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学校をひらく人
公教育を
島から変えていく

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全国に広がっている高校魅力化プロジェクト。

生徒が通いたくなる、地域に愛着の持てる学びの場をつくることで、持続的に循環する地域を目指す取り組みが各地で行われています。

高校魅力化プロジェクトがはじまったのは、島根県の離島にある隠岐島前高校から。

取り組みはじめて15年がたった今では、日本各地から生徒が集まり、教育やまちづくりの先進事例として注目されています。

それでもプロジェクトは、まだまだ発展途上。

さらに活動を深めていくため、公教育をここから変えていこうという想いを共有し、ともに走っていける人を探しています。

経験を問わず募集しているのは、生徒たちに伴走する学習センターや寮のスタッフ、長期インターンなど、プロジェクトをともにつくっていく仲間。

今回はそのなかでも、あらたなフェーズを迎えようとしている小中学校の魅力化について、くわしく話を聞きました。

 

本土からフェリーで3時間。 海士町の港から見上げると、高台に隠岐島前高校が見える。

高校から坂を下ったところにあるのが、公営塾の隠岐國学習センター。

地域の人が出入りすることもある土間でスタッフの方と話していると、

「お待たせしました!前の打ち合わせでちょっと熱くなっちゃって」

と、隠岐島前教育魅力化プロジェクトのリーダーを務める宮野さんがやってきた。

高校と学習センターを行き来したり、フェリーで10分ほどの西ノ島町や知夫村に行ったりと、せわしなく動いている宮野さん。

日本仕事百貨の記事を読み、ここでスタッフとして働きはじめたのは10年前のこと。

「島に来たとき、ここでやりたいことを話してみたら、みんなふつうに受け止めてくれて。おもしろがって聞いてくれたんです。ここだったら隠さずに本気でいける、みたいな感じがあったのをすごく覚えています」

15年前、人口流出や財政難などさまざまな課題を抱え、島から高校がなくなる寸前にまでいたったときにはじまったのが「島前高校魅力化プロジェクト」。

地域全体を学びの場にしたり、外から生徒を受け入れる体制を整えたり、国内外の人と交流する機会をつくったり。

地域に愛着を持てる、生徒が探究を深めていける学びの場をつくってきた。

活動の範囲を、高校から島前地域全体の教育魅力化に広げたのは8年前。

海士町の小中学校には、高校と同様にコーディネーターという存在が籍を置き、地域と学校をつなぐ授業づくりを積極的に行うようになった。

隣の西ノ島町や知夫村の小中学校でも、それぞれの特色を活かした学校づくりが進んでいる。

「3町村で情報交換をする機会はあっても、基本的にはお互いに切磋琢磨、独自のやり方を続けてきました。昨年あたりから、それぞれの色は大切にしつつも、直面している課題を協力して解決しこうっていう機運が高まってきたんです」

今、学校では教員が専門以外の仕事を兼務したり、教育委員会職員が給食センターで調理をしているところもある。

教員の人材不足や子どもの減少。

それぞれの学校、ひとつの自治体では解決するのがむずかしい課題にいくつも直面している。

来年度からは、隠岐島前教育魅力化プロジェクトからコーディネーターを各学校に派遣して、島同士でさらなる連携をとっていくことになった。

「一緒にやっていきたいって、僕らはずっと願っていた状況で。すごく可能性を感じるんですよ。3町村の教育長、教育委員会の課長さんが集まってがんばろうって話になったとき、僕、もう感極まってしまって」

魅力化プロジェクトが目指すのは、持続的な学校、そして地域をつくっていくこと。

この地域に愛着を持って育った子どもたちが、進学や就職で島を出たとしても、いつか戻ってきて活躍する。戻ってこなくても、全国、世界各地に応援してくれる仲間がいることは、持続可能な未来につながっていく。

「公教育という場で、町村と学校が一緒になってここまでできるんだという教育モデルを突き詰めたい。島内からの信頼と島外からの期待に、ちゃんと応えられるプロジェクトにしていきたいと思っています」

少子化が進む今、これまでとはちがう教育のあり方を目指す私立の学校があちこちでつくられている。

多様なかたちがあるのは喜ばしいことだけれど、島前地域では、地域の子どもたちのための「公立の教育」であることをあきらめたくない。

「高校の魅力化がはじまったころって、全国から生徒が集まる学校をつくるなんて、夢物語だろうって言われてたわけですよ。だけど今、それが日常になっている。あたりまえのように高校生が地域の活動に参加しているんですよね」

「時間はかかるし、まあ大変です。それでも3町村あって、小中高あることを最大限に活かせると、めちゃめちゃおもしろくなると思うんですよ。ここで前例ができれば、全国のがんばっている公立学校の希望にもなるはずなんです」

 

宮野さんと同じように、熱い想いを持ってプロジェクトに取り組んでいるのが、コーディネーターの浅井さん。

海士町に家族で移住して、今は10歳と1歳の子どもを育てているお母さんでもある。

仕事では小中学校の魅力化全体のことを考え、仕組みをつくっていく役割を担っている。

「3町村にコーディネーターが入り、それぞれが連携していける状態になるのは、けっこう歴史的なことだと思っています。小中学校の魅力化といっても、3町村、それぞれの学校によって状況は大きくちがいます。コーディネーター同士が相談し合って、安心して進められる体制をつくりたいですね」

西ノ島町ではこの3年、コーディネーターを設置しない期間が続いていた。

人口約600人の知夫村では、6年前から子どもを受け入れる島留学が続けられているものの、来年度からは体制が大きく変わる予定。

海士町ではコーディネーターの存在が定着してきたが、まだまだできることを探っていきたい。

「なにもしなければ、いずれこの地域から学校がなくなってしまう。コーディネーターとして学校に入ったり、自分の子どもを通わせているのもあって、すごくもったいないなって思っているんです」

困るというより、もったいない?

