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ナンデ?ナンデ?さんの
からだに優しい生活

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

たとえば、今自分が身につけている服。

買ったときの価格や素材は知っている。つくっているメーカーの名前や、売っていた店のことも知っている。

では、その生地はどこでつくられたのだろう。お店から家まで持ち帰るまで、どんな包装がされていただろう。

そのゴミを、自分はどうやって捨てただろう。

一人ひとりが、小さな疑問をそのままにしないことで、産業を取り巻く状況や、自然環境さえ、少しずつ変えていけるのかもしれません。

今回紹介するのは、そんなふうに「知りたい」という探究心を活かせる仕事。

株式会社グリーンオーナーズ会議は、会員制宅配サービスを通して、人や環境に優しい衣服や生活雑貨の卸販売をしている会社です。ここで製品の魅力を伝えるカタログの制作担当と、製品の仕入れ担当の2名を募集します。


グリーンオーナーズ会議の事務所は、九段下、市ヶ谷、半蔵門という3つの駅のちょうど真ん中あたりにある。

今回は九段下駅から靖国神社のほうへ、並木に桜の蕾を見つけながら歩いていく。

10分ほどすぎたところにあるビルの8Fへ。

事務所でまず話を聞いたのは常務取締役のバイデュラス未菜子さん。明るくて、とてもサバサバしている方。

「グリーンオーナーズ会議が発足したのは今から20年ほど前。私が働きはじめてから13年のあいだにも、環境問題に対する世の中の意識は大きく変わってきましたね」

20年前は環境に配慮した製品は国内にほとんどなく、輸入製品も見た目や使い心地に難があるなど、エコプロダクトの分野は発展途上だったそう。

安全なものづくりを追求するグリーンオーナーズ会議の姿勢に、メーカー側が戸惑うことも多かった。

「わたしたちは本当にわかるまで聞くので。工場の設備とか、ゴミとか、排水まで根掘り葉掘り聞いていると、粗探しだと思われてしまうこともあって。それを思うと、今はメーカーとのコミュニケーションもかなりスムーズですね」

製品に使う原料のことだけでなく、包装の仕方や素材まで。

メーカーだけでわからないときは、原料の販売元に問い合わせてもらうこともある。

そんな手間を厭わず、メーカーが対応してくれるのはどうしてだろう。

「一方的に上からものを言うのではなくて、ものづくりの苦労を分かったうえで、生産しやすいように企画を考えていく。だからこそ、本当に困ったときにメーカーさんが助けてくれるんです」

お互いに信頼しあえるからこそ、本当のことを話してもらえる。

輸入に携わる会社からは、日本ではあまり知られていない安全基準について教えてもらうこともある。

「ある原料の危険性がわかっても、使用禁止になったことがニュースになったりしないじゃないですか。だけど、消費者にとってはすごく大切なこと。なぜ禁止なのか、何が危険なのか、そういう“原理”を知りたいっていう気持ちが大切だと思うんです」

原理ですか。

「流通の面でもそう。発注した翌日に商品が届いたり、原価を割るようなセールがあったり。それを実現するためにメーカーはどんな負担やロスを抱えているんだろうとか。そういうことまで意識できる人が増えたらいいですよね」

環境に優しい製品というと、素材や品質のほうに意識が向きがちだったけど、つくり手の負担をなくすことも、環境負荷の少ない産業活動を支持することにつながる。

たとえばオーガニックコットンは、身につける消費者だけのためではなく、農業に従事する生産者の健康を守るための取り組みともいえる。

「バランスだと思うんですよね。生産者のためっていう志だけでは買い続けられないから、やっぱりいいものをつくる必要があって。『無理してでも買わなきゃ』ってガチガチになることで、ハードルが上がっては意味がないと思うんです」

グリーンオーナーズ会議で扱う製品は、必ずしもオーガニックコットンや天然染料のような、ストレートに環境問題を意識したものばかりではない。

シルクの手触りや和紙の風合いなど、素材の特性をコンセプトにしたものも多い。

みなさんの考える「いい製品」ってどんな基準があるんでしょう。

「“環境”というと広義すぎて捉えにくいんですけど、私たちは“環境=健康”だと思うんです。原料にこだわることで、空気や水がきれいになって人は健康になるし、単純に触れて心地よい製品を選ぶっていうのも健康な生活の一部ですよね」

体を動かしやすい、温かいなどの機能性だけでなく、それがあることで気持ちが明るくなるというのも、心身ともに健やかであるために欠かせないこと。


うんうん、と頷きながら話を聞いていたのは営業担当の山田さん。

山田さんは営業だけでなく、カタログ制作や製品の仕入れも経験しているので、今回入る人にとってはいい相談相手になると思います。

まずはカタログ制作から、仕事の内容を聞いてみる。

「ひと月につくるカタログは平均25本くらい。季節感やクライアントのニーズを踏まえて、営業担当と一緒に企画を決めていきます」

お正月の大掃除やおもてなし道具などの季節に合わせた特集、今治タオルや藍染の製品など特色のあるつくり手の思いを紹介する号もある。

スペックや価格などの情報だけでなく、素材や生産者についてのエピソードも掲載されている。

「ただ、これは読み物ではなくてあくまでも販売ツール。かっこいい写真や、長い説明文を載せて誌面をつくり込むより、製品のことが手に取るようにわかるっていうのが大切なんです」

