求人 NEW

自立した地方創生を
足元からつくる

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

瀬戸内海に浮かぶうつくしい島々。温暖な気候と豊かな食、泉質のいい温泉地。

点在する魅力をうまく組み合わせることで、しまなみ地域全体の魅力を高めていきたい。

そんな思いではじまったのが、しまなみサンセバスチャンプロジェクトです。

スペインのサンセバスチャンをお手本に、食や温泉といった資源を活かして地方創生に取り組むこのプロジェクト。

主体となって動いているのは、モスバーガーやブックオフなどのフランチャイズを軸に、多岐にわたって事業展開する株式会社ありがとうサービスです。

今回は、愛媛県内の温浴施設で企画運営に携わる人を募集します。

(取材はオンラインで行いました。現地の写真は提供いただいたものを使用しています)



ありがとうサービスの本社があるのは、愛媛県今治市。瀬戸内海に面しており、しまなみ海道の発着地となっているまちだ。

ありがとうサービスが運営する温浴施設は県内各地にある。この日は、今治市内にある鈍川(にぶかわ)温泉の施設からつないでもらった。

まず話を聞いたのは、地方創生事業部で人事などを担当している藤田さん。

ありがとうサービスは、四国や九州、東南アジアなどで、さまざまな事業をフランチャイズ展開している会社。ここ数年は愛媛県内を中心に、チーズ工房や温浴施設などの運営にも関わるようになった。

おいしいものや、美しい景色、温泉のような資源。しまなみ海道にはさまざまな魅力が点在している。

それら一つひとつを単独で扱うのではなく、全体のビジョンを描いてつなげることで、地域全体として魅力を高めていけないか。

そんな思いからスタートしたのが、しまなみサンセバスチャンプロジェクトだ。

プロジェクトが動き出して3年ほど経ち、運営する施設はますます増えてきている。

「年始に新しく温浴施設がリューアルオープンして、春先ごろにもひとつ予定しています。今回は、それらの施設を引っ張っていってくれる人を募集したいなと思っていて」

具体的には、既存の4つの施設のうちいずれかで経験を積んでもらい、ゆくゆくは新しくオープンする施設の運営をリードしてほしいそう。どの施設で働くかは、来てくれる人の状況や希望を聞き、相談しながら決めていきたいとのこと。

「今働いている人も、地域を元気にするということに共感して来てくれているんですよ。目の前の施設運営に向き合いながら、サンセバスチャンプロジェクトの構想そのものを面白がってくれる人だとうれしいですね」



前回の募集をきっかけに入社した黒河さんも、“地域を元気にする”という想いに共感してやってきたひとり。続けて話を聞いてみる。

「自分の雑貨屋さんを開きたいっていう夢があって。お店の勉強をするためにヴィレッジバンガードで働いて、店長を務めていました」

東京の下北沢の店舗から始まり、全国各地へ転勤。三重、愛媛と場所を移しながら働いていたそう。

3年前に愛媛の店舗へ配属され、昨年結婚を機に退職。日本仕事百貨の記事でありがとうサービスのことを知った。

「3年に一度、瀬戸内国際芸術祭っていう、現代美術の大きなイベントが開催されるんです。美術を通して、こんなにたくさんの人が集まるんだっていうことに驚いて。そこから地方創生みたいな仕事には興味を持っていました」

「あとは温泉とサウナが好きで。結婚して今治に住むタイミングだったのもあって、やってみようと応募しました」

黒河さんが働いているのは、今治市の南部にある日帰り入浴施設「鈍川せせらぎ交流館」。

鈍川温泉は、県内では道後温泉に次ぐ規模の温泉地で、美肌効果の高いお湯と、四季折々の豊かな自然が感じられる場所だそう。

働き始めて半年ほど。藤田さんのサポートも受けながら、日々学んでいるところだという。

「朝は1時間くらいみんなで館内の掃除をします。それ以降も、脱衣所に髪の毛が落ちていないかとか、こまめにチェックして。あとは受付業務や、今は来館者全員に検温を行なっているので、そういった仕事もあります」

「一番は、お客さまが不快な思いをしないためになにができるか。それをずっと考えながら動いている感じですね」

一緒に働く人はパートスタッフが多く、社員である黒河さんは物販の仕入れや販促にも携わっている。

「私は駄菓子屋さん担当なんです。昭和レトロなお菓子とかおもちゃを置いていて。仕入れも任せてもらっているし、陳列やPOPづくりは前職の経験を活かして工夫しています」

「たとえば、夏場はサイダーがよく売れるので、ご当地サイダーの種類を増やしてPOPもつくりました。土日はファミリー層も来るので、家族みんなで楽しんで買ってもらえるような売り場を目指しています」

コロナ禍で全体の客数は減っているものの、物販の売り上げは微減でとどまっているそう。売り方や商品の見せ方が上手なんですよ、と隣で聞いていた藤田さんが教えてくれた。

一方で、収支のバランスや客数に応じた仕入数の調整など、細かな数字の部分はまだまだ勉強中。月に2回ほど、社長の井本さんによる勉強会など、サポートを受けながら学んでいる。

