第5回「いい予感のする場所で暮らす」

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こんにちは。日本仕事百貨のナカムラケンタです。

前回に引き続き、九州ちくごへの移住している方を訪ねています。いよいよ今回は最後の方です。同じ福岡県内から移住して「テカラ」という雑貨屋さんをはじめた川口さん夫婦のお話です。

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前日に宿泊した久留米のホテルを出て、駅前で九州ちくご元気計画の小嶋さんに拾ってもらう。今日はまた筑後川をさかのぼって、上流にある「うきは」に向かいます。

今日も昨日と違う道。いろんな裏道があるんだな。さすが、こちらが地元の小嶋さん。しばらくすると途中で道を曲がって、耳納連山を登るように進んでいく。到着したのは約束の時間より20分も前。

何かに吸い寄せられるように、テカラの駐車場に車を停めて、徒歩で山を登っていくことにした。次第に民家はなくなって、果樹園もなくなって、森の中に入り、少しずつ道も険しくなっていく。

振り返れば筑紫平野が見渡せた。田んぼと民家。真ん中には筑後川が流れている。

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朝から安らかな気持ちになって、来た道を戻ってテカラへ。川口さん夫妻に挨拶をして、店内に入るとゆったりとしたスペースに商品が置かれていた。お皿や雑貨が並んでいて、しばらく見て回る。

「買ってください」というような強い主張はまったく感じないのだけれども、どれもお気に入りのものを集めているのだろうな。背伸びせず、のびのびとしている感じ。

縁側近くでお話を聞いてみました。

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―もともとどちらにいらっしゃったんですか。

川口竜也さん(以下竜也さん) ふたりとも映像会社に勤めていたんですよ。そこで出会ったというわけではないけれど。仕事が大変で、深夜まで働くこともありました。それでこれは自分たちが求めている生き方とは違うな、慌ただしい生活に囲まれて、なんかおかしいな、って思うようになって。

そしたらうちの奥さんがお店やりたいと。もっとゆっくり暮らしたいと。もう一度自分たちがやりたい生活を考えてみたいって。

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―地元はどちらなんですか?

竜也さん ぼくは柳川です。

川口美香さん(以下、美香さん) 私は黒木町です。

―近いですね。同じちくご。

竜也さん そうなんです。それで奥さんが先に仕事を辞めて、ぼくもフリーになった。はじめはお店を出す場所なんて考えてなかったんですよ。

―探しはじめたのはどれくらい前なんですか。

竜也さん 5,6年前の話。それから開所に1年近くかかったから…。なかなか良い物件が見つからなくて。自分たちは古い家が好きだったけど、不動産屋に行ってもきれいにリフォームされたものばかり。自分たちがほしい情報が見つからなくてけっこう難航しました。

何かの雑誌を見て、うきはを知って、息抜きに遊びに行こうか、って話になって。そのときすごく気に入った。いい街だね、って。

―どんなところが?

美香さん 時間の流れが違うような感じがして。

―時間の流れ。

美香さん 白壁通りを歩きました。そしたらきれいな川が流れてて、そのときは夏だったんです。

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美香さん 川で子供たちが遊んでいて、ただの通りがかりの私たちに「こんにちは!」と声をかけてくれたのがすごい印象的で。ここに住みたいな、って。

竜也さん 直観ですね、直観。何かが良いというわけではなく、雰囲気としか言いようがない。あとは人柄だったりね。

それまで、うきはという町を本当に知らなかった。寄ったこともないし。大分へ行くときに通ったことがあるぐらい。

―物件はすぐに見つかりましたか?

竜也さん 見つからなかったね。

美香さん けっこう色んな不動産屋さんを巡りました。古い物件で、土地があって、畑仕事ができる場所を探していました。しかもお店がやりたいというと、不動産屋さんにうまくイメージが伝わらなくて。

古い物件と言っても「古いのは安いと思ってるんでしょ?」って言われたり。そうじゃなくてその雰囲気が好きだから古いのを探してると言っても、なかなか伝わらない。そんなときに、白壁通りに“のらやさん”という古道具屋があって。そこのオーナーさんが外で作業してて、何気なく声をかけて… いや、声かけられたんだったかな。

「物件探してるんですよ」って話になったら不動産屋さんを紹介してくれて。そこの不動産屋さんがすごくわかる方で。私たちの希望をよく理解してくださって、見つけてくれたのがここなんです。

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美香さん もともとはおじいちゃんとおばあちゃんが暮らしてて、そのあと借家になっていたそうです。その借家が空き物件になって7、8年経ってる状態で、たまたま手放したい、と考えていたときだったそうです。

―購入されたんですか?

