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玉石混交の世の中に
モノ好きのプロが
投じる一石

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

一説によると、わたしたちの身の回りにある雑貨や日用品、名前がついている分だけでも約2万種類以上はあるらしい。

コーヒーカップ、ボールペン、デスクライト、ノート、挙げていくと、たしかに多い。さらにそれぞれのジャンルにも、無数の選択肢がある。

そこから自分の好きなモノだけを選んで集めるなら楽しいかもしれない。一方で好みや美醜に関わらず、それらをくまなく見ていくことになったら、気が遠くなりそうだ。

もし、それら一つひとつを嬉々と調べる人がいたら、相当な“モノ好き”だと思う。

今回紹介するのは、そんな貪欲なインプット体質を活かして、自分たちの仕事をつくってきた会社。バイヤーの山田遊さんが立ち上げたmethodです。

お店やモノづくりのディレクション、MD計画やイベント企画など、幅広いプロジェクトを手がけるmethod。モノも情報も飽和状態の世の中で、「そんなやり方もあったのか」と思わされる新鮮な提案を続けています。

今回は、ここでプロジェクトマネージャーとして働く人を募集します。プロジェクトを成功させるために必要なありとあらゆる作業が、プロマネの仕事です。

1を頼まれたら10で返すくらいお節介で、よく気がつく人。物事の“そもそも”が気になって仕方ない人。自分の感性に合うモノや情報だけじゃなく、嫌いなモノ、興味のないことまで、世の中にあるコンテンツ全部を見て、自分の糧にしてやろうという、モノ好きを求めています。



株式会社methodのオフィスは、渋谷駅から10分ほど歩いたところにある。

代表の山田遊さんが会社を立ち上げたのは17年前。

山田さんはもともとIDÉEのバイヤー出身。独立当初は、商品セレクトやショップづくりの仕事がメインだった。国立新美術館のミュージアムショップや、中川政七商店など、東京都内だけでもmethodが関わったショップがたくさんある。

一方ここ数年はイベントや、複合的な施設をゼロから一緒につくるようなプロジェクトまで、幅を広げている。

その背景には、山田さん特有の「そもそも」を問う姿勢があった。

「お店に並べる商品をひとつ選ぶにも、それが置かれる棚、空間、お店のコンセプト、出店戦略はそもそもどうなのかということが気になって、口を出してしまう。そうやって川上へ遡っているうちに、コンセプトメイキングから携わる仕事が多くなりました」

「僕らはお節介なので、口を出すだけじゃなく手も動かします。PRが必要であればその方法を考えるし、自分たちでできないことに関してはその分野のプロを探してくる。プロジェクトを成功に導くための、ありとあらゆる作業をワンストップでできるのが強みだと思います」

過去の実績をモデルにお店をつくってほしいというニーズも根強くあるものの、山田さん自身は、同じことの繰り返しより、まだ世の中にないものをつくりたいという思いが強い。

パンデミックを経験して、よりいっそう、今まで通りのやり方を続けることに疑問を感じている。

「社会構造がどんどん複雑になっていくのに合わせて、ショップやオフィスも形を変えていく必要がある。それで最近は、建築家とともに考えた小型の複合施設『Micro Complex(マイクロコンプレックス)』という定義で、場づくりをすることが増えています」

今、熊本で取り組んでいるプロジェクトもそのひとつ。

ネジや工具などの機械部品を扱う商社からの依頼で、新しい拠点をつくることになった。

クライアントである経営者は、もともとエンジニアリング業界の閉塞感を課題に感じていた。

もっと、人や情報が行き来できる開かれた場があったら。そんな構想を、自分たちの社屋をベースに実現していくことに。

「今のオフィスは熊本市内の工業団地にあって、部品や工具のショップも併設されています。エンジニアや大工さんなどプロのユーザーはもちろん、ハーレーなど愛車のカスタムにこだわりの部品を必要とするような個人のお客さんからの信頼も厚い会社なんです」

ショップに立ち寄ったお客さんが、スタッフと気軽に会話できたり、制作の相談をしたり。

今ある土壌を活かしながら、プロのエンジニアをはじめ色々な属性の人たちがシームレスに立ち寄れるように。移転後の新しい社屋には、24時間営業のショップに加え、コワーキングや、金属加工に特化したファブスペースなどの機能を備える予定。

「僕たちはこれを『エンジニアリングのためのコモンズ』と呼んでいます。プロも、個人も、子どもの自由研究も歓迎したい。本格的な資材と設備でモノづくりができる環境が身近にあることで、将来機械工学を志す子どもが増えるかもしれない。そんな希望も込めたプロジェクトです」

新しい施設の仕組みや機能は、山田さんたちが商社で働く約20名のスタッフと対話しながらまとめたもの。

プロジェクトの初期には、「合宿」と称して泊まり込みのワークショップも開いた。

自ら足を運び、目で見て、体験するというプロセスは、山田さんたちが仕事をするうえで特に大切にしていること。

商品をひとつ選ぶためにも、数十種類を取り寄せて比較することも。華やかな仕事のイメージもある一方、アプローチはかなり地道だ。

「僕らの仕事はそういう膨大なインプットの上に成り立っていて、そこだけは譲れないです。もちろん、自分がいいと思うモノを選ぶだけでも売り場はつくれますけど、ほかを見ていないと、それがベストだとは言い切れないので」

