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【最先端を走る島より:2】
生きる喜び、働く手触りを
変わり続ける島で味わう

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同じ仕事をするのでも、自分で納得して決めたことなら、多少苦労しても頑張ろうと思える。

しかもそれが「あの人のためになっている」と実感できる。そんな仕事だと、新しいことに挑戦する気力がどんどん湧いてくると思います。

島根県の沖合に位置する、隠岐諸島。

そのなかでも島前(どうぜん)と呼ばれる、海士町(あまちょう)、知夫村(ちぶむら)、西ノ島町の3つの島が今回の舞台です。

海士町にある島根県立隠岐島前高校では、10年以上前から教育魅力化プロジェクトに取り組み、教育を通した地域活性化を進めてきました。今では高校生に限らず、若者と島々の新たな関わり方も生み出そうとしています。 

今回はプロジェクトの軸となる部分をコラムで、現場で働くスタッフの話をこの記事でと、2本立てでご紹介しています。まずはぜひ、下記バナーからコラムをご覧ください。

 

この記事で紹介するのは、中・長期的に働きながら滞在できる就労型お試し移住制度「大人の島留学」を運営する、島前ふるさと魅力化財団のスタッフ。

大人の島留学は教育魅力化プロジェクトから派生して生まれた事業で、20歳以上の人を対象に、島で3ヶ月から1年のあいだ、島の事業所などで働きながら暮らすことができる仕組みです。

新しく加わる人は、主に畜産業や漁業、宿などを営む事業所と大人の島留学生のマッチング、暮らしや仕事のサポートなど、地域と大人の島留学生に伴走する役割を担います。

あわせて、採用・企画広報スタッフ、総務・経理スタッフも募集します。

 

魅力化財団の事務所があるのは、海士町の菱浦港に直結しているフェリーターミナルの2階。

事務所はスペースに限りがあるということで、同じ2階にあるフリースペースで話を聞く。

まずは、海士町でコーディネーターを務める山口さん。昨年の4月に大阪から移住してきた。

「以前は新卒で入った会社で15年ほど働いていました。ちょうど35歳になったときに、なにか環境を変えてみたいなと思って、転職先を探し始めて。暮らしたい地域という面で考えたときに思い浮かんだのが、海士町だったんです」

海士町へは、昔旅行で訪れたことがあったそう。教育を軸に地域を変えていこうとチャレンジを続ける島の人たちの姿が、山口さんの記憶に強く残っていた。

「当時、教育魅力化の関係者と話をさせてもらったんですが、みんなの熱量が高くて、湯気が出てるように感じたんですよね(笑)。それがいいなぁと思ったのが大きかったです」

家族も説得して、奥さんと小学生の子どもと一緒に大阪から移住。

現在は魅力化財団の職員として、大人の島留学生の定期研修の設計・実施や、島での仕事や暮らしをより充実させていけるようなサポートをしている。

働いてみてどうですか?

「めちゃくちゃ面白いです。とくに大人の島留学を運営している財団のスタッフが面白くて。リーダーの青山くんを筆頭に、『まずやってみる』ことを大切にしているのがすごいなと。民間だと1年くらいかけて検討することも、ここだと1週間くらいで決めて行動に移すこともあって」

「大人の島留学の事業もそうなんですが、まずは一回やってみて、その結果を振り返りながら一つずつ形にしていく。トラブルもあれば怒られることもあるし、うまくいかないこともあるんですけど、だからこそやりがいがある、というか」

空き家の掃除や地域の草刈りなど、誰の役割と決めずに気づいた人がそのときにできることをする。その環境のなかで形成される関係性があるからこそ「まずやってみる」土壌ができているし、同時に新しいものが生み出される良い循環が生まれているのかもしれない。

 

続いて話してくれたのが、1年前に知夫村へ移住してコーディネーターを務めている猪原さん。

「大学院に進学した年にコロナ禍が始まって。これからどうしようかなってときに、大学の先生から紹介されたのが、海士町で岩牡蠣をひたすら磨くアルバイトでした」

「2週間くらい、真冬の海士町で8時間ひたすら岩牡蠣を磨く… たぶんそれだけを島でしていたら、こんな一次産業の現場があって、冬の厳しい寒さのなかでがんばっている人がいるんだって、良い経験として自分の心のなかにしまって終わりになっていたと思います。 ただ、海士町の教育魅力化のことは知っていたので、一度話を聞いてみようと、魅力化コーディネーターさんがいる学習センターに行って。お、すげえな、って思ったんですよね」

すごい、というと?