デザインや写真撮影は外部のプロに協力してもらえるので、デザインソフトを使いこなせなくても大丈夫。

基本的には、今まで発行してきたカタログを雛形に考えていけるので、初心者でも挑戦しやすいと思う。

「編集の経験者でなくても、ものに興味を持てることが大切ですね。この手ざわりはどうやって生み出しているんだろうとか、どんな人がつくっているんだろうとか」

はじめて製品に出会ったとき、目にとまったこと、魅力に感じたこと。それが紙面づくりの指針になっていく。

タオルの柔らかさを伝えるための写真の撮り方、色を選ぶ楽しさを感じさせるレイアウト。

消費者によりわかりやすく伝えるためには、まずは製品を知ろうとする姿勢が大切だと思う。

だからこそ、メーカーと直接やりとりをしていく仕入れ担当との連携も欠かせない。

「私は仕入れの仕事も兼務しているんですけど、つくり手さんと話すのは楽しいですよ。衣服やタオルだけじゃなくて、雑貨などいろんなジャンルの製品を扱うので、幅広い業界の人と出会えます」

メーカーさんとはどんな話をするんですか。

「このエプロンは検品がすごく丁寧だとか、縫い目がすごくフラットだとか、糸端の処理がすごくうまいとか。教えてもらったことに、一つひとつ『ほ〜っ!』って感心してますね。そういう細かいところにまで興味がないと、辛いかもしれない(笑)」

営業と仕入れを兼務するなど、日々忙しく働いている山田さん。マルチタスクで大変そうだけど、なんでも明るく笑って教えてくれる。


半年前に入社した吉見さんも、そんな会社の雰囲気が安心できると話してくれた。

「私は正社員として働くのはここがはじめてで。会社勤めってなんとなく人間関係が大変そうっていうイメージがあったんですけど、すごく和やかです」

吉見さんは以前から環境問題に関心があり、大学では環境土木の勉強をしていたという。

卒業後は、NGOで環境政策の仕事に関わっていた。

「アカデミックな領域にいると頭でっかちになって、一般の消費者の意識と離れていってしまう。もう少し、現場でものを見たいという気持ちがあったんです」

今は主にアシスタントとして、営業事務などに携わっている。

「製品写真の撮影に立ち会うこともあって。製品を試着させてもらったり、触ってみたりすることもあります」

吉見さんが実際に触れてみて、お気に入りになったというのがシルクの靴下。

中がパイル地になっていて、手を入れてみるとたしかに気持ちいい。

さらに構造にも秘密がある。

内側と外側の生地がずれないように編まれていて、長く使っていても足にフィットし続ける特長があるのだそう。

「まだそんなにたくさんの製品に触れているわけではないんですけど、実際に使ってみたりしながら、もののよさを理解していけるといいのかなと思います」

アシスタントとして資料の作成や受発注の手伝いを続けてきて、近々ある仕事を任されることになったという。

「物流担当をやってみないか、という話をもらっていて。在庫の管理とか、倉庫との連携といった仕事をすることになると思います」

少し遠慮がちに話していた吉見さん。それを見守っていたバイデュラスさんが、「そうそう」と続ける。

「吉見さんは、細かい気配りとか数字の管理がとても上手なんですよ。だから、一緒に在庫管理のシステムを考えてもらえたらなと思っていて」

実は今回のように、「仕入れ」など特定の担当者を募集したり、「物流」「営業」など専任の業務を割り当てたりすることは、会社としてはじめての試みなのだそう。

「今までずっと、みんなマルチタスクでやってきたんですけど、やっぱりそれぞれ得意分野があるし、適性を活かして長く働ける環境をつくっていきたいんです」

「私たちは、“エコ”に特化した製品を扱っていますが、仕事の内容は一般的な卸売り業と変わりません。納期や、在庫管理などそれぞれの日々の業務がきちんとできていないと、“いいもの”を届けることも難しいですから」

クライアントとのタッチポイントになる「営業」と、つくり手に寄り添う「仕入れ」、その思いを伝える「カタログ制作」。

それぞれが強みを活かしながら、三位一体となって業務に向き合える体制をつくっていく。

どの役割にも共通して求められることって何かありますか?

「やっぱり、つくり手さんに興味を持ってグイグイ聞いていくということですかね」

そうまとめたバイデュラスさんの言葉に、山田さんが「何でも知りたがる“ナンデナンデさん”がいいですよね」と付け足す。

「なんで?なんで?」と、なんでも聞きたがる小さい子のようで、かわいい言い回しだなあと思う。

大人になってから、わからなくても「まあいいか」「そこまで細かく聞いたら迷惑かな」と、そのままにしてしまっていたこと。

まずは些細な「?」にも、素直に真剣に目を向けてみることが、この仕事のスタートになるのかもしれません。

(2019/3/12 取材 高橋佑香子)
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