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木でつくる
日本の森

日常のなかで“木”に触れることってどれくらいあるだろう。

日本中どこに行っても、周りを見れば木が生えています。山にはもちろん、都市部でも沿道には木が植えられている。

ただ、目にすることは多いけれど、手で触れることは意外と少ないかもしれません。

国産の木に触れる機会を増やそうと、さまざまな事業に取り組んでいるのが株式会社Tree to Greenです。

日本の森林問題を解決することをミッションに、国産の木を使った家具製作や空間づくり、ワークショップなどを通じて木の魅力を広める活動をしているTree to Green。

今回は、来年4月に新しく長野にできる工場のマネージャーと製作スタッフ、東京のオフィスで働く製作ディレクターを募集します。

木が好きで、森や自然環境に関心のある人にとってはやりがいのある仕事だと思います。

 

日本仕事百貨でTree to Greenを取材するのは、これで5回目。

長野県木曽町に新しく工場ができると聞き、現地に向かう。東京からだと車で3時間半ほど。

木曽駒ケ岳を望みながら中山道を進むと、「漆器」や「蕎麦」の文字が増えてきた。

まちなかには、宿場町の趣を残したレトロなお店や新しそうなお店がちらほら。

林業や木工が盛んで、庁舎や図書館など、町のいたるところに木材が使われている。

「ここは僕たちがインテリアデザインと家具製作、施工を担当させてもらったんです」

そう言って図書館を案内してくれたのは、取締役の小瀬木(こせぎ)さん。木曽の出身で、実家ではご両親が木工所を営んでいる。

Tree to Greenは、2013年に小瀬木さんと代表の青野さんが立ち上げた会社。

東京・代々木上原に事務所を構え、小瀬木さんも普段は東京のオフィスで働いている。当初2人で始めた会社も、現在は役員含めて17人になった。

「日本の森林問題を解決する」という大きなミッションを掲げて、まずは実家の木工所や木曽の職人さんと共同で木製の照明器具を製作することからはじめた。その後、木曽町から木製品ブランド「木曽生活研究所」を引き継ぐことに。

木曽生活研究所では、木曽の檜(ひのき)を使った風呂椅子などの製作から販売までを行っている。今では高級ホテルや有名なセレクトショップでも取り扱われる看板ブランドになった。

その後、国産材を使った家具づくりや空間デザイン、さらには木育をテーマにしたワークショップの企画運営など、事業を広げていった。

「会社を東京で始めたのは、まずは木が使われる場面を増やしていかないと、国産材が広がらないと思ったからなんです」

「川下であるお客さまに近いほうから事業をはじめて、次は川中のものづくりに力を入れていこうとしているところです。最後は川上の森ですね。ゆくゆくは植林とか、直接森に関わるところまでやりたいと思っています」

これから木曽にできる工場は、今までは外部の協力会社にお願いしていた川中に当たる部分。

「新しい工場ができて、いろんな仕事を新たに木曽にもってくることができたら、地域への貢献にも繋がると思うんです」

工場ができて雇用の機会が生まれれば、移住者も増えるかもしれない。小瀬木さんが会社設立当初から考えていた木曽への貢献という目標がひとつ形になる。

「Tree to Greenとしての視点でいえば、自社でものづくりができるということをストーリーとして正々堂々と話していけるようになる。これからまた面白くなると思っています」

 

新しくできる工場はどんなものになっていくのだろう。

工場の立ち上げを担当している、製作部門の取締役の村上さんにも話を聞いた。

前の会社では特注家具職人として工場長を務めながら、内装施工部門で内装監理もしてきた。扱う木のほとんどが外国産であることに違和感を抱いていた村上さんは、国産材の活用を軸に進めるTree to Greenの想いに共感し、2014年に入社。

それまでの経験を活かし、主に特注家具の設計から施工を取りまとめている。

「木曽の工場では、設計者と工場が連携しやすいように、デジタルに対応した木工機械と設計システムを活用していこうと計画しています」

人が介在して扱う機械も、最新の安全装置付きのものを導入。

材料の仕入れから商品の出荷までのスムーズな動線計画や、木材を燃料にする暖房システムなど、働きやすい環境づくりをこころがけているそう。

「小さな工場なりに安全性と環境に配慮しながら、これまでの家具工場のイメージを変えるような環境づくりに挑戦していきたいですね」

工場ではまず、木曽産材を使った特注家具や商品を主に製作するそう。

「今年の8月に横浜でオープンした、自社の住宅リノベーションのショールームとも連携して、住宅用の棚や建具、キッチンも、木曽の素材を使ってこの工場でつくっていこうと計画しています」

工場ができてからは3~4人程度で稼働し、ゆくゆくは8人ほどの規模で運営することを想定している。

工場のマネージャーは、工場内のマネジメントに加え、経験や強みに応じて営業や家具製作も担うことになる。

入社して数か月は東京のオフィスでTree to Greenのやりかたを学びながら働いたのち、村上さんと一緒に木曽工場の仕組みづくりから準備を進めていってほしい。

工場内の運営は村上さん、営業は小瀬木さんがサポートし、東京にいる設計・製作スタッフとは案件ごとに関わっていく。

「マネジメントに関しては、工場のスタッフや協力会社、クライアントに負荷がかからないように調整すること、そして品質管理が主な仕事ですね。木曽でつくる製作物や、木曽のことを日本の各地に広めたいっていう方だと営業活動も能動的にできるかな」