美香さん はい。

竜也さん 買ったほうが好き勝手できるし。

―この地域の相場ってあるんですか?

竜也さん ピンキリですよ。白壁通りだったらたぶん何千万。山手に行くほど値段は安くなるらしいです。

美香さん 山奥に行くと、1,000坪くらいあって3、4百万円くらいだそうですよ。

竜也さん 賃貸だと、通常3~4万円くらい。稀に1万円程の物件もあるって感じです。通常3~4万っていうのもちゃんとした平均ではなく僕らのまわりの方々から聞いた数字なので信憑性はないかもしれないですけど。白壁通りの店舗の物件だと10万円とか。

―購入してから改装したんですよね。

竜也さん 買った当時は本当にボロボロ。すべて雨戸が閉まった状態で。畳もカビ防止のために全部八の字に立てかけてあったんです。だから買ったときには反ってしまって、使えない。シロアリもすごかったですね。柱とかボロボロ… そういうのは大工さんにすべてやりかえてもらって。

美香さん 根太とかは張ってもらって、一緒につくりました。床板張ったり、壁塗ったりは自分たちで。

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竜也さん 大工さんに教わりながら、YouTubeも見ながら。(笑)今はネットがあるんでやり方はわかる。ただ、いざ手を動かす、ってなるとわからないところもあって… 田舎に暮らすっていうのはそういう技術を身につけてくことなのかな。家も自分たちで直していったり。昔の方々はそうやって家を守ってきたんじゃないか。

普通改装するとなると、お店でも2、3ヶ月ぐらいで工事は終わると思うんですけど。うちは8か月以上はかかってる。今思えば、時間がもったいなかったな。その間、収入もゼロになるわけだし。でも自分たちでやった分、愛着はあるし、そこから話題が広がることもある。建物を見にいらっしゃるお客さんもいますし。

美香さん 床板もこだわったんですよ。実家の黒木町の杉の木を切り出してもらって、幅はこれぐらいがいい、厚みはこれぐらいがいいって指定して加工してもらった。

竜也さん 床板とかも最初は難しかった。1枚打つだけでも。家が歪んでいるんですよね。だからまっすぐ切っても隙間ができたりするんです。

美香さん 仕上げに液体せっけんを塗ったんですよ。北欧のほうでは普通に固形石鹸を塗りつけて仕上げるらしいです。無垢材よりも手触りがさらっとして、やわらかくなる。

竜也さん 塗ってから裸足が好きになりました。冬でも裸足ですよ。

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改装もできて、いよいよお店をオープンすることになった川口さんたち。どんな暮らしがはじまるのでしょうか。後半に続きます。

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ちくごを歩いて感じたこと、そして日本中で出会った生き方・働き方を共有する時間を福岡でつくることになりました。もし地域で働くことに興味がある方がいらっしゃったらぜひいらしてください。参加者同士が出会い、話をする時間もあります。

1月13日(祝・月)福岡天神にて開催「いま、ローカルで働く」

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1日時
 平成26年1月13日(月曜日・祝日) 14時~17時(13時半受付開始)

2会場
 アクロス福岡 円形ホール(福岡市中央区天神1丁目1番1号)

3入場料
 無料 ※事前の参加申込が必要です。

4定員
 100名

5内容
 第1部 講演  14時~15時
 『テーマ:生きるように働くということ』
 講師;ナカムラケンタ氏((株)シゴトヒト代表取締役)

 第2部 パネルディスカッション 15時10分 ~ 16時10分
 『テーマ:ローカルで働く・暮らす』
 ファシリテーター;江副直樹氏(ブンボ(株)代表取締役)
 パネラー;ナカムラケンタ氏 他  

 第3部 みんなのローカル談義 16時20分~17時
 『テーマ:ローカルの現実を知る/リアル田舎暮らし大解剖』

6参加方法
 【インターネット】
 下記入力フォームにお進みください。
 申込画面

 【ファックス】
 FAX申込フォームに記載のうえ、FAX 092-643-3164筑後田園都市推進評議会事務局(福岡県広域地域振興課)までお送りください。
 FAX申込フォーム
 ※電話・Email等での参加申込は出来ません。

7応募締切
 平成26年1月10日(金) 17時まで

8お問い合わせ
 筑後田園都市推進評議会事務局 (福岡県広域地域振興課)
 電話:092-643-3177
 FAX:092-643-3164
 Eメール:koiki@pref.fukuoka.lg.jp