単に仕事を任せるのではなく、「なにが今できないのか、それをするためにはどうすればいいのか」までサポートしてくれる体制があるのは、安心できる要素だと思う。



続けて、愛媛県西予(せいよ)市にある「游の里温泉 ユートピア宇和」で支配人を務める内藤さんにも話を聞いた。

東京や海外で不動産の仕事をしたのち、空き家を活用した宿泊事業に関わっていた内藤さん。

やりがいはあったけれど、働くなかであることを感じていたという。

「空き家や遊休施設を活用した事業って、すぐ黒字経営になるわけじゃなくて。赤字が続いてしまう場合も多いんです。それを補助金で補填しながら続けているような実態が、思っていた以上にあって」

人口規模も人の流れも違うため、都会と同じように収益を立てるのは難しい。それでも、補助ありきで成り立つ事業には違和感があった。

「事業としてちゃんと黒字を出して自立することを目指して、本気でがんばっているか。僕はそこが大事だと思うんですよ」

「話を聞いたら、サンセバスチャンプロジェクトは自立した地方創生っていう、僕がイメージするものに近かったんですよね。それでやってみたいと思ったんです」

研修を経て、昨年から支配人として游の里に赴任。実際に働いてみると、想像以上に難しいチャレンジの連続だったという。

というのも、游の里は非営利団体が運営していた施設を、ありがとうサービスが引き継いだもの。当初から経営的には厳しい状況だった。

「東京で不動産の営業をしてたときのノルマよりも、今のほうがはるかに難しいですね(笑)。施設の老朽化でコストがかさむとか、いろんな課題があって」

そのなかでも一番の壁だったと内藤さんが話してくれたのが、働く人のこと。

たとえば、備品の無駄を減らしてコストを削減したり、業務フローを工夫して残業を減らしたり。もともと働いていたスタッフの意識改革からはじめる必要があった。

「一番年長のスタッフだと、70歳近い人もいるんですよ。15年くらい働いているその人からしたら、僕なんか若造で新参者じゃないですか」

「変わることがしんどいという気持ちも理解できるけど、ちゃんと健全に運営していくためにも、業務だけじゃなく意識も変えていきましょうよっていうのは、スタッフみんなに伝えました」

ありがとうサービスが手がける温浴施設の多くは、別団体から引き継いでリニューアルする形をとっている。

立場や年齢、考え方の基準が異なる人と一緒に進んでいくのは、想像以上に難しいと思う。内藤さんは、スタッフと接するなかでどんなことを大事にしているんでしょう。

「うーん… 年齢とかは気にせずに、お互いダメなことはダメっていうし、いいところはいいって言う、とかでしょうか。嘘をついてごまかしてしまうのは一番良くないと思うんです。素直にわかりましたってならなくても、お互い正直に話すことが必要なんじゃないかな」

業務の改善だけではなく、その下地となる働く人の意識まで。

根気強く取り組んできた甲斐もあり、少しずつスタッフの意識の変化を感じているそう。それに伴って、経営的な数字も改善しつつある。

クリエイティブで華やかな仕事が、地方創生につながることもある。

ただ、まずは足元からしっかり固めていき、次の一歩を踏み出す。その地道な作業が、隠れがちだけど大切なことなんだろうな。

内藤さんも、次の一歩を今まさに考えているところだという。

「游の里は、もともと建物の半分が温泉、もう半分がデイサービスだったんですよ。今は温泉側しか使っていないので、空いているデイサービス側を活用しようと、計画を進めているところなんです」

現在、游の里の利用者の多くは高齢の方。これからは若い人も家族連れで来やすいように、キッズスペースなどを備えた空間へとリニューアルしていきたいそう。

「デザイナーさんと一緒に構想を練っていて。游の里の近くに、朝霧湖って呼ばれているダム湖があるんです。寒くなると朝の霧が深くなって、とても神秘的な雰囲気で。緑豊かな森と、神秘的な湖のイメージを空間にも活かしていけたらいいなと思っています」

それぞれの場所にあるものを、どうやって活かしていくか。足元を固めながら、次の一歩をイメージすることが大切なのだと思う。

そのイメージは、自分たちだけで完結しなくてもいい。温浴施設以外にも、手づくりハムやナチュラルチーズといったものづくりや、古民家を活用した宿泊施設、はたまたジビエの活用や無添加ペットフードの開発など。サンセバスチャンプロジェクトでは、さまざまな事業が動いている。

スペインのサンセバスチャンは、別々の料理店同士でメニューを教えあったことから、美食のまちとしての発展を遂げていったという。つながりあって夢見ることから、おもしろい地域づくりははじまるのかもしれない。

「難しいって話もしましたけど、いい雰囲気で楽しんでやっているので(笑)。私と働くと面白いですよっていうことは伝えたいです。これ写真撮ってください、ぜひ一緒にやりましょう!」

すると、聞き手にまわっていた黒河さんもつづく。

「私も、このあたたかみのある雰囲気が好きなんですよ。スタッフもそうだし、お客さんも優しい人が多くて」

「愛媛では道後温泉が一番有名だけど、鈍川温泉もこんなにいいところなんだよって、知ってほしい。これからも一所懸命やっていきたいなと思います」



地域の魅力を高めて、伝える。

方法はいろいろあるけれど、一番の根っこにあるのは「いいものを、もっと知ってほしい」という気持ちのような気がします。

面白そうと思ったら、飛び込んでみてください。自分を活かしていく場所は、必ずあると思います。

(2021/1/19 オンライン取材 稲本琢仙)
※撮影時はマスクを外していただきました。

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