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「私たちにとって卸先のみなさんは、商品に込められた想いや愛を日本全国に伝えていく同志のような存在なんです」
そう話すのはTISTOU(ティストゥー)のみなさん。
TISTOUは、ベルギーのフラワーベースやプランター、アウトドア家具、チェコの照明などを扱う、7つのデザインブランドの日本総代理店です。
今回は、TISTOUの取扱商品を保管している倉庫の管理スタッフを募集します。
荷受け・検品・在庫管理・出荷作業といった倉庫業務のほか、ゆくゆくは責任者を目指して、業務設計や職場環境づくりにも関わってほしいとのこと。
あわせて、商品発送業務を担当するパートも募集します。
つくり手と売り場に立つ人、双方の顔を思い浮かべながらコツコツと手を動かす。人とのつながりを大切にしながら、気持ちよく仕事をする人たちに話を聞いてきました。
TISTOUの本社は静岡にある。これまで東京・蔵前のショールームで取材をしたことはあったけれど、本社を訪れるのは今回がはじめて。
「ようこそ、静岡へ!」と迎えてくれたのは、代表の平田さん。
静岡県出身の平田さんに、おすすめの場所を紹介してもらいながら、駅から20分ほどの場所にあるオフィスへ。
コンテナハウスを利用したというオフィスは完成したばかり。奥には倉庫が広がっていて、黒地に白のロゴが映えている。
ベルギーのフラワーベースのブランドHenry Dean(ヘンリーディーン)やDOMANI(ドマーニ)、アウトドア家具ブランドextremis(エクストレミス)、チェコの照明ブランドBROKIS(ブロッキス)など、7つの海外デザインブランドの商品を扱うTISTOU。
オフィスの外に置かれているプランターや照明、ベンチテーブルなども、彼らのアイテムとのこと。
「商品を通じて、日々の生活がちょっと楽しくなったらいいなと思っていて。ものの美しさはもちろん、想いをもってものづくりをしている人たちだからこそ紹介したくなるんです」
平田さんの最近のお気に入りは、バランスボールなんだとか。
「イタリアのなめし革職人さんが、バランスボールを製作していて。腰痛対策に使用していたビニール製のバランスボールを見て、『自分は革職人なのに、なんで革でカバーをつくらないんだろう?』と考えたのがきっかけだそうで」
バランスボールは伸縮性が高い。革でカバーをつくる場合、伸縮する方向に細心の注意を払わないと破れてしまうこともある。裁断や縫製方法など、代々培ってきた知識を総動員して完成させたという。
「高価なこともあって、売れないんじゃないかって同業者や友人からは言われたけれど、私はぜひこの商品を紹介したいと思って。見た目が美しいこともそうなんですが、革でつくろうっていう職人さんの視点が面白いなと思ったんです」
落ち着いた雰囲気がインテリアに取り入れやすいと、結果としては大きな反響につながった。
「この職人さんは、アフターフォローも素晴らしくて。ユーザーの方が誤って使用して商品が破れてしまったときも、こちらで修理するつもりで連絡したら『破れた理由を調べて次に活かしたいから、送り返してほしい』と言われたんです」
「つくり手としてのプライドを感じましたね。ものに対して愛をもって接している人たちだからこそ、気持ちよく仕事ができる。私たちも、大切な商材を預けてもらっているパートナーとして、恥ずかしくない仕事をしたいと思っています」
TISTOUの使命は、日本の総代理店として責任をもって商品を届けること。今回募集する倉庫管理は、その工程の最後を担当している。
「きちんと梱包したり、誤発送がないように受注情報をチェックしたり。卸先のみなさんに信頼いただけているのも、倉庫での地道な作業があってこそ。とても大切な仕事なので、うちで扱うものを愛してくれるような人に来てもらいたいです」
現在、倉庫管理の責任者を務めているのが、増井さん。
平田さんと同じく静岡県出身で、家業のみかん農家と兼業している。今後は家業の割合を増やしつつ、TISTOUでの仕事を続けていく予定。新しく入る人は、増井さんの片腕として、隣で仕事を学んでいくことになる。
「僕、みかんはそんなに好きではないんですよ(笑)。昔食べすぎたのが原因みたいで。けど、TISTOUのお歳暮にうちのみかんを使ってもらったときに、いろんな方に喜んでもらえたのがうれしくて。このみかんを、少しでも残していけたらいいなと思っています」
増井さんとTISTOUの出会いは、たまたま通りがかった花屋さん。店頭に置かれたDOMANIのプランターに惚れたそう。
「手づくりならではの、一つひとつの異なる表情がとてもいいなと。鉢といえば素焼きの器を思い浮かべる方も多いと思うんですが、DOMANIは色の種類も豊富。同じものがひとつもないんです」
あるとき、日本総代理店であるTISTOUの存在を知り、「働きたい」と手紙を送ったんだとか。
「静岡にこんな素敵なものを扱う会社があると思わなくて、思わず手紙を書いたんです。入社のきっかけにもなったDOMANIの商品はいまも好きです。働きはじめてからは、実際に商品を販売してくれる人たちにも魅力を感じるようになりましたね」
花屋やインテリアショップをはじめとする卸先は全国各地にある。
タイミングが合うときには、卸先でのポップアップも手伝いに行くという増井さん。売り場に立つお客さんの姿が日々、刺激になっている。
