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土地を味わい、堪能する
酒蔵がつくる
泊まれるレストラン

九州随一の酒どころ、佐賀県鹿島市。

江戸時代から酒づくりが盛んに行われてきたこの土地で、佐賀を代表する銘酒『鍋島』も育まれてきました。

今年の秋、鍋島を製造する富久千代酒造が、江戸時代からの古民家を改修し、宿泊施設を備えたレストランをオープンします。

蔵の中を見学したり、地元の食材を使った料理と日本酒のマリアージュを楽しんだり。酒蔵ならではの提案にあふれた場所になりそうです。

今回は、レストランのサービススタッフ兼マネージャーを募集します。



JR博多駅から、特急かもめに乗って1時間半。あたりは、田んぼが広がるのどかな風景へとだんだん移り変わってゆく。

到着した肥前浜駅から歩くこと数分で「鍋島」と染め抜かれた大きなのれんが目に入った。ここが、富久千代酒造。

扉を開けると、代表の飯盛理絵さんがにこやかに迎えてくれた。

事務所の隣に建つ酒蔵を通って、奥のミーティングルームへと案内してもらう。静かでほの暗い酒蔵では、蔵人たちが集中して作業をしている。

「今はちょうど、杜氏の夫と若い蔵人たちが酒づくりの真っ最中なんです。うちは酒づくりの期間が長くて、8月の終わりから6月までかかりきりなんですよ」

大正時代に創業した富久千代酒造。

理絵さんの夫である直喜さんが地元の酒屋さんとともに生み出した鍋島は、今や富久千代酒造の代名詞となっている。

「地元に愛される日本酒をつくりたい、という想いで生まれたお酒です。今は20種類以上あって、全国各地のこだわったお米を使わせていただいています。味はさまざまですけど、どれも生酒のようなフレッシュさが特徴なんですよ」

「大切にしているのは、お米の力を信じること。工業製品のように味を規格に合わせるのではなく、自然体のお酒をつくりたいと思っています」

その年の天候によって変わるお米の出来や、発酵の進み具合を見て、そのときのベストな酒質を目指す鍋島の酒。

「直売はしていないんです。ネットやスーパー、百貨店などでも販売していなくて。鍋島のことをよく理解して一本一本大切に届けてくださる特約店の小売店さんだけに、販売をお願いしています」

「そういう信頼関係と自分たちのこだわりで築いてきた鍋島ブランドの価値を高めるとともに、日本酒を通じて地域に還元していきたいと思っていたんです」

そんな折に、「酒蔵通りの古民家が新しい持ち主を探している」という話を耳にする。

ここから歩いてすぐの酒蔵通り。江戸時代から酒や醤油などの醸造業がさかんで、美しい景観は国の保存地区にも指定されている。

下見に行ってみると、立派な町屋ではあるものの、いつ瓦が落ちてきてもおかしくないような状態だったそう。

「保存地区とはいえ、誰かが管理しないと美しい景観は守れません。それならわたしたちが綺麗に保存して、次の世代につなごうと考えたんです」

ちょうど、欧米やアジア圏でも鍋島の人気が高まり、国内外から酒蔵を訪ねる人が増えていたタイミング。

わざわざ足を運んでくれる人がいるのなら、日本酒を通じて、この土地そのものを味わえるような場所をつくりたい。

そうして理絵さんたちは、町屋を宿泊施設として生まれ変わらせることにした。

「コンセプトも決まっていて。『酒蔵オーベルジュ』っていうんですよ」

オーベルジュといえば、郊外にひっそり佇む“泊まれるレストラン”というイメージ。ここは、どういう場所になるんでしょう?

「一棟貸しで、ゆっくりと滞在していただけるようにします。ゲストには、普段はあけていない蔵内を案内したり、テイスティングをしてもらったり、ここでしか味わえない体験を提供できたらと考えているところです」

