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TISTOU(ティストゥー)は、ベルギーのプランターやアウトドア家具 、チェコの照明など世界のデザインブランド7社の輸入総代理店です。
扱うものの判断軸は、商品の美しさとたのしさ、つくり手が一緒に仕事をしていきたい人かどうか。
つくり手も、お客さんも、自分たちも。共感し合える人たちとの関係を大切にしています。
今回募集するのは、家具や照明を中心に担当する営業企画と、各ブランドやTISTOUのコミュニケーションを考えていくデザイナーです。
経験よりも大切なのは、扱うもの、関わる人たちを好きになれるかどうか。
どんなことも笑いながら乗り越えていく人たちに、話を聞きました。
東京・蔵前。
地下鉄の出口を出てすぐ、大きなプランターが目印になっているのがTISTOUのショールーム。
色とりどりのフラワーベースが並ぶスペースを抜け階段を上がると、ユニークなかたちをしたテーブルや椅子、照明が心地よさそうに並べられている。
その奥で、画面に向かってたのしそうに話しているのが代表の平田さん。
親しげに話している相手は、産休中のスタッフとそのお子さん。
今はスタッフ15人中、2名が産休に入っていているものの、ときどきこうして連絡をくれるそう。上司と部下というよりは、親戚同士が話しているような雰囲気を感じる。
「会社をはじめて25年。長い付き合いのスタッフも増えてきました。みんなが日に日に頼もしくなるから、どんどんあたらしいことができるような気になっちゃって。今までやったことのない仕事でも、声をかけていただいたら挑戦したくなってしまうんですよね」
大学で園芸を学んだあと、フラワーアーティストになることを夢見てベルギーへ。世界一と言われるアーティストの元で修行をしていた時期もあるという平田さん。
3年間の修行を経て、自分の天職ではないと感じ帰国したそう。
その後各地を巡るなかで、日本の花屋にはフラワーベースが置いていないことに気がついた。
「プラスチックのバケツを使ったりしていて、そもそもフラワーベースが売っていないんですよ。だったら私が輸入しようと思って。仲のよかったDOMANIのデザイナーに連絡をとって、フラワーベースをスーツケースに詰め込んで、日本各地の花屋さんに持ち込んで。 右も左もわからないところからはじまったのがTISTOUです」
「自分がアーティストになることは果たせなかったけれど、伝える仕事だったらできる。ものを売るというよりも、デザインの力、文化や価値観を伝えるのが私たちの仕事だと思っていて。これからも伝道師として、日本に広める役割をしっかり全うしていきます」
理想とするプランターをつくるために、土や釉薬をつくるところからはじめるDOMANI。リサイクルガラスを原料に、昔ながらの手法でフラワーベースをつくるHenry Dean。
人が集うためアウトドア家具のextremis 、チェコの照明ブランドBROKISなど、扱うブランドは少しずつ増えてきた。
共通しているのは、製品の美しさとたのしさ。そしてなにより、一緒に仕事をしたいと思うつくり手かどうか。
「ただ売れればいいと思っているブランドがひとつもなくて。みんな製品をすごく愛しているし、つくるものが世の中の役に立ったらいいと思っている。そういう人たちと一緒に仕事ができるのが、すごくたのしいんです」
「職人さんの技術にはもちろん、製品に関わる人たちがお互いにリスペクトしあえる関係性のなかでできるものって、最終的に力があると思うんです。見た目の美しさだけではなくて、本質的にデザインがいいものには嘘がない。どんな人たちがつくっているのか知ることで、自信を持って広めていくことができるんです」
製品を輸入、販売することのほかに、ここ数年で増えてきたのが、空間のデザインやコンセプトから一緒に考えていく仕事。
オフィスや学校、公共空間など、人が集まる場所に製品をどう配置するといいか。そもそもどんな空間だと居心地がよくなるのかを考え、提案している。
2月に外苑前にオープンしたセレクトショップ「MAARKET トーキョー」では、併設されているアウトドアテラスをプロデュース。
TISTOUのスタッフも週に数日店頭に立ち、直接お客さんに製品のこと、つくり手のこと、アウトドア空間の考え方などを伝えていく場にしたいと考えている。
「バイオフィリックデザインという考え方に基づいて、 過ごす庭を提案しています。 日本では庭はどちらかというと家から眺める存在ですが、観賞するだけではなく、庭でくつろぐことの心地よさを体験してほしいと思っているんです。暮らす庭が増えたらいいなって」
「ものを売った先にいる人たちが、どうしたら心地よく過ごせるか。誰もがたのしく幸せになれる空間を、もっと日本のなかに増やしたいですね」
次に話を聞いたのは、アウトドア家具のextremisや照明のBROKISなど、主に家具のマーケティングから営業までを幅広く担当している和田さん。
平田さんとともに、空間プロデュースの提案をしたり、MAARKET トーキョーの店頭に立つこともあるそう。
ウエディングプランナーとして働いたあと、不動産の営業に転職。6年前、TISTOUに来てはじめて、インテリアや空間について学ぶようになった。
「クライアントから依頼があって見積りをつくったり、配送の手配をしたり。日々の仕事は地道な積み重ねをするような仕事が多いんです。私、仕事が多いほど燃えるタイプというか。こうやっていけば定時で帰れる!って組み立てるのが好きなんですよ」
落ち着いた雰囲気の和田さん。
