求人 NEW

世界中から
面白い木が集まる
夢追う製材所

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

「木って本当に面白いよ。柄も木目も、ひとつとして同じものがないからね。何十年とやってるけど、俺は一回も飽きたことがない」

そう話してくれたのは、米澤製材所の代表である米澤さん。

米澤さんが営む富山県入善町(にゅうぜんまち)の製材所には、国内のみならず、世界各地から集まった木が山のように積まれています。

富山のスギ、チュニジアのオリーブ、カナダのウェスタンレッドシーダー。なかには「これは一体何に使うの?」という不思議な形をした木材も。

こうした木材を日本の在来工法やポストアンドビーム工法、ティンバーフレーム工法でつくる住宅に使ったり、一枚板のテーブルやカウンターを国内の高級ホテルなどに納めたりしています。

今回は、米澤製材所で働く人を募集します。具体的には、住宅の営業と設計士、現場監督に事務スタッフ。そして木材製品の製作加工スタッフです。

経験者はもちろん、「やってみたい!」という気持ちがあれば未経験者でも大歓迎とのことです。



東京駅から北陸新幹線に乗って2時間半。黒部宇奈月温泉駅で、入善町(にゅうぜんまち)行きのマイクロバスに乗り換える。

あたりは田んぼが広がっていて、左手には雄大な山々、右手には日本海が見える。のどかな風景が心地いい。

バスに揺られることおよそ20分で、入善駅に到着。米澤製材所は駅から歩いて数分のところにある。

ティンバーフレーム工法でつくられた事務所の扉を開けると「おお、どうも!」と代表の米澤さんが迎えてくれた。3月末ながら半袖というワイルドな出で立ちだ。

「今日は本当によく晴れて気持ちいいよなあ。富山のいちばんいい時期に来たよ」

大のアウトドア好きだという米澤さん。事務所の隣にある工場を見学するために外に出ると「あの山の向こうに白馬があって。スキーが楽しいんだ」「ほら、海も見えるでしょ。今晩はたくさんホタルイカがとれるぞ」と教えてくれる。

「うちは江戸時代からの製材所でさ。山で木を伐ると、丸太として工場に運ばれてくるでしょ。その丸太を加工して製品にするのが、製材所の仕事なんだよ。で、大工さんや工務店から注文を受けて、商品として建築現場に運び込むの」

「ほら、こういう丸太を加工するんだよ」と米澤さんが指さす先には、山のように積まれた原木が。

どれも幹が太く、とてもたくましい。なかには直径が1mを超えるものもあって、なかなかの迫力だ。

「スギ、ヒノキ、ケヤキにオリーブ、松。ゴロゴロ転がってるけど、富山県産材や国産材はもちろん、ヨーロッパや北米、アフリカとか、世界中を飛び回って仕入れてきた木もあるんだよ」

へえ、世界中から!

「そう。うちはこれを全部自分たちで加工して、家を建てるところまでできる。たとえるなら、農家がレストランをやっているようなもんだよね」

長年、県産材を使った家や、無垢材にこだわった在来工法の家を建ててきた米澤製材所。

米澤さんが経営に加わってからは、ログハウスの建築にも取り組みはじめた。

「小さいときからログハウスが好きだったの。それで大人になってカナダの別荘地に行ったときに、次元の違うログハウスを見ちゃったんだよね。使ってる素材も見せ方も、日本で見るものとは全然違っていて」

「たとえば外壁に波打った板を使うなんて、当時の日本ではありえなかった。じゃあ自分でやってみようと思って、ログ系の家づくりをはじめたの」

まずはティンバーフレームの事務所を建ててみることに。もちろん木材にはこだわっていて、腐りにくく強靱なウェスタンレッドシーダーという木のなかでも、樹齢150年以上のものをカナダから直接輸入して使っているそう。

以来、実物を見たいといろんなお客さんがやってくるようになった。

最近は日本で暮らす外国人の方からの問い合わせが多く、今年もすでに白馬でオーダーが入っているという。

「うちは色々な工法で建築してるよ。ただ、やるからにはちゃんとした家をつくりたい。いい素材を吟味するし、それこそドアノブ一つからお客さんと決めていくしね」

どんな家をつくりたいのか、どういう生活をしたいのか。

米澤さんをはじめ営業スタッフが丁寧に話を聞き、お客さんと一緒につくり上げていく。

「お客さんも、こだわりを持っている方がすごく多い。アンティークドアやステンドグラスとか、使いたい素材を持ち込む人もいる。逆に全部任せると言いつつ、『米澤はどこまで提案してくれるのか?』ってシビアに見ている方もいるね」

「住宅の営業というと、他社と見積もりで競争して、みたいなさ。そういうのってすごくいやで。だからうちは、うちの建築スタイルを踏まえて、お客さんのニーズに応えられるように提案していくんだよね。そうやってお客さんから信頼してもらえって」

その言葉の通り、米澤製材所の営業は、具体的なプランづくりまで行うのが特徴。

間取りはどうするか、屋根はどんな形がいいか。もちろん予算も含めて考える。

なかには、営業として入社したのちに設計士の資格をとり、さらには現場監督も兼任している人もいるのだそう。

「うちの営業は大変かもしれないね。でも、ここである程度経験を積めば、見積もりもできるし図面も書ける、現場もわかるって人材になれるから。今回も、やる気があれば経験や資格はなくてもいいと俺は思っているよ」