営業は名古屋方面を中心に、本社のある東京や、依頼があればほかの地域にも行くことになるそう。

木曽の木で保育園や小学校の机やオフィスの什器をつくったり、木育のワークショップを提案したり。自社でつくったものを中心に、その魅力を広めていく役割を担う。

「木が好き、家具が好きっていう気持ちとやる気があれば、経験はあとから積んでいけると思っています」

川中のものづくりの現場を担う工場のマネージャーに対して、東京の本社で働く製作ディレクターは川下の需要側から森林問題解決にアプローチしていくことになる。

「イメージは特注家具工場の営業担当です。お金と時間を調整してお客さんから受注をもらい、外注の工場に発注を出して、最後に現場まで家具を納品して取り付けるっていうところまで、一連の流れを担当していただくことになります」

「つながりのある全国各地の工場の特徴を把握しながら、どこの工場ならお客さんのニーズに応えられるか、考えながら営業していきます」

経験がないとむずかしそうな仕事ですね。

「製作ディレクターは3〜5年は建築内装や木工造作関係の経験を積んできた人がいいですね。欲を言えば、特注家具の会社にいた方に来てほしいです。別の強みを持った方でもいいかもしれませんね」

ただ受注した案件を形にしていくだけでなく、木を扱うプロとして提案する場面もある。
「たとえば」と話してくれたのは、最近担当したオフィスの案件。

「最初の計画書には、海外メーカーの家具がいくつも書かれていました。でも1台30万円くらいするし、金額調整で成り立たなくなっていくことがなんとなく見えていたんです。だったらその金額の半分くらいでもっといいものができます、っていう提案をさせていただきました。最終的にそのときは、北海道の木でつくった丸テーブルを15台くらい納めることになって。そういうふうに、うまく提案がはまったときは面白いですね」

日本の木材自給率は4割ほどに上がってきたものの、木材の価値は上がっていないのが現状。

いきなりすべてを変えることはできないけれど、Tree to Greenはお客さんの求めるものをくみ取りながら、少しずつ国産材を空間やプロダクトへ取り入れることで、木材の価値の向上を目指している。

製作ディレクターは、その変化を最前線で実感できる立場なのかもしれない。

工場のマネージャーと製作ディレクター、両方の仕事を経験してきた村上さん。仕事の大変な部分って、どんなところだと思いますか。

「共通して言えるのは、時間とお金と品質を担保することですね。材料の納品が遅れるとか、不確定要素が多いんです。スタッフにスケジュールの見直しを相談したり、それでも厳しいときは協力会社さんにも頭下げたりしながら、最終的に納期を守れるように」

人に頼みごとをする機会が多い仕事。ときには残業や休日出勤をお願いすることも。

「約束を守って納品するっていう目的を共有して、相手を大切にできれば、嫌がらずに引き受けてもらえるっていうのが私の経験則ですね」

 

最後に話を聞いたのは、新しくできる工場で製作スタッフとして働く予定の小坂さん。

木曽町の出身で、地元の高校と技術専門学校で木工を学び、2年前にTree to Greenへ。

半年前からは小瀬木さんの実家の木工所で技術を磨いている。

「最近は毎日、木曽生活研究所で扱っている風呂椅子をつくっています。2週間くらい同じものをつくり続けることもあるんですけど、いかに早くつくるかとか、考えながら手を動かすのが面白いですね」

入社してからは東京の事務所でも働き、技術以外のことも学んできた。

「東京では特注家具の図面を描いたり、先輩たちの現場にも行かせてもらって。入ってからここまで、ずっと勉強させていただいています」

東京での生活を経験したことで、地元の感じ方も変化していったという。

「東京に行く前は早く出たいと思っていたんですけど、戻ってきたら木曽って人が温かいし、東京と名古屋の中間でどちらにも行きやすくて、じつはいいところなのかもしれないと思うようになりました」

町の中心地には木曽福島駅があり、長野駅と名古屋駅を結ぶ特急列車も停車する。

スーパーも町内にあるので、都市ほどの娯楽や利便性を求めなければ快適に暮らしていけると思う。

どんな人と働きたいですか?

「その人から技術を学びたいっていうのもありますけど、なにより優しい人がいいと思います。新卒で入るのは自分が初めてだったので、最初のころはプレッシャーだったんです。でもTree to Greenのスタッフはみなさん優しくて。気軽に声をかけてくれるんです」

続けて、横で聞いていた村上さん。

「優しさってイコール強さだなって思うんですよ」

強さ?

「強さっていうのは、自分で決めたことや約束したことをやりきる力だと思うんです。たとえば、納期を守ってお客さんや協力会社、社内のメンバーにしわ寄せを与えない。それって強さだし、相手を思いやる優しさでもある」

「言われたことを言われたままやるのも、ある意味強さかもしれないですけど、それだといい仕事はできないですね。優しさをベースに持ちながら、自分の強みを活かしつつ仕事を進めることができる方が来てくれたらうれしいなって思っています」

人を想い、町を想い、森を想う。

木づかいと心づかいで日本の森林を良くしていく、Tree to Greenのみなさんは、優しく、芯のある人たちでした。

(2021/05/10 取材 堀上駿)

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