そして、オーベルジュの主役であるレストランでの食事。

近隣農家さんのつくる野菜や、有明海で揚がった旬の魚など、地産の食材をふんだんに使ったコース料理と、鍋島のマリアージュを楽しんでもらいたい。

「鍋島の豊富なラインナップを活かしたマリアージュを提案できればと考えています。わざわざ来たかいがあった、という特別感を味わってもらえたらうれしいですね」

現在は、秋のオープンに向けてリノベーションの設計を進めているところ。同時進行で、オペレーションなどのソフト面の整備も進めている。

「こだわりの食器や調度品、おいしいお酒と食事、気持ちのいいサービス。目利きの観光客や、海外のソムリエの方たちにも満足してもらえるような宿にしたいと考えています」



施設の全体像が見えてきたところで、酒蔵通りに案内してもらう。

富久千代酒造からは、ゆっくり歩いて5分ほど。白壁と瓦屋根の建物がならぶ通りは落ち着いた雰囲気で、道脇に細く伸びる水路には小さな魚が泳いでいる。

風情ある通りを進んでいくと、オーベルジュとなる予定の古民家が見えてきた。

「くど造り」という、佐賀県の平野部でよく見られる伝統的なつくりで、広さは300平米もあるそう。

裏側から建物の中に入ると、広々とした空間があらわれる。

「ここがレストランになります。カウンター席とテーブル席をそれぞれ用意して、窓からの景色も楽しめるようにお庭もつくりたいと思っているんですよ」

内装工事は5月にはじまる予定。4ヶ月ほどで工事が完了し、プレオープンを経て本格始動する。



オープンに向けてソフト面の準備を進めているのが、支配人の銭上(ぜにがみ)さん。

「去年の夏まで、山梨のリゾート施設で働いていました。いつか地元の九州に帰りたいと思っていたタイミングで日本仕事百貨の募集記事を読んで、興味を持ったんです」

入社してしばらくは、日本酒の勉強も兼ねて、酒蔵での出荷業務や、国内外から訪れるお客さんの案内役を務めていたそう。

「この地域は有名な観光地ではないし、直売もしていないのに、わざわざ『鍋島のために来ました』という方が国内外からいらっしゃるんです。そんなときは、蔵にあるギャラリーにご案内していました。なかなか手に入らないからこそ、魅力に感じてくださる。あらためて鍋島のブランド力はすごいなと思いましたね」

「宿もおなじで、圧倒的な魅力がないとお客さまには選んでもらえない。鍋島のブランド力と、その魅力をさらに引き出す食で、お客さまにまた来たいと思っていただける場所にしたいと思っています」

「鍋島の名に恥じないように頑張らないと」と銭上さん。今はオペレーションを考えたり、備品を選んだり、施設の中身を決めているところだという。

今回は、そんなオーベルジュのレストラン部門をとりまとめる人を募集したい。

「オーベルジュでは、レストランがすごく重要なんです。今回募集する方には、責任感を持って、ともにレストランをつくっていってほしいと思います」

具体的には、サービススタッフ兼マネージャーとして、実際のサービス提供にあたりながら、レストランの売上や満足度を高めていく。

サービススタッフとしての仕事は、お客さんに料理やお酒を運んで説明したり、質問に答えたり… というイメージでしょうか。

「そうですね。このレストランでは、蔵人が誇りをもってつくったお酒と、シェフがこだわり抜いたお食事を提供します。それぞれのこだわりや楽しみ方を、プレゼンターとして理解したうえで伝えてほしいですね」

たとえば、鍋島の楽しみ方。

フレッシュさを楽しむために冷やして飲むことが多いものの、なかには一度温めてから冷めていく過程で、味わいがよりまろやかになるものもあるのだそう。

同じ鍋島でも、使うお米によって味わいや楽しみ方が変わってくる。酒蔵直営かつ、豊富なラインナップだからこそ提案できることがあると思う。

着任は9月を考えているとのこと。オープンまでの約1ヶ月間で、料理について学んだり、サービスやマナー、お酒についての知識を蓄えたりと、準備を進めていく。

オープン後は、鍋島のファンや目利きの方が国内外からやってくるはず。

求められるレベルも高そうな感じがします。

「いえ、必ずしもそうじゃないんです。知識があってちゃんとこだわりを伝えられるなら、そこまで肩肘張らなくていいと思っています」

「わたしも経験があるんですけど、『目利きのお客さまだから』って気張りすぎると、自分らしさがなくなって、うまくいかないんですよね」

もちろん最低限のマナーや心配りは必要だけれど、大切なのは「お客さまに楽しんでもらいたい」という気持ち。

「接客をしていても、お客さまのほうが知識豊富な場合もあると思うんです。そこで萎縮するんじゃなくて、『よければ教えていただけますか?』って興味を持てる方なら、きっと素敵なサービススタッフになれると思います」

「だから、人が好きな人が一番。サービス検定やソムリエ資格を持っていなくても大丈夫です」

宿や飲食店運営のノウハウも経験もないところから始めるこのオーベルジュにとって、最初の一年はまさに試行錯誤の年。

さまざまな意見やフィードバックを集めながら、課題や魅力を洗い出していきたい。

「多分、たくさん失敗もすると思うんです。PR不足や価格設定しだいで客足が伸びないとか、満足度が足りなくてリピーターになってもらえないとか…。心配事はあげるとキリがなくて」

「だから、シェフやオーナーも含めて、みんなで話し合いながら一緒につくっていけたらと思っています。責任はあるし、それなりに難しい仕事だけど、だからこそやりがいも学びもあると思います。粘り強くやっていきたいですね」

最初のうちは少人数で運営することになるため、定期的に休館日を設けてスタートする予定。徐々に、食事のみのお客さんを増やしていったり、稼働日数を増やしたりしていけたらと考えている。

「ゼロからのスタートです。酒蔵オーベルジュという、新しいものを発信していくことにワクワクしてくださる方と、一緒に働けたらうれしいなと思っています」



酒造りの現場を間近に感じて、土地の食材とともに酒を味わう。酒蔵オーベルジュは、土地に根付いた酒蔵だからこそ始められるチャレンジだと思います。

鍋島ファンをはじめ、ここを訪れるお客さんの期待に応えられるように。

一緒に試行錯誤しながら、場をつくり上げていく仲間を待っています。

(2020/02/28 取材 遠藤真利奈)

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