきた技術見本やマテリアルを通じて「カリモク家具ができること」を提案する場。
ここを語るのに欠かせないのが、愛知の工場の存在だという。
「工場をご案内すると、みなさんすごく感動してくれるんですよ」
「朝から夕方までかけても、すべて見られない規模。木材それぞれの個性や、それを活かす職人の加工技術が詰まっていて。お連れしたクリエイターさんが、取り除かれた木の節やファブリックの端材を喜んで持って帰ったりするんです」
自分たちが当たり前に続けてきたものづくりのなかに、新たなクリエイティブの種が眠っているかもしれない。
愛知の工場まで来られない人たちにも、カリモク家具の技術に触れてもらい、まだ見ぬ新たな価値に変えていきたい。そんな想いがKARIMOKU RESEARCH CENTERに込められている。
「大通りに面しているので、通りがかりにふらっと入られる方も多いんですよ」
そう教えてくれたのは、日本仕事百貨の記事をきっかけに昨年入社した小川さん。
入社直後からこの場の立ち上げに関わり、オープン後も展示内容の企画や準備などを担ってきた。
「カリモク家具の名前を知らない方でも興味を持ってくださって、そのままKarimoku Commons Tokyoにご案内することもあります。ブランドを知ってもらう機会がどんどん増えているのがわかりますね」
KARIMOKU RESEARCH CENTERの2階にある「THE MATERIALS LAB」では、工場で扱うさまざまな素材や技術の断片に触れることができる。
試験段階の色見本やプロトタイプ、ムラのない金属メタリック塗装が施された木材サンプル、そのままではチップ材になってしまうような端材を活かす技術の展示など。
「工場から急に展示用のサンプルが届くんですけど、パッと見て何に使うかわからないものも多くて。宝探しのような、プレゼントを開けるような、ワクワクした気持ちになる。いつも受け取ってから『これなんですか?』って電話で確認しています(笑)」
ほかの階には、イベントなどに使用できる多目的スペース「THE STUDY」や、アーティストなどとのコラボレーションを展示する「THE ARCHIVE」などがある。
このときは、ロサンゼルスのデザインスタジオ「WAKA WAKA」とコラボレーションした家具が展示されていた。
「漆塗りのように見える、グロス感のある塗装が特徴の家具なんです」
「この技術って専用の機械が必要で、手間のかかる高度なもの。でも今はマットな家具が人気なので、求められることが減っています。この技術をうまく活用・提案して、絶やさないようにすることも、カリモク家具の使命だと思っています」
以前は、空間設計やインテリアデザインの仕事をしていた小川さん。
Karimoku Commons Tokyoにも訪れたことがあった。
「どんな人たちが運営しているんだろうと思っていました。パソコンで作業をしている人もいれば、接客している人もいるのが、すごく不思議で」
「たまたま日本仕事百貨を見たときに、ここの募集が載っていて、見覚えのある場所だ!って。人と話すのが好きだし、これまでの経験や知識を活かせたらと思って応募しました。いろんなものを混ぜ込んだ価値を発信していくのもおもしろそうだなって」
現在小川さんは、企業とのコラボレーションによる製品開発を進めている。
オープン直後に訪れてくれたそうで、KARIMOKU RESEARCH CENTERを通じて生まれた最初の新規案件。
「この空間は、建具やスピーカーの木箱も自社でつくっていて。それを見て、『家具だけでなく、なんでもつくれるんですね』と驚いてくださったんです。なにか一緒にできたら、とお話していたところ、後日プレゼン資料を持参してくださって」
「デザインや価格設定にあわせて、適した木材を提案して。今はどんなつくり方で実現するか、詰めているところです。立ち上げから関わった場で案件が生まれて、やっとひとつ形にできた、という気持ちですね」
接点を生み出してほかの事業部につなぐのではなく、プロジェクトの進行まで担当することに、少し驚く。
工場とクライアントのあいだに立ち、最適なものづくりを考える。プロジェクトマネジメントやさまざまな調整も仕事に含まれるし、法人営業のような側面もありそう。
出会いときっかけから事業を形にするところまで。トータルで関わることにやりがいを感じられる人には、とてもおもしろい仕事だと思う。
「ここで働きはじめてから、わたしは毎朝起きるのが楽しくて。今日はなにができるだろう、どんな人と話ができるだろうって、ふつふつと湧いてくる気持ちがあるんです」
「スタッフにもいろんなバックグラウンドの人がいて、話し合うことで新たな視点が得られる。新しく入る人は、インテリアの知識はなくてもいいのかなと思います。これまで培ってきたいろんな経験を、この場でやりとりしていけたらいいですね」
新たな可能性を追求する、カリモク家具の挑戦の場。働く人たちにとっても、日々刺激のある環境だと思います。
ここでの毎日にワクワクできそうだと感じたら、ともにこの場を大きく育てる仲間になってください。
(2025/02/18取材 増田早紀)