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自転車もつくるし
スタジオもつくる
夢を叶える倉庫屋さん

頭と身体、どちらも使う部活動が好きです。

毎日同じ練習を繰り返しながら、新しい発見があれば試すことができたし、すぐに結果に現れたら面白いものでした。

浦和興産株式会社は、自転車やスポーツブランドなどを扱う倉庫の会社です。

倉庫の基本は、ものの保管。それにとどまらず、つくった人や、届ける人のことを考えて、自転車の組み立てサービスや、商品撮影スタジオの設営など、倉庫の形を超えた仕事も生み出してきました。

身体を動かすこと、想像してみて試すこと。倉庫という選択肢は意外かもしれないけれど、どちらも好きな人は、きっと楽しい仕事だと思います。


池袋から車で35分ほど。最寄りの戸田東ICを降り、住宅街に入る。

雨の中、マップで示された住所へ近づく。銀色の建物が見えてきた。

2階の事務所へ上がると、スタッフの皆さんが顔を上げて迎えてくれた。

クリーム色の壁には、地元のサッカーチームのポスターや、雑誌記事の切り抜き、アートのポスターが飾られている。お客さんに関連するものみたい。

明るく、穏やかな空間。待っていると、取締役の佐野さんが現れた。

落ち着いた声に、がっしりした肩。スポーツをやっていたのかな。

「ここの近くの小学校にいたときから、ずっと野球をやっていました。大学進学で地元を離れたあとも続けていました」

佐野さんは、社長を務める佐野哲夫さんの息子でもある。

「将来的にはここで働くつもりで、コンサル会社で総務人事の経験を積んで、7年前、浦和興産へ入社しました。現場の仕事もして、現在は人事や総務など、経営にかかわる仕事を幅広く担当しています」

倉庫といえば、ものを保管する場所。

50年前の創業期は、プラスチック原料をメインに扱っていた。

原料なので形もなく、袋に入った状態で倉庫いっぱいに並んでいる。預かってから出荷するまで、することといえば、湿気で破けてしまった袋を片付けること。

無機質で、面白みのない仕事だった。

「転機になったのは、社長が30代のとき。昔から自動車が好きで、世界ラリー選手権にドライバーとして挑んだのをきっかけに、車業界の人から部品を預かってくれないかと頼まれるようになったんです」

社長自身が好きなものを扱うことで、好きなことと仕事を結びつける楽しさを見出した。

浦和興産では、工場から出荷された商品を預かり、保管することに加えて、シール付けなどの加工、梱包まで行い、メーカーから受けた指示をもとに発送まで行っている。

配送先の多くは小売店。ユーザーへ直接発送することもある。ブランドの顔である商品を届ける、重要な仕事だ。

一つひとつ、適切な作業を行うためには、商品に対して理解を深めることが大切。これが好きなものだと、苦にならない。

「どのような思いでつくられたのか、お客さまはどのような方なのか知ろうとすることを大切にしています。お客さまの服を身につけたり、自転車をプライベートで乗ってみたり。まずは使ってみる、好きになってみることから始めます」

「お預かりしているのは、お客さまが頭を悩ませてつくった、わが子のようにかわいい『財産』なんですよね。ただ、箱に入っている商品として扱う限りは、よさがわからない。ユーザーの方へも、よさが伝わらないと思うんです」

商品が生まれるところから思いを汲んで、預かりたい。

浦和興産では、お客さんから預かったものを「財産」と呼んでいる。

現在、保管しているのは自転車やベビーカー、スポーツブランドのウェアなど。社長が好きなものもあるし、お客さんの紹介をきっかけに預かるようになったものもある。

お客さんから相談をもらって始めた仕事もある。

「うちには自転車工房があるんですよ」

自転車は、七分組と呼ばれる未完成の状態で倉庫に保管されている。出荷する段階で組み立てて、完成品として発送する。

以前は出荷のたび、メーカーから担当者がやってきて組み立てていた。

「これをもし自分たちでできたら、先方もわざわざ来る必要がなくなるし、うちも色んなメーカーを一手に引き受けられる。チャンスだと思いました」

組み立ての際、必要となるのが自転車技士の国家資格。担当者は1年間の猛勉強を経て取得し、サービスが始まった。

「想像と創造、このふたつのどちらもできるといいなと思うんです。日々の仕事での気づきをしっかり形に変えていくことができたら」

「とはいえ、基本を固めることが大事です。プロは基本が大事。これは長年、会社のキーワードにもしていて。力仕事もありますし、フォークリフトも走らせます。現場作業はつきものなので、そこにも楽しみを感じてくれるといいですね」

新しく入る人も、まずは基本となる倉庫での仕事を、手や体を動かして身につけていくことになる。

その繰り返しの中で、「できたらいいな」が見つかる。ひとりでできないことも、周囲の力を借りれば実現できるかもしれない。


お客さんの要望を、会社を巻き込みながら形にしてきた人がいる。入社して12年間、一貫してあるスポーツブランドを担当してきた梶田さん。

「前職はスポーツクラブで働いていました。高校まで野球をしていて、スポーツというものが身近にあったので、今後も密接に関わっていたいと思ってました。そこで『スポーツ』と検索をかけたら浦和興産がヒットしたんです」