「商品を売るのは僕らではなく、卸先のみなさん。みなさん、ものづくりの背景に共感して、想いをもって売ってくれているんです。その方々の期待に応えられるような仕事をしていきたいですね」
増井さんは在庫管理や発送対応のほか、卸先と関係性を築くことも大切にしてきた。
よく仕入れる商品の在庫が少なくなりそうなとき、「在庫は足りていますか?」と電話をしたり、担当者の好みに合いそうな新作が入荷するときには「次の展示会は絶対にきたほうがいいですよ!」と伝えたり。
「うちで扱う商品は手づくりのものも多くて、生産量は決して多くありません。加えて船便での輸入がほとんどなので、ひとつの商品の仕入れにかなり時間がかかってしまうんです」
「ありがたいことに、入荷を待っている方がたくさんいて。日本に入り次第、できるだけ早く商品を届けることが、倉庫の使命だと考えています」
TISTOUがこだわり続けてきたのは、入荷した商品をすべて検品すること。
アルバイトの力も借りながら、月に1、2回ある入荷日にあわせて、多いときでは4000前後の商品を検品しているんだとか。
「現地でも検品はされているけれど、僕たちの基準通りというわけではない。社外の方からは『全部やってるの?!』と驚かれることも多いですが、ここでもう一度検品して、責任をもって発送したいんです」
傷はないか、ガラスに曇りはないか。一つひとつ確認しながら、輸送に耐えられるよう梱包し、保管していく。
あわせてこのとき、本国では6個入りなどセット販売になっている商品を1個ずつ小分けにしている。少しでも卸先が商品を取り扱いやすくなるようにできることはないか、日々工夫を重ねている。
「仕事の忙しさは、輸入状況に左右されることもよくあって。船便が港の封鎖やエンジントラブルで、5ヶ月ほど遅れて入荷したこともありました。商品が届いたときは、いち早くお客さまに届けられるよう、みんなで力を合わせて作業しましたね」
輸入にトラブルはつきもの。どんな状況にも柔軟に対応できるよう、無駄のないスケジューリングやチーム体制を常に考えておくことが、責任者に求められる役割なんだと思う。
新しく入る人は、ゆくゆくは責任者の役割も担っていくことになる。増井さんは、どんな人に来てほしいですか?
「ずばり、愛のある方ですね」
愛、というと?
「商品とつくる人、卸先のみなさんへのリスペクト。加えて、一緒に仕事をする人への思いやりかな。『ここまでやれば次の人が楽になるかも』という気遣いがあると、毎日の仕事も円滑になっていくと思うんです」
みんなが作業しやすいよう常に整理整頓したり、よく動く商品は取り出しやすい高さの棚へ保管したり。
つくり手やお客さん、一緒に働く人のことを思い浮かながら、当たり前のことを徹底する。それが、信頼関係にもつながっていくんだろうな。
「一つひとつの仕事は単純かもしれない。でも、こんなに素敵なものを扱っているのに、管理するだけの作業として割り切ってしまうのは、もったいないようにも感じていて。ものや人を好きになって仕事したほうが、きっと楽しいと思うんです」
新しく入る人も、まずは増井さんの隣で仕事を覚えるところから。
基本的な倉庫業務に取り組みながら、ゆくゆくは増井さんのように卸先と直接コミュニケーションできるようになればベストとのこと。
商品を手に取りながら知識を身につけていくうちに、きっとものへの愛着も湧いてくると思う。
現在、静岡本社で働いているメインメンバーは9人。そのうちの一人、戸崎さんにも話を聞いてみる。
戸崎さんは、商品の受注をメインに、倉庫に関わるバックオフィス業務を担当している。
「静岡は晴れの日が多いし、冬も暖かくて過ごしやすいんです。私は毎日、富士山を眺めながら片道10キロほどをロードバイクで通勤しています。気持ちいいですよ」
話し方もはつらつとしていて、話していて背中がしゃんとする、気持ちのいい人。
戸崎さんは5年ほど前、海運会社から転職。
前職では輸入手続きから配送手配まで、現在と近しい仕事をしていたけれど、ひたすら書面に向き合う日々で、自分の指示でどんなものが動いているのか実感が持てなかったという。
「ここでは、注文を受けるところから、実際に商品が入荷してお客さんの手元に届くまで、すべての流れを間近で見ることができる。インテリアの世界ははじめてでしたが、とても面白いですね」
新しく仲間に加わる人は、戸崎さんからの入荷・発注の連絡をもとに倉庫作業に取り組んでいくことになるので、かかわる機会は多いと思う。
「倉庫の仕事はコミュニケーションが一番大事だと思っていて。船便のスケジュールとか、取り扱いに注意が必要な商品が来るよとか。事前に情報を把握しているのはわたしなので、それを社内でちゃんと共有して、作業が滞りなく進むよう工夫しています」
「うちのいいところは、より良い方法があればすぐに取り込んでいく柔軟さがあるところかなと。少し前に、発注指示がより簡単になるシステムを導入したんです。苦労もしたけれど、自分たちの力でどんどん良い方向に変えていけるのは、気持ちがいいなと思います」
限られた人数だから、全員で協力しながら進めていく仕事もある。東京にいるメンバーと遠隔でやりとりする場面も多いから、細やかさや想像力も欠かせない。いわゆる「求められるスキル」は、少なくないと思う。
それでも、日々触れるものや、関わる人への愛が通じ合っているからこそ、軽やかに、楽しく働くことができるんだろうな。TISTOUのみなさんを見ていると、そう思います。
贈りものをするように人と関わりたい。そう思う人はぜひ一度、話をしてみてほしいです。
(2021/12/3取材 阿部夏海)
※取材時はマスクを外していただきました。