印象に残っている仕事を尋ねると、extremisのデザイナーが来日したときのことを話してくれた。
「広島の広電宮島口駅前にAMAiというテーブルを20台納品した案件があって。デザイナーが来るなら一緒にイベントを企画しましょうって話になったんです。トークイベントで話す相手 を決めたり、出演交渉をしたり、配信の方法を検討したりもしましたね」
これから世界中で、公共空間がますます大切になってくる理由。
素材の耐久性、座りやすさ、メンテナンスのしやすさ、見た目のたのしさ。
さまざまなことを考慮しながらつくられている家具だということを、多くの人に知ってもらう機会になったそう。
「デザイナーのディルクは『私たちがつくっているのは家具ではなく“tools for togetherness”、人々が集うための道具だ』という話をするんです。もっと多くのみなさんに、彼のデザインへの熱い思いを伝えていきたいなと改めて強く感じました」
「駅前でおじいちゃんおばあちゃんが座ってゆっくりしていたり、修学旅行生がおしゃべりしている姿を見ました。朝から太陽を浴びて勉強している子もいて。いい使い方だね!って声をかけたかったくらいです。いいデザインが広まって、心地よく過ごせる場所ができたことに関われたんだってうれしくなりました」
ブランドの考え方、製品の心地よさやたのしさ。
TISTOUが伝えていきたいたくさんのことを整理しているのが、デザイナーとして働いている讃井さん。
和田さんいわく、「すごく周りを見て、察して動いてくれる人」なんだそう。
広告制作会社でグラフィックデザインを経験し、TISTOUにやってきたのが2年半前のこと。
製品カタログ、メールマガジン、Webサイトや資料作成など、社内における制作物を全て担当。さらに文章や構成を考えたりスケジュールを管理するところまで、制作に関わることをすべて担っている。
TISTOUで扱う9つのブランドに加えて、平田さんと進める空間の提案、TISTOU全体のブランディング。それぞれ大切にしている雰囲気や伝え方、伝える相手は少しずつ違ってくる。
昨年力を入れた仕事のひとつが、スペインのプレイツールブランド、rs barcelonaのフットボールテーブルのプロモーション。
日本ではあまりメジャーではないフットボールテーブルのたのしさが、どうすれば伝わるのかチームと考え、部活動やイベントを開催、特設サイトをつくったそう。
「写真や動画、どういう素材を用意して、デザイナーとしてどう料理するべきかよく考えました。もちろん複合的な結果ではありますが、売上が すごく伸びたんです。ちゃんと伝えれば伝わる、結果が目に見えて出る経験ができたのは、すごくうれしかったですね」
依頼されたものをそのままつくるというよりも、なにを伝えたいのか、どうしたら伝わるのかを自分でぐっと考えてから手を動かす。
肩書きにとらわれず、自分の経験を総動員してできることをやってみるのが、TISTOUっぽい働き方。
「よく考えて提案したものに対して、チームがいいねって言ってくれて、お客さまからの反応や結果も見えやすい。そのすべてに関われることが、大変だけどたのしいところかなと思います。大きなWebサイトから細かいPOPのデザインまで、適切な手段と考え方ができれば、行動を変えるきっかけをつくることができるはずなので」
「扱うプロダクトは、日本がもっとたのしく豊かになる可能性を秘めたものばかり。各ブランドの背景、世界観を含む魅力を伝える上で『デザインの力』はとても重要だと考えています」
半年前からここで働く宮下 さんも、自分のできることを活かして働いている人のひとり。
「映像制作会社で4年働いたあと、カナダで1年、イギリスで2年、憧れていた海外生活をしました。イギリスでたまたま日本の工芸品を売る仕事をすることになって。正直、工芸品ってそれまで興味がなかったんですが、知っていくうちにおもしろいなと思うようになって」
日本に戻ったら、ヨーロッパのプロダクトに関わる仕事をしてみたい。
そう考えていたタイミングで読んだのが、日本仕事百貨で掲載していたTISTOUのスタッフ募集だった。
「色鮮やかで、ユニークなかたちをしている花瓶がすごく素敵だなって。こういうもののバックグラウンドを知って、広められる人になれたらいいなと思って応募しました」
今は営業としてお客さんとのやりとりを学びつつ、これまでの経験を活かした映像制作など、いくつかの役割を担って働いている。
「衝撃的だったのが、入社して3日後にはじまった新商品の撮影でした。カメラマンさんなどプロの人たちに関わってもらいながらですが、撮影の段取りや構成を決めるのも、全部自分たちなんですよ」
「撮影に限らず、ここまで私に任せちゃって大丈夫? ってこともけっこう起こります。もちろん周りに助けてもらいながらではありますが、任せてもらったからにはがんばろうって思えるんです」
TISTOUではなにをするにも、まずは自分たちで手を動かしてみることが多い。
プロと一緒に進めることもあるものの、製品やつくり手のことを一番理解している自分たちの感覚を大切にしている。
「覚えることがいっぱいで、日々あわただしくしています。それに加えて、毎週のようにボスがあたらしいプロジェクトの話を持ってきたりして。ほぼ毎日予想していなかったことが起きるので、たのしさと緊張感とでいつもドキドキしています」
TISTOUの人たちは、どんなこともたのしそうに話すのが印象的。
自分たちがやりたいことを実現するために、関わる人との関係も、働きやすさも居心地も、自分たちの手でつくっていく。
たのしみながら前に進んでいける人からのご応募、お待ちしています。
(2024/1/31 取材 中嶋希実)