コラム

“食べる側も責任をもって食べ物をいただく。それがどういうことなのか伝えていきたいと考えていた。”

「神山の味」をつなぐ 』 より
フードハブ・プロジェクト 料理長 細井恵子さんの言葉

コラム「大切にしたいことばたち」では、いろいろな人が大切にしたいと思っている言葉を紹介しています。

今回大切な言葉を教えてくれた笹川さんは、日本仕事百貨の求人記事を読んだことをきっかけに、フードハブ・プロジェクトで働いています。「『神山の日常』になる」という記事を読んでから、今にいたるまでの様子を聞かせてくれました。

パン屋という職業について10年が経ち、自分のお店を持つことを真剣に考えている時期でした。

東京にはたくさんのおいしいパン屋さんがあり巷では空前のパンブーム!!誰かの言った「おいしい」にみんなが同じ方向を向き、好きだからではなく話題になっているというだけで食べるものを選ぶ。というのをつくる側からみてきました。

情報を発信している人たちが伝えたいのは「おいしい」はもちろんですが、その向こう側の生産者さんやつくり手の想い。どうしてその「もの」を作るのか?その理由を伝えたいから発信しているのに、受け取る側の考え方で全く違う捉え方をしてしまいます。

自分の判断で買うものを選んでもらいたい。私は世の中の流れに違和感を感じながら自分の店を立ち上げ、続けることが出来るのかと悩みました。

そして、自分のなかで浮かんだのは「パン+α」で伝えることで解決できるのではいうことでした。たとえばパン+マッサージなど、パンだけでは無理でも+αで特徴をつける。そうすることで自分で選んで来てもらう。そんな場所ができることで、世の中に問いかけることが出来るのでは?

そんなことを考えていたときに知り合いから教えてもらったのが、日本仕事百貨で紹介されていたフードハブ・プロジエクトの求人でした。

そこにはパンをつくる目的や必要性などが書かれており、記事を読んだときの衝撃は今までにない興奮がありました。パンのつくり手が必要なのではなく農業の担い手が必要。そのためにパンがあることは神山の日常になる……。

記事のことばを読んで何故か、一緒に働く仲間やパンを食べてくれる人の顔が見えた気がします。パンと農業だけではなく、さまざまなことが一緒に動き出すことに興味を持ち、神山に行くことを決めました。

神山にきて一年半たった今、やっと自分たちの日常の生活ができあがって来た気がします。パンをつくるだけではなく、地元の人との関係や関わり方も大事な仕事のひとつですが、それも暮らし方のひとつなのかもしれないと思います。

かまパンが神山の日常になるために、神山の農業を守るためにもパンをつくっていきたいと思います。

フードハブ・プロジェクト かまパン&ストア
パン製造責任者 笹川大輔さん

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