「小さな学校だから、先生たち全員が、生徒みんなのことをよく知っているんですよ。親が誰なのか、どこで働いているのか。プラスのこともマイナスなことも、全部背景を知った上で子どもたちをみてくれるんです」

「少人数だからこそ、その子のよさを活かす教育みたいなものができるはずで。通わせている側からしてもすごく安心感があります。小中学校がより魅力的になると、ここで子育てをしたい人も増える。それは地域が続いていくことに直結していくと思うんです」

 

海士町にある2つの小学校と中学校には、それぞれコーディネーターが籍を置いている。

海士中学校でコーディネーターとして働いている根岸さんは、誰とでも気さくに話す人。

小学校の先生として働いたあと、自分自身の視野を広げようと青年海外協力隊に応募。派遣されたのは、サモアの学校だった。

「その学校は公民館みたいな機能も兼ねていて。常に学校のなかに先生以外の大人がいて、おしゃべりしてたり、昼寝していたり。日本との違いが衝撃だったし、境目が溶けているような感じがおもしろいなって思ったんです」

海士町に移住してきた2019年当時、高校の魅力化は全国に広がりつつあったものの、小中学校の魅力化はまだスタート地点に立ったところ。

コーディネーターがどんな存在なのか、小中学校を魅力的にするとはどういうことなのか。それまで担当していた人の動きを引き継ぎつつも、役割を開拓するようなところから仕事がはじまった。

「学校と地域の橋渡し役になるために、いろいろ試しましたね。つながりが資本になる仕事なので、あちこちに顔を出したりとか、地区の行事に積極的に参加したりとか。ネットワークをつくることを意識しているのは、今も変わりません」

総合的な学習の時間に探究的な学びを取り入れるにはどうしたらいいか考えたり、地域の人が学校の経営に関わるコミュニティ・スクールの運営役を担ったり。

学校の先生や教育委員会の方々、魅力化プロジェクトのスタッフと相談しながら、やり方や進め方をアップデートすることでコーディネーターの輪郭をつくってきた。

「今までは地域のなかにあるリアルな課題をひろい上げて、子どもたちに提示して。その解決を目指す授業をつくっていたんです。ただ、どうしても受動的になってしまうのが課題でした。今年からちょっとやり方を変えてみたら、すごくいい感じなんですよ」

ヒントは用意するものの、本人が気になることからものごとをはじめる。

自分の意思で探っていく、探究していくことを今まで以上に大切にしている。

「海のそばに半透明のスライムみたいなものが落ちていて、それがとにかく気になるって子がいて。漁港のほうにひろいに行ったら、近所の漁師さんが、それは松ヤニだって教えてくれました。今は松ヤニがなんなのか、時間をかけて探究しているんです」

小中学校は高校に比べ、規模も小さいぶん、地域との関わりも多くなる。

ただ触れ合う機会をつくるというよりも、どうするとより子どもたちが学ぶ機会になるのかを考えながら、通訳のような動きをすることもある。

「自治会の方から、ほこりを被ってしまった体育館を再活用したいと相談をいただいたんです。教育委員会の方や公民館長さん、区長さん、そして中学生が一緒になって考えていきました」

半年間かけて現地に足を運び、地域の人と関わりながら。 床をピカピカに磨いて、集まって遊べるスポーツを考えて。

子どもたちにとって、自分たちが住んでいるまちで起きている課題に取り組む機会になったそう。

「自治会の方々の話を直接『これやって』と伝えても、学校の教育としては成立しません。どうすれば生徒の学びが最大化されるのか、地域の方が求めていることがちゃんと達成できるのか。いい塩梅を探っていきました」

「子どもたちが関わるとなると、地域の方々もご好意から手厚いサポートをしてくれるんです。なにからなにまで用意してしまうと、子どもたちが試行錯誤する機会が減ってしまう。ありがとうございますって受け取りつつも、子どもたちが考えて行動するのを待ってもらうように伝える場面もありました」

公教育を変えていく。

高い志を持ちながらも、日々の仕事は地道なコミュニケーションの積み重ねになると思います。

日々の積み重ねが、島、そして日本の未来をつくっていくはずです。

(2023/10/6 取材 中嶋希実)

今回の取材では、島前地域で暮らし、働く人たち19人に話を聞きました。さまざまな挑戦が生まれていく風土が育まれてきた話を、コラムで紹介しています。

12月8日には、島前地域の人たちと一緒に東京・清澄白河のリトルトーキョーでしごとバーを開催します。教育魅力化プロジェクトのスタッフも会場にて参加予定です。記事を読んで、もっと話を聞いてみたくなった方も、ただただ飲みながらお話ししたい方も。配信もあるので、よければ覗いてみてください。

しごとバー「やりたい!に素直な人たち 挑戦と生きる島で

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