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遠くの親戚より、近くの他人。いざというときが来たら…!と頭で理解はしていても、素性がわからなければ“近くの他人”も心細い。
近所付き合いをはじめるきっかけさえあればなあ。
ドライなイメージもある都市のマンションライフには、そんなニーズがあるようです。
フォーシーカンパニーは、マンションや戸建て、ニュータウンなど、都市住民のコミュニティづくりを支援している会社。自治会や協議会の仕組みの整理や運営、イベントの企画運営のサポートを通じて、人と人をつなぐ仕事をしています。
東京と大阪、拠点は二ヶ所ですが、手掛ける案件は日本のいろんな地域に点在しているので、広域的にまちづくりに関われる。
今回はここでコミュニティコーディネーターとして働く人を募集します。現場の仕事からはじめて、ゆくゆくはマネジャーとして事業を担っていく、そんなキャリアを築いていける環境だと思います。
話を聞きに行ったのは大阪オフィス。堺筋本町駅から歩いて5分ほどのビルに、フォーシーカンパニーの事務所はある。
まず話を聞いたのは、代表の中澤さん。お会いしてすぐに、明るい空気をつくってくれた。
「今年6月から本社を東京に移してね。名古屋から西の案件は大阪、東は東京で担当しています」
フォーシーカンパニーの前身となる会社も含めると、中澤さんはかれこれ20年、地域コミュニティに関わる仕事を続けてきた。
ニュータウンなど、土地にルーツがない人同士でもつながりが生まれるように、自治会のサポートをしたり、知り合うきっかけになるようなイベントを企画したり。
過去には、マンション住民向けポータルサイトの開発を行うなど、先駆的な取り組みの実績も多い。
「僕らが子どものころは、こういう仕事がなくても近所付き合いが普通にあってね。コミュニティづくりが施策として必要とされるようになったのは、バブルのあとからかな」
マンションが乱立した80年代。地域とのつながりよりも、それぞれが自分の生活を豊かにしていく個の時代でもあった。
90年代に入ると、不況や災害が続き、豊かさに対する意識が変わってきた。
「たぶんみんな心細くなったんだよね。一人では生きていけないって。この仕事をしていると、みんな友だちになるきっかけを必要としているなと思います。それは、高級住宅街でも同じなんですよ」
中澤さんたちの役割は、住民同士が一緒に活動できる仕組みをつくること。イベントや清掃、緑化など、つながるきっかけとなる取り組みを企画する。
自治体によっては市民活動に助成金がおりる場合もあるので、そのまちで負担なく継続できるようデザインしていく。
「最初はこちらで準備をするんだけど、途中から活動を引っ張っていける人を住民のなかから探す。意外といるもんですよ。労を惜しまずにやってくれる、いい意味での『おせっかいさん』が。ゆくゆくは、その人たちを中心に自走できるようにしていくというのが肝なんです」
地域に人の輪が生まれると、それがまちのイメージにもなる。「あんな暮らしがしたい」と共感する人が増えれば、活動は自然と広がり、加速していく。
「ハードだけではまちづくりはできないんですよ。僕も昔はITとかいろんなツールを考えたんですけど、それでもダメ。やっぱり人が介在しないと、コミュニティは生まれないんですよね」
人が人をつなぐ。
今回募集するコーディネーターはまさにそのつながりを媒介する役割を担っていく。
「コーディネーターの好奇心や探究心も、コミュニティづくりに役立ちます。たとえばワインとかコーヒーとか、自分が好きなものでワークショップを企画してもいい。そのために研修などを受ける必要があるなら、会社として援助もしますよ」
「未経験でも、本気でまちづくりを目指す方はうちにきてほしい。中小企業で働くことは不安かもしれないけど、今うちで活躍している人は、大手企業でまちづくりに携わってきたけど現場でやりたいから転職したとか、そんな経歴の人もいますよ」
中途で入社する人が多いなか、学生時代にアルバイトからスタートしたというのが、現在マネジャーを務めている中塚さん。
「建築学科の大学院生だったんですけど、設計よりもコミュニティづくりに興味があって。週5でバイトしていたんです。学生でありながら、スーツを着てクライアントとの打ち合わせに出ていました」
中塚さんが学生時代から関わってきたというのが、JR塚口駅のそばにあるニュータウン。
大手菓子メーカーの工場跡地の再開発で、マンションと戸建、商業施設を含む大規模なまちづくりに関わることになった。
「商業施設の担当者とマンションの居住者、それぞれの代表を集めて協議会をつくることからはじまりました」
マンションだけでも1200戸という大規模なコミュニティなので、住民による自治のみで運営していくのはなかなか難しい。入居がスタートして4年目になる現在も、イベントなどは中塚さんたちが継続的にサポートしている。
「このコミュニティの場合は、居住者さんたちのほうが『あれもこれもやりたい!』って盛り上がりすぎて、我々がリミットをかけるくらい。いい感じの雰囲気が醸成されつつあるんですよね」
「たとえばお祭りとか、打ち合わせの時点では盛り上がって色々計画が膨らむんですけど、それを住民主体でやろうとするとたぶん疲弊しちゃう。やっぱり住民目線で考えるっていうことが大事ですね」
