求人 NEW

人の気持ちも整える服
自然のなかで
深呼吸するように

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

「洋服は1日身につけて過ごすものだから、心地いいものであれば、着る人の気持ちも優しくなる。それは、世の中の平和につながることでもあると思います」

そう話すのはevam evaのデザイナー、近藤尚子さん。2000年にブランドを立ち上げて以来、カシミアやリネンなど上質な天然素材を使った服づくりを続けてきた方です。

evam evaはもともと、昭和20年創業の近藤ニットというメーカーが母体となって生まれたブランド。山梨県にある本社工場で、企画から生産まで一貫して行っています。また、本社のまわりに広がる豊かな田園風景は、洋服のデザインにも影響を与えているといいます。

今回は山梨にある旗艦店をはじめ、全国のevam evaのショップで働く人を募集します。

洋服のこと、布や糸のこと、いいものを長く大切にすること、季節を楽しむことなど。暮らしにも役立つさまざまな感覚が身に付く現場です。

入社時点でアパレルなどの経験は問いません。先輩スタッフには、オフィスワークや介護職、公務員など他業種から飛び込んだ人も多くいます。社会人経験が浅くても、家族や友人など身近な人を思いやる気持ちがあれば、接客という仕事に活かせると思います。

 

2024年、夏のはじめに訪ねたのは、東京・二子玉川にあるショップ。駅からほど近い商業施設、髙島屋S.C.の2階にある。

売り場の中心にある大きなハンガーラックには、淡い色から濃い色へグラデーションになるように、整然と服が並ぶ。

その多くは天然素材ならではの柔らかな雰囲気。少し近づいてみると、シャリ感のある風合いや、とろみのあるドレープなど、思わず触ってみたくなるような質感のものばかり。

「SNSやオンラインショップをご覧いただいているお客さまでも、やっぱりevam evaの洋服は実際に手に取って選びたいと、足を運んでくださることが多いです。素材によって色の見え方が変わったりもしますし、着てみるとまた印象も違いますよ」

そう教えてくれたのは、入社して7年目の店長の黒丸さん。

もともと黒丸さんがこの仕事を選んだのは「自分が心からいいと思うものを届けたい」という思いがあったから。

「肌触りが良くて心地いいだけじゃなくて、シルエットをきれいに見せてくれるので、着ると自然に背筋が伸びるような気がします」

柔らかさのなかに、一本芯が通っているような凛とした佇まい。

これは、evam evaの人たちがよく使うキーワードのような言葉。商品のデザインだけでなく、働く人の姿勢にも共通するスタンスだ。

ショップには男性も含め幅広い年代のスタッフがいて、それぞれ個性はあるものの、佇まいや言葉遣いにはどこか共通した雰囲気がある。

「丁寧だけど堅苦しくない、正しい日本語を使うようには心がけています。私自身も、お店での接客の丁寧さに惹かれたことが入社の理由のひとつでしたので、最初は先輩の言い回しなどを真似しながら研究していました」

黒丸さんの話し方は柔らかいけれどはっきりと、明るいトーンで聞きやすい。スタッフとの会話をたのしみに来店されるお客様も少なくない。

ちょっとした世間話から垣間見える相手のライフスタイルが、提案のヒントになることもあるという。

「たとえば、旅行に着ていく服を探している方にはシワが気になりにくい素材、小さなお子さんがいらっしゃるならお手入れが楽なもの。暑さ寒さの感じ方も体質によって違います。なるべく長くたくさん着ていただけるように、その方に合わせた服選びのお手伝いをしたいですね」

「私たちの仕事は服を売るだけではなく、空間や接客を通してお客さまにブランドを知っていただくこと。お店で過ごす時間そのものを楽しんでいただけるように心がけています」

このお店独特の心地よい空気感は、徹底した整理整頓によって維持されている。

黒丸さんたちの仕事を近くで観察していると、糸くずや什器の乱れなどを見つけては、絶えず場を整え続けているのがわかる。

洋服を綺麗に畳む、埃を取る、曲がっていたら直す、ハンガーはいつも等間隔に。みんな自然に体が動いている。

だから、売り場だけでなくバックヤードも整然としている。

言葉も空間もきれいな状態が当たり前。毎日この売り場で過ごすことで、自分の暮らしに対する感覚も変わっていきそう。

「お客さまがいらっしゃらない時間にも仕事はたくさんあります。商品知識をインプットしたり、顧客の方に新商品入荷のご案内をしたり。天気や在庫の状況を先読みしてディスプレイを変えることもありますし、空いた時間をいかに無駄なく使うかはいつも意識しています」

「それに入念に準備することで、接客の時間がより楽しくなりますね。弊社の社長はよく『段取りが8割』と言うのですが、ものづくりがベースにある会社らしい言葉だと思います」