「自分の好きなモノだけじゃなくて、興味がないモノ、ときにはクオリティのも低いモノも含めて、世の中にあるモノは全部見ておく。そのくらいの気持ちがないと、相対的な判断ができないし、本当に新しいものごとはつくれないと思います」

買い物をしたり、展示を見たり。世の中に日々生み出されるコンテンツを、取り込み続けることを楽しめるかどうか。

現時点で備わっている知識量というより、これからもインプットを続ける体力、耐性があることが、methodのプロマネに必要な適性なのかもしれない。



「山田は、出張中少しでも空き時間があればにすぐに『〇〇に行きたい!』と、興味のある場所に足を運んでいます。それは義務ではなく、仕事と趣味がシームレスな感じ。スタッフもみんな、そういう体質だと思います」

そう話すのは、山田さんと一緒に熊本のプロジェクトに携わっている小林さん。

今は、新しくできるショップの棚の配置を考えながら、何万点とある細かい工具類をどう見せるかを考えているところ。

必要な部品を急いで買いに来るプロの職人さんから個人のユーザーまで、どんな人にもわかりやすい導線をイメージしながら、クライアントとともに計画を練っていく。

「商品の配置を何センチ間隔にするかというようなディテールを決めるときでも、最初に決めたコンセプトから離れていないか意識するようにしています。全体を見渡すマクロの視点と、実際のオペレーションまで想定するミクロの視点と、常に行き来しながら考えることが大事なんだと思います」

コンセプトメイキングや、進行に必要な打ち合わせなど、現場でのやりとりや調整は、プロマネが主体的に担っていく。コミュニケーションを通して、クライアントとの信頼関係を築いていくのも、重要な役割。

商品セレクトやディスプレイなどバイヤーに近い役割もあれば、事務処理、予算管理、デザイナーやコピーライターの手配など、仕事は多岐にわたる。

同じプロジェクトは一つもないため、作業をマニュアル化するのは難しい。場数を踏むことで、自分なりのやり方を見つけていく。

また、小林さんたちが担っているのはクライアントワークだけではない。

「methodでは、会社の運営に必要なバックオフィス業務も、プロジェクトの一つという認識なんです。業務で発生した請求書をまとめて税理士さんとやりとりしたり、新しいメンバーが入社する際は備品の準備など環境を整えたり」

バックオフィスは、会社を円滑に動かすためのプロジェクト。とはいえ、労務の手続きなど、一般的にはそれ専門の部署や担当者がいる場合も多い。

「私も未経験でしたし、たしかに向き不向きはあると思います。ただ、やってみるとクライアントワークにも活かせる知識や経験が得られて、学びも多かったです」

プロジェクトによっては、経営のコンサルティングに近い役割を担うこともあるので、会社運営の仕組みを知ることは、マネージャーとしての引き出しを増やすことにもつながる。

 

「思った以上にたくさんのことができる仕事だと思います」

そう話すのは、もうすぐ入社4年目を迎える金子さん。

最近は札幌の商店街にあるビルのオーナーさんから依頼されたプロジェクトを担当している。

商業施設をリニューアルするにあたり、新しい施設のあり方だけでなく、建物を壊したあと、生まれ変わる“過程”にも伴走していくことになった。

「オーナーさんはもともと『街と対話し続けたい』という思いを持った方で。ビルの建て替え工事などでその場所が閉鎖され、街とのコミュニケーションが途絶えてしまうことに違和感を持っていました」

街や人とのつながりが育まれるビルをつくるため、建物を壊し更地になったタイミングで、その場所を「空き地」として使ってみることになった。

実際に今、ビルがあった場所でイベントを開催するなど、金子さんも現地に長期滞在して奔走中。コンセプトや全体の進行を考えるだけでなく、イベント当日は会場でドーナツを売ったり、運営スタッフとして短期アルバイトを雇用する手続きをしたり。

「その「空き地」のなかにできつつあるコミュニティを、どうすれば新しいビルにインストールできるか。コミュニティを維持することと、商業施設として利益を出す仕組み両方を考える必要があります。施設運営のシミュレーションも兼ねて、オーナーと一緒に経験を積んでいるところです」

「私たちがプロジェクトに伴走できる期間は限られている。だからこそ、新しいビルができたあと、何年も先のことまで想像して、先回りする配慮や思いやりが大切なんだと思います」

隣で話を聞いていた山田さんが、言葉を添える。

「僕らにとってはいくつもある仕事の一つでも、クライアントにとっては一世一代の大勝負。絶対に成功させなきゃいけないと思うから、僕たちも同じように悩みます。」

「正直、ビルを使って簡単に稼ぐ方法はいくらでもあるけど、彼はあえて茨の道を行こうとしている。だからこそ、新しいものが生まれるし、このプロジェクトの成功はクライアントのためだけじゃなく、利益優先で街の開発が続く社会に対しても一石を投じる意味があると思っています」

一軒のお店から生まれる小さなコミュニティ、そこから醸成される文化で、世間の風向きを変えていく。

きっかけを生み出すために、自分の目で見る、足を運ぶ、声を聞くという地道なインプットを繰り返す。それがmethodのあり方なのだと思いました。

(2024/4/15 取材 高橋佑香子)

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