とことん無駄を省く。ほんとうに必要だと思うところにお金や時間を注力する。
中古マンションのリノベ再販を手がけるウダツは、そんなシンプルで合理的な選択を積み重ねてきた会社です。

取り扱うのは、ほとんどが昭和57年以前に建てられた、旧耐震の物件。売れ残りリスクを考えて競合業者は買いたがらないので、比較的安く手に入れることができる。
自ら仕入れ、工事も外注せずに自分たちで手がけているため、品質の高い材料や設備を採用し、手間をかけて施工しても、トータルコストは抑えやすい。
それは結果として、お客さんの買い求めやすさにもつながっています。
今回は、会社を支えるバックオフィスメンバーを募集します。
経理・総務、営業アシスタントなど、仕事内容は幅広いです。出社は週に1〜2日で、残りはリモート勤務が可能。不動産業界での経験があることが望ましいですが、未経験でも意欲を重視します。
時間や場所といった制約によって働くことをためらっている人がいたら、ぜひウダツを知ってほしいです。
昨年、代表の宮島さんは60歳を迎え、「10年後にウダツをたたむ」という宣言をした。
10年後には70歳。
今のメンバーは30代と40代が中心で、ビジネスパーソンとして一番良い時期。そのタイミングで唐突に伝えるより、あらかじめ共有しておくことで、それぞれが次の準備もできるだろうと考えた。
宣言はした。ただ、どうやって畳むかは決め切っていない。
宮島さんは社員と話しあう道を選び、日本仕事百貨も対話のサポーターとして伴走することになった。
たたむけれど、採用。この一年を経て、宮島さんはどんなことを考えているんだろう。
目黒駅からバスで5分、目黒通りをほんの少し奥に入ったところにある事務所で聞いてみる。

「いつ辞めるんだろう、誰に売るんだろうって曖昧なまま続けるのが嫌だったんです。会社を畳む決定って、死ぬ日を自分で決めたようなもの。だからこそ漫然と過ごすんじゃなく『残された期間を、どう精一杯生きるか』とポジティブになれた」
「それから、2人のメンバーがウダツを引き継ぐことに興味を持ってくれて。それなら自分がやってきた重要な意思決定や権限も、現場のリーダーたちに少しずつ移していこうと、具体的に動き出せたんですよね」
重要な決定というのは、仕入れ物件の価格判断とリノベーションプランの策定。
他社に競り勝ち、利益を残す適正な判断と、その物件をどんな人に向けた空間にするかという具体的なターゲット像の設計が求められる。
これまで宮島さん一人が担ってきた判断を、出来るだけ早く現場のリーダーたちへ託していく。
「『ぜひやってみたい』と言ってもらえて、嬉しかったなっていうのはあります。『いや、私には……』と言われるかなと思った。前まではそんな感じだったから」

限られた時間のなかで、最高の成果を出す。
ウダツが掲げる目標のひとつが、平均年収1000万円。
インパクトの強い目標に見えるかもしれない。けれど宮島さんと話していると、それは単に数字を追うためではなく、働く社員が将来に不安を抱かず、ビジネスパーソンとして自立して生きていくために必要なものなのだとわかる。
もちろん、前提は買ってくれるお客さんに高い満足を届けること。
競合が敬遠する旧耐震の物件を安く仕入れ、自社で施工し直販する。ものづくりに妥協しないからこそ、高い粗利が生み出され、お客さんにも喜ばれる。
「社員は7名。この規模では大きな売上をあげているほうなんですけど、あともうひとつ、とにかく無駄を省くことを、突き詰め続けてきてる自負があって」
自分たちの事務所も、購入した収益物件のテナントが退去後、そこに移転して割安に。独自に開発した「スマート内見」も、そのひとつ。
販売中の物件にインターネットを引いて、みまもりカメラとスマートキーボックス、タブレットを設置。見学者はキーボックスから鍵を取り出して自分たちだけで部屋に入る。スタッフが自宅や事務所から、リモートでタブレットを立ち上げてモニター越しに案内をおこなうというもの。

「年間50物件、500組を超える内見の移動や応対時間がゼロになりました。画面越しなので待ち時間を有効活用できますし、営業に張り付かれない内見スタイルは、お客さんからも自分のペースで内見できるから、と好評なんです」
無駄を減らして、生産性を高める。そうしてできた余白を、空間に、働き手に還元する。
創業期、社員の「月に1週間は実家の島根に帰る」働き方を求人に掲げたところ、700名を超える応募が集まったそう。世の中にフレキシブルな働き方の選択肢がいかに少ないのかを痛感したのが、宮島さんの原体験だ。
卒業したスタッフとも業務委託でつながるなど、やるべき仕事さえ果たせば場所も時間も縛らない。その柔軟な姿勢は、いまも変わらない。
「子育てや介護、いろいろな事情で週5日、9時17時で会社に行くのは無理だからと、せっかくのキャリアや能力を眠らせている優秀な人が世の中にはたくさんいる。今回の募集でも、そういう人たちと、繋がれたらと思っているんです」
今回募集するのはバックオフィスメンバー。これまで8年間この役割を担ってきた若松さんが、年末から産休・育休に入るためだ。
もともと駅ビルを運営する大手デベロッパーで働いていて、日本仕事百貨の記事をきっかけにウダツへ転職した。