予想外の検索結果だったけれど、「好きなことと仕事を結びつける」という社長のやり方を面白く感じて、倉庫の世界に飛び込んだ。

梶田さんが大切にしているのは、お客さん一人ひとりを知ろうとすること。

なにを考えているか、どういうことを望んでいるか。話に耳を傾け、ときには一歩踏み込んで、ざっくばらんに話もしてきた。

「ビジネスだからって割り切らず、サーフィン好きな方と一緒に海に行ったり、草野球でお客さまのチームに入らせてもらったりしましたね。入り込むと、警戒心を解いてくださる。話の幅が広がるように思います」

「どのような思いでつくったのか、どういう形で保管して世の中に出していきたいのか。人がものをつくる以上、つくった人の考えが込められていると思うので、思いを引き出すことは大切なことだと考えています」

商品を知り、人を知っていくうちに、できる仕事の幅も広がっていく。

最近、お客さんからの相談ではじまったプロジェクトがある。

「去年の10月、『浦和興産で撮影はできませんか』とご相談をいただいたんですね」

倉庫で撮影?

どういうことだろう。

「時代の流れもあって、ECサイトを充実させたい。そのために商品を撮影する必要がある。それなら保管場所でもある浦和興産に撮影も任せられたら手間もかからずいいよね、ということでお声がけいただいたんです」

「お客さまから『倉庫と撮影スタジオが一体になった倉庫があるから、一緒に行かないか』と誘っていただいたので、まずは見に行ってみることにしました」

訪れたのは、最新の撮影設備がある同業他社の倉庫。

見学はいかがでしたか。

「衝撃的でした。撮影レーンが20ほどあって、カメラマンや編集者がその場にいて、人はそこで撮影するだけ。自動倉庫だからピッキングも、写真と商品情報の紐付けも機械がやってくれるんです」

「うちも、倉庫にしてはニッチなことをやっている自信があったんですけど、上には上がいました。こんな大きなところと、どう戦えば…という気持ちでした」

自分たちには難しい仕事かもしれない、と諦めかけていた。ところが翌日、社内の報告会で風向きが変わる。

「見学していないメンバーが『せっかく機会を与えてくれたんだから、できるところまでやってみようよ』って言ってくれたんです」

「はっとしました。違う意見が出るのは組織の面白いところですよね。全員で見学していたら、うちではできないって流れになっていたかもしれません」

このチャンスを逃したら、お客さんは他社の倉庫へ完全移転してしまうかもしれない。

「絶対に完成させる」という強い意志のもと、スタジオをつくることが決まった。

「もともと使っていた倉庫を改装することにしました。12月初旬に大型倉庫へ見学に行って、そこから3ヶ月半で完成。さっそく稼働しています」

完成したスタジオを見たお客さんにもらった言葉が、梶田さんの胸に焼き付いている。

「相談したものの、浦和興産ではできないんじゃないかと思われていたそうです。けれども『ものすごいスピードでスタジオが完成して、私たちも勇気をもらいました』と言ってもらえて。嬉しかったですね」

どうしても、スケールメリットでは大型倉庫にかなわない。

丁寧に手を動かし、時に社外に飛び出して信頼を積み重ねてきたから得られたチャンス。

できないとは思わずに、相手を知り、やってみることで「浦和興産だから頼みたい」という仕事が生まれていく。


最後に、スタジオプロジェクトに業務委託で関わっている、カメラマンの須永さんに話を伺う。

「浦和興産と出会ったのは2年前、サーキット場でしたね。私はドライバーの撮影で参加したんですが、社員研修でレースに出場していて、プロチームかと思うくらい、連携がすごくて感動したんです。それですっかりファンになってしまって」

浦和興産では5年ほど前から、社員研修としてレースに出場している。

刻一刻と変化していくレースの中で、それぞれが自分の役割を見つけて動いていく。自然とチームで働く訓練にもなり、実際の仕事にも活きると考えた。

以来、須永さんはスポット的に浦和興産の仕事に関わるようになった。

「他社の倉庫見学も同行しましたが、どうしたらこのレベルのものを実現させられるんだろうと、眠れないほど悩みました。メンバーも似た気持ちだったと思います。それが翌日には『スタジオつくります。何が必要ですか?』って連絡がきたんです」

「私が必要な機材を伝えたらすぐ揃えてくれて。改装前に試し撮りをしたとき、天井が低いなって一言ぼそっと呟いたら、すぐ天井ぶち抜いてしまって。すごいスピード感ですよね」

須永さんによると、撮影は「チーム戦」なんだという。

「商品ひとつひとつに見せ方のルールがあるので、撮影のたび、必ず確認が必要になるんです。たとえば靴ひもの通し方。私たちは出荷時点のものが正しいと思っているんですけど、梶田さんに見せると『これ、おかしいわ』と言って必ず気付くんです」

「思い入れをもって長く商品と接してきたからこそ、すぐにわかるんでしょうね。ただカメラマンが撮るだけでは、このプロジェクトは成り立ってないと思いますね」

撮影のプロ、商品のプロ。

それぞれの強みと視点を活かしてできあがったスタジオプロジェクトは、今後、他のお客さんへも展開していく予定だ。

大切なものをきちんと預かる。

ひとつひとつの仕事の積み重ねのその先で、新しい価値を生み出していく仕事なんだと思います。

(2021/7/2取材 阿部夏海)
※撮影時はマスクを外していただきました。

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