もともと黒丸さんは、つくる側の仕事に興味があったものの、自分でゼロから表現することには苦手意識もあった。

evam evaはものづくりを主体としているブランドなので、売り場に立つ人も、ものづくりの一端を担っている実感があるという。

「私たちがお客さまから聞いた声が、企画に活かされることも多いです。たとえば、商品の売れ行きや販売動向を見て、追加生産の希望を直接企画に伝えることもできます」

また、数字に表れない感触を企画にフィードバックできるのは接客に関わるスタッフだからこそ。

商品を購入されたお客さまはどんな理由で選ばれたのか。

“お子さまの学校行事に着る服を探しに” 来店された、“ジャケットがほしい” という声があった、など、接客のなかで聞かれるちょっとした言葉が、企画のヒントになることもある。

「自分の仕事がものづくりと直接つながって循環を生み出している。全体の流れが腑に落ちて理解できたとき、急に視界が開けたような感覚がありました」

黒丸さんの前職は事務で、アパレルの仕事は未経験からのスタートだった。ブランドのなかで自分の役割を自覚できたことで、マネージャーとしての仕事にも興味を持つようになった。

「挑戦してみたいという気持ちがあればチャンスをもらえる。努力したぶんだけ返ってくる環境だと思います」

 

2000年にスタートしたevam evaは、現在全国10都市に直営店が18店舗。本社からほど近い山梨のショップでは洋服だけでなく、生活雑貨や食事などを通してライフタイル全般の提案もしている。

evam evaの洋服は、山梨の自然からインスピレーションを受けてつくられる。山の色など目に見えるものはもちろん、それらに接したときの心地よさまで洋服を通して表現するというのが、創業以来変わらないスタンスでもある。

社員として入社する人には、洋服が生まれる背景を知るための“山梨研修”の機会も設けられている。

「写真で見たり、話に聞いたりするだけじゃなくて、実際ここへ来て体感することで、お店でのアウトプットも変わってくると思います」

そう話すのは、デザイナーの近藤尚子さん。山梨の仕事場からオンラインで話を聞かせてもらった。

evam evaでは、百貨店など都市部のビルのなかにある店舗でも、植物や、木製の什器などを多く取り入れ、空間に自然を感じられるよう工夫している。

たとえば、二子玉川店の試着室で小物置きとして使われている木も、山梨から取り寄せたもの。また、店舗のディスプレイは、各店舗のスタッフが近藤さんと直接相談しながら決めている。

「私がアドバイスをするだけでなく、スタッフから『配置を変えてみたい』という意見が出ることもあります。それはもう実際にやってみないとわからないし、どんどんやってみて、と話すようにしています」

近藤さんは遠隔地で働くスタッフとも、チャットで密にやりとりをしている。プロモーションの計画から、今日お店を訪れたお客さんのことまで、日々いろんなことが話題にあがる。

「基本的にはどの店舗でも同じ商品を扱っているのですが、お客さまのなかには、旅行のついでなど、いろんな地域でお店を訪ねてくださる方もいるようです。内装など、お店ごとの違いに興味を持ってくださっているのかもしれませんね」

整えられた空間に、スタッフの凛とした佇まい。店舗では、evam evaというブランドの世界観が体現されている。

一方で近藤さんはスタッフに対して、その「evam evaらしさ」という枠にとらわれすぎないでほしい、とも言う。

「もとからブランドを知っていて入社する場合は特に、あるべき姿を意識しすぎて緊張してしまうことがあるようです。私はそれよりも、一人ひとりが自分らしく働くことを大切にしてほしい」

「仕事を始める時点で必要なのは、自分の目の前の人に対する思いやりの気持ち。販売員としての振る舞い方は、日々の仕事を通して少しずつ丁寧に身につけていけると思います」

ブランドが生まれて、25年。店舗が増え、家族が大きくなった実感はあるものの、服づくりへの向き合い方は本質的に変わっていないという近藤さん。

冬には柔らかなカシミア、夏には水撚(よ)りという技法でつくられた特別なリネン。気に入った素材は、何シーズンにもわたって使い続けることも多い。

長年お店に通うお客さんたちも、それらが毎年新しい服となってお店に並ぶことを楽しみにしている。

「そろそろ別の素材を、とも思うのですが、やっぱりいい素材は何度も使いたくなってしまう。また、その姿勢を評価してくださるお客さまの存在が、現場でものづくりに携わる人たちのモチベーションを高めて、いいお洋服が生まれるという循環が続いていると思います」

最近は生地や糸からオリジナルでつくることも増えてきた。ワンシーズン限りではないからこそ、開発にもこだわりと熱意を持って取り組める。

「素材をつくってくれる人たちがいなければ、服づくりは成り立たない。この業界を取り巻く状況は年々厳しくなってきているし、本当に、私たちもひとつの森をつくるような気持ちで仕事に向き合わなければと思っています」

 

近藤ニットのものづくりが、繊維業界という大きな森で木を植えるような営みだとすれば、その服を売る仕事はきっと、森の中と外をつなぎ循環を生み出す役割だ。

1日1日、丁寧に服を届けることが、その森を維持する大きな力になる。

興味が湧いたら、まずはお店で服に触れて、心地よさを体感してみてください。

(2024/6/27取材、2025/3/25、2025/8/22更新 高橋佑香子)

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