「前の会社はけっこう大きくて、稟議手続きなど意思決定に時間がかかる環境でした。ウダツに入った時は『宮島さん、これどうしますか?』と聞いたら『もう進めちゃっていいよ』と言われて、そのスピード感に最初は必死でしたね(笑)」
若松さんが担っているのは、会社の裏側を支えるさまざまな仕事。
月に2回、お金のやりとりをまとめて税理士さんへ引き継ぐなどの経理仕事。物件の売り買いがあるときに、契約書を確認したり必要な資料をつくったりする営業のサポート。さらに、みんなの健康診断や給与の手続きといった、働く環境を整える総務や人事の役割もこなしている。
「出社するのは、週に2回ほどです。郵便物は開封してパソコンに取り込んで整理したり、売買契約書をファイルに収めたり。事務所でしかできない作業を集中して行い、残りの日は自宅。チャットツールやメールでみんなのサポートをしています」

プロジェクトは常に20〜30件ほど動いている。
週一回のミーティングで状況を確認し合うほか、施工後は全社員が集まり物件のセールスポイントを押さえる。ときに営業の代わりに内見対応することや、販促のためにディスプレイするインテリアの搬入を手伝うことも。
「最初のうちは全体を把握するのが大変だと思います。やっぱり広く全体を見て、常にアンテナを張れるタイプの人だと合っているんじゃないかなと思います。作業自体もすごく地味なことが多いですし」
「でも昔、解体現場の手伝いに行ったことがあって。状態のよくない物件も、同じ社員である現場監督が取り仕切ってリノベしたらこんなにすてきな部屋に生まれ変わるんだって。完成した姿を見たとき、ものすごく感動したんですよね。裏方として、そんなものづくりに携われていることがうれしいんです」

若松さんは育休を経て、またウダツに復帰する予定だ。
「このあいだの社内研修でも改めて思ったんですけど、ウダツの人ってみんないい人なので、その人たちの役に立ちたいって思う。働けば働くほど、それが年々大きくなって」
「年齢の差はあっても、対等というか。10歳以上年の離れた若手メンバーに対しても、偉そうにする人がいない。それはたぶん、みんながお互いの仕事を尊敬し合っているからだろうなって」
昨年の11月に入社したばかりの内田さんも、働いてみて気づいたことがあるという。
営業として仕入れ、販売を担当。好きな旅先は、バリ島。溌剌としていて、気持ちのいい方。

「みんな自立していて、誰かが号令をかけてこれやって、とか指示することは一切ないんですよ。何かが始まったら『じゃあ自分はこれをやるんだな』って、自然とおのおのが動いていく。それがすごく印象的でした」
ウダツのプロジェクトは、12ヶ月が基本。物件を買ってからすぐに工事に入り、購入者を決めて期限内には必ず銀行にローンを返済する。
物件のリノベーションが完了して撮影、売り出しだと、2〜3ヶ月のタイムロスが発生してしまう。そこで着工が決まったら、未完成でも3Dパースを発注し、若松さんが図面を描き、内田さんが必要な情報をまとめてホームページにアップする。
1日でも早く情報を届けて購入者を決めるため、みんなで一丸となって動き始めるのだという。
「若松さんのように、静かなサービス精神を持つ人というか。こう動いたらみんなが働きやすいかなって、相手を察して動ける人が合いそうな気がしますね」

前職で不動産の仕事をしていたころから、小規模ながら高い利益率を出し続けるウダツに注目していたという内田さん。
仕事のスケジュールを組みやすいこと、そして少数精鋭で全体の流れを掴みやすい環境であること。会社をたたむ10年後には独立できるくらいの力をつけたいと考えて応募した。
とくに印象に残っている仕事がある。西早稲田にある古い物件の仕入れだ。
「昭和48年に建ったマンションの1階で、都電が目の前を走っている物件でした。長い期間売れ残っていて、仕入れるときちょっと不安だったんですよ。やっぱり電車の音も気になりますし」
先輩スタッフや宮島さんも物件を確認すると、1階の事務所テナントの天井が高いことから、「この部屋も解体して天井を抜けば開放的な空間がつくれるはず。工夫次第でしっかり利益を出せる」と判断した。
いざ仕入れて天井を壊してみると、予想どおり40センチぐらいの空間が天井裏に隠れていたそう。
電車の音が気にならないよう、寝室は線路から離れた場所に配置。
完成した部屋は、のどかな都電の風景が窓から覗く、洗練された上質な空間に。

「売り出して2ヶ月弱で、ぴったりのお客様に購入していただけて。自分の仕入れた物件のかくれていた魅力が、形になって生まれ変わり、しっかりと利益を生み出せたことはうれしかったですね」
「手取り足取り面倒を見てくれる上司はいません。リモートや自由な環境も楽をするためでなく、自分で自分をコントロールして、どう成果を出すかを考えられる人だといいですね」
無垢材の床に白い壁と天井。住む人の暮らしが映えるキャンパスのように、余計な装飾を削ぎ落としたシンプルな空間をつくる。
ウダツという組織もまた、無駄な手続きや制約を省いたからこそ、一人ひとりが自由に自分らしく生きられる余白が生まれているように思う。
冷たい効率主義ではなく、心地いい合理性をもつウダツのあり方に重なる人は、きっといると思いました。
(2026/08/31 取材 杉本丞)