何度も打ち合わせを重ねて完成したプランは、設計士に引き渡される。法的に問題がないかのチェックや、より細かな構造の設計など、詳細を詰めたのち、いよいよ着工。

ときには数十人にもなる大勢の職人をまとめるのは現場監督の仕事だ。

「うちはひとつとして同じ物件がないから、現場監督はその都度組立図のないプラモデルを一から組み立てていくようなもんだよね。職人の手配やスケジュール管理、足場の設計。資材の発注も仕事に入るから」

現場監督が面白いのは、「業者さんの仕事の進め方や考え方がまったく違うところ」だと米澤さん。

あらかじめ決めたことをきっちりと守る職人肌の人もいれば、ギリギリまでお客さんの変更希望に対応できるよう、柔軟に調整するのが上手な人もいるのだそう。

スケジュール通りに工事を進めることは大前提にしつつ、ある程度できあがった家を実際に見てもらって、建具の高さを変えたり、クロスの色を調整したりすることも度々あるという。

「一軒一軒、素材も建て方もまったく違うから大変だよ。とくにログハウスなんて、大工さんから『もう二度とやるか!』って言われるくらい(笑)。きちんと現場の予習復習をして、大工さんにもはっきり指示してあげられる人が信頼されているかな」

「せっかく建てる家なんだから、帰ってきたくなる、遊びやこだわりのある家じゃないとつまんないと思う。だからお客さんの話にはとことん付き合いたいし、予算のなかで最高のものをつくりたいよね」



長年、製材所のプライドを持って家づくりをしてきた米澤さん。「実はいま、新しい夢があってさ」と話し出す。

どんな夢なんですか?

「考えているのは、オール無垢材のマンションリフォーム。ここにある木ってさ、ナチュラルだからホルムアルデヒドも一切出ないし、化学的なノリも使っていないから、健康に気を遣う人には合っていると思うんだよね」

「東京にも事務所があるから、都市部のお客さんにこっちまで来てもらって、山に案内してさ。『これ、私の木!』って選んでもらった木を俺らが製材して、マンションの床や壁に貼るリフォームをしたらどうかなって」

それは面白そう。アレルギーのある人や、お子さんやペットがいる家庭にもよさそうですね。

「そうそう。実現できたら『山から建築まで』っていう、新しい価値を提供することになるでしょ? そうやって魅力のある家をつくり続けて、もっと『米澤製材所で家を建てたい』と思ってもらえるような会社にしていきたいんだ」



一通り話し終えたところで、「もう一つの工場に行こう」と米澤さん。

「うちはテーブルやカウンターの加工もやっていてさ。今はそっちでもいろんなプロジェクトが動いているから、そのスタッフも募集したいんだ」

車に乗って10分ほど。田んぼのなかに大きな工場が見えてきた。

中に入ると、山のように積まれた丸太や角材のなかに、カウンターやテーブルなど、たくさんの商品が並んでいる。

チュニジアのオリーブを輪切りにし、レジンと融合させてつくったテーブル。

神代ケヤキという、太古から地中に埋まっていた木でつくった、見たこともない木目が印象的な一枚板のカウンター。

こうした商品は、フォーシーズンズやリッツ・カールトンなど、名だたるクライアントに納品しているのだそう。

「こんな田舎で、世界中の木を使った最先端の製品をつくっている。すごくクリエイティブで楽しい仕事なんです。今日はぜひ、実際に働いているやつの話も聞いてやってほしいな」



紹介してもらったのは竹島さん。この工場で働いて、丸3年になる。

「ここにあるのは、社長が世界で一目惚れして買ってきた木です。最初は何に使えるのか想像もつかない木もありますけど、どれも立派なインテリアになるんですよ」

ここで働くまで、一切木材に触れたことがなかったという竹島さん。木の表面をヤスリで磨きあげる作業からスタートして、現在は製品のサンプルづくりなどを担当している。

「今はレジンと木材を融合した作品をつくっています。クライアントのデザイナーとやりとりをしながら、OKが出るまで手直しして。色合いなどのイメージを擦り合わせていくんです」

基本的に、こうした注文は米澤さんをはじめとする営業がもらってくる。デザインがあらかじめ決まっている場合もあるし、大きな案件になるとデザイナーが自ら工場に来て、木材を見ながらデザインを決めていくこともあるのだそう。

「僕はまだまだ下っ端ですけど、先輩はクライアントと『このデザインはこうすれば制作できる』とか、デザインと技術の折り合いを見ながら提案していて。すごく格好いいですよ」

「やればやるほど、先輩の背中が遠く見えます」と笑う竹島さん。

「ここには簡単な仕事は全然ないんです。木材もつくるものもさまざまだし、求められるクオリティも高い。だから新しいことや困難なことにも挑戦し続けていきたいって人に向いているんじゃないかな」

「あとは…社長が『おい、これやってみるぞ!』ってアイデアを多く持ってくるので(笑)。そういう姿勢を面白がってくれる人が来てくれるとうれしいですね」

世界中から集まる木材を手に、腕を磨いていく。

そう聞いて胸が高鳴った人に、ぜひ挑戦してほしい仕事です。

(2020/03/26 取材 遠藤真利奈)
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