「その人が言っていたのが『やり方じゃなくて、あり方を学生たちと探求してます』っていう話で。高校生がこんな環境で学ぶことができるってすごいなと」

「そのあと本土に帰ったんですけど、多分また行くだろうなっていう気持ちが生まれていました。それで今度は、大学院最後の夏に3ヶ月のインターンシップ制度の島体験生として海士町で暮らすことにしたんです」

島体験生としての3ヶ月は、学習センターで勤務。滞在中に興味を持ったのが、大人の島留学を運営する側の仕事だった。猪原さん自身、島での暮らしを親身になってサポートしてくれるスタッフの存在に、励まされていたそう。

その気持ちを正直に伝えたところ、大学院卒業後に働くことになった。

「山口さんと感想が一緒になっちゃうから悔しいですけど、メチャクチャ面白いです」

「リーダーの青山さんが、『生き方、働き方をデザインできる島をつくっていきたい』ってよく話すんですけど、まさに自分がそれをしているなと感じていて」

自分のやりたいことができている、ということでしょうか?

「それに近いです。たとえば、島暮らしに興味があるけど一歩を踏み出せない人に、チャレンジできる機会をつくってあげる。同時に自分も、ここでいろんな人と話しながら新しいことを生み出す。その手触り感のある暮らしが、とても好きです」

普段の仕事の中心は、いろんな人とコミュニケーションをとること。あるときは大人の島留学生の悩みを聞いたり、あるときは地域で畜産業や漁業を営む人のもとを訪れて、自分自身も手伝うことで島の産業現場を知り、そこで働く人たちと関係性を構築したり。

コーディネーター自身が、現場で働く人を知っていることで、大人の島留学生と事業所とのミスマッチを減らすことができるし、より良いマッチングにつながっている。

ほかにも、シェアハウスに住む大人の島留学生の人間関係について相談を受けたり、大人の島留学生と一緒に新しいプロジェクトを立ち上げたりなど。

島にいるさまざまな立場の人と会って、一緒に手を動かしながら話すこと。それ自体が仕事になっているそう。

「知夫の人口は620人で、海士町の2300人よりかなり少ないんです。事業所も少なくて、漁業の仕事なんかは下半期になると仕事が減って大人の島留学生の手が空いてしまうんですよ。その時間をどう過ごしたらいいでしょう?って、相談を受けることもあって」

「逆に地域の人から、知夫の港でやってるイルミネーションをもっときれいにできたらいいよねっていう話を聞いて。大人の島留学生たちと一緒に何か自分たちでできることがあるんじゃないかって話になって、これからプロジェクトとして動かしていこうと盛り上がっています。大人の島留学生だけに、というよりも、知夫という地域に伴走して、みんなの小さいぼやきみたいなのを拾い集めている感じですね」

離島への移住者というと、自分でガンガン動いていくという人が多いイメージがある。けれど、大人の島留学のコーディネーターに必要なのは、みんなの話をちゃんと聞いて受け入れて、一緒に伴走すること。だからこそ、猪原さんは地域の人にも大人の島留学生にも信頼されているのだろうな。

最後に、島での暮らしについてはどうでしょう。

まずは、家族と移住してきた山口さん。

「やっぱりこの島での生活が、僕はいいなと思っていて。大阪にいた頃は、休みの日に用事もないのに買い物に行って、平気で2〜3万がふっとぶっていう生活をしてたんですけど(笑)」

「今だと山とか海にいって、栗を拾ったり柿をとったり。そういうのを子供と一緒に体験できる。自然のなかで過ごすのは、すごく楽しいです」

一方で、移住前には想像できていなかったこともある。

「開放的な自然環境がある一方で、コミュニティが小さいぶん、ご近所付き合いが都会より濃いっていうのは、実際に暮らしてみて感じることですね。畑をしてるんですけど、近所の人がよく見てくれていて、アドバイスをくれたり、草抜いた方がいいよって教えてくれたり、お裾分けをいただいたり。慣れるまで最初は戸惑うことも多いかもしれないです」

「離島って特別な環境なので、仕事だけというよりは暮らしを大切にしたいって思える人と一緒に働きたいですね」

猪原さんも、山口さんの話に頷きながら続ける。

「この仕事は0から1の過程に伴走したり、一緒に0の種を育てたり。ほかではあまり経験できないことがたくさんあるので、それを一緒に楽しめる人がいいですね。想像以上に、自分で仕事をつくることが求められる環境だと思うので」

取材を通して、「面白い」という言葉がふたりの話からたくさん出てきたのが印象的でした。

島と人をつなぎ、島の未来の土壌をつくっていく仕事。始まったばかりの今だからこそ、あなたの力を必要としています。

(2022/9/13 取材 稲本琢仙)

※撮影時はマスクを外していただきました。

大人の島留学を運営する島前ふるさと魅力化財団では、島前の教育にかかわるスタッフと、大人の島留学参加者も募集しています。あわせてぜひご覧ください。



2022/10/19公開



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