アルバイトからはじめて、現場のコーディネーター、マネジャーへとステップアップしてきた中塚さん。
今では複数の案件を掛け持ちしながら、俯瞰的な立場でプロジェクトに関わることが多くなった。
「表には見えない地味な部分もあるし、やっぱり人が好きな人に向いている仕事だと思います」
中塚さんは今の仕事につながる原体験として、学生時代の話をしてくれた。
当時住んでいたのは賃貸マンション。住民同士、廊下ですれ違っても挨拶がないことに違和感を覚え、自ら行動を起こした。
「ほかの住民に呼び掛けてうちでホームパーティをしたり、僕がいるときは部屋の鍵を開けておいて誰でも入れる共用リビングみたいにしたり。イベントのたびにマンション内で勝手にお知らせをポスティングしてたから、管理会社には何度か怒られましたね(笑)」
「今の仕事は、そのときの活動と地続きで。プライベートでもそういうコミュニティ活動は続けていますよ。今は長屋に住んでいるんですけど、おばあちゃんからポテトサラダとかをよくもらっています。台風のときはお互いに様子を気にかけたり、家に上がってもらってお茶を飲んだり」
人と人の間で、直接コミュニケーションをとりながらまちづくりに関われる。
その手触りだけでなく、広域に関われるというのもフォーシーカンパニーならではの良さ。
入社4年目の北野さんは現在、福岡や東海地域への出張にも対応しながら、コミュニティマネジメントに関わっている。
「学生時代から漠然と、地域活性とかまちづくりに興味があったんですけど、どこかひとつの地域を働く場所として選ぶのってすごく難しい。全国のいろんなところのまちづくりに携われるのはいいなと思って」
大学4年生のとき、就職に悩んだ北野さん。「若年求職者」向けのイベントでフォーシーカンパニーを見つけ、「新卒でもいいですか?」と飛び込みで応募したという。
仕事のスタートは、イベントのサポートや打ち合わせ同行など、先輩の背中を見て学ぶことから。
2年目からは、メインで担当する案件を持つようになった。
「コーディネーターとして働くようになってからも、サポートとして入っていたころの経験は生きているなと思います。現場で拾った声とか、共用部の設備などは、使ってみないとなかなかわからないこともあるので」
現場で気づいたこと、発見したことってなにかありましたか?
「私たちが思っている以上に、居住者の方は意欲を持ってコミュニティ運営にかかわってくださることが多かったです。自治会で打ち合わせをしているときも、『警備会社で働いているので、AED講習のツテがありますよ』とか、『夏祭りの備品運搬にトラック出せますよ』とか立候補してくれて」
ほかにも、大学を退職した教授がマンションの共用スペースで寺子屋をはじめたり、趣味で集めたプラレールを展示して子どもたちが遊べるようにしたり。
きっかけがなければ、お互いにどんな仕事をしているかも知らないまま過ごしているマンションの住民たち。
その力を合わせれば、本当はいろんなことができる。
コミュニケーションを通じて住民の隠れたポテンシャルを探ることも、コーディネーターの役割。
仕事で身につけたスキルや育児の経験。自分にとっては普通のことが、意外と地域のコミュニティづくりに役立つこともある。
今年の7月に入社したばかりの畑さんは、4歳の娘さんを育てるお母さん。畑さん自身の実感も、子育て交流会などのイベントに生かしていきたいと話す。
「まだみなさんのサポートで入る仕事が多いんですけど、子育て世代の居住者の方と話す機会もあって。自分の生活と仕事がリンクする部分は多いなと思います」
たとえば「うちの子はこんな遊びが好きで」という何気ない世間話からも、新しいイベントの企画が生まれるかもしれない。
畑さんはもともと大学時代で建築や都市政策を学んでいて、前職でもまちづくりに関わる仕事をしていた。
計画をつくるだけでなく、現場でPDCAサイクルを回していくところまで関わりたいと、フォーシーカンパニーに入社した。
「前職では事務仕事のほうが多かったので、娘に仕事のことを聞かれても『うーん、パソコンとか?』っていう感じでしか答えられなかったんですけど、今は仕事で企画した夏祭りに連れて行けたりして、具体的にイメージを持ってくれるようになったかなと思います」
結婚や出産など、スタッフのライフステージが変わっても働き続けられるように。
フォーシーカンパニーでは、今年の6月からコアタイムのないフレックス制を導入。畑さんもそれを活用しながら仕事に取り組んでいるところ。
「保育園に送る前に娘がぐずることがあって。以前なら、遅刻する!ってドキドキしていたんですけど、今は気持ちに余裕が生まれました。そのぶん、自分でちゃんと仕事をコントロールするっていう責任も意識しています」
子育て中のスタッフ以外にも、勤務時間を朝型にシフトして夕方の時間を自分の好きなことに使ったり、打ち合わせなどで外出したときはそのまま社外でも仕事ができるようにしたり。
新しい制度のなかで、それぞれが自分のライフスタイルにあった働き方を探っているのだそう。
今の時代にちょうどいいコミュニティ。
そのプランニングを手がけているのは、仕事に真摯に、自分たちの暮らしも楽しむ人たちでした。
(2019/10/17 取材 高橋佑香子)