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あらためて製材がやりたい
山とのつながりを取り戻す
次の木材利用の一手を

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

製材所に行ったことはありますか?

どんと積み重ねられた丸太の迫力。見たこともない大きな機械が柱を切り出し、木が木材に変わる。

思わず深呼吸したくなる森の香りに、衣食住の住が、山に支えられていることを実感します。

日常にはないスペクタクル、圧倒的なスケールの大きさ。

製材所とは、山と人の社会をつなぐ場所なのかもしれません。

「富山の林業をなんとかしたくて。県産材を使って何ができるのか、じっくり考えたいんだ」

そう話すのは、米澤製材所の代表、米澤さん。

米澤製材所は、富山県の入善(にゅうぜん)に本社を構え、製材から建築設計・施工までを手がける木材の総合事業者です。

カナダ産無垢材でつくるティンバーフレーム工法やポスト&ビーム工法のログハウスなど、定評があるのはダイナミックな家づくり。

樹形をいかした一枚板のカウンターやテーブルは、リッツカールトンなどのホテルや高級料理店に納入。東京・蔵前には世界各国のサニタリーブランドの輸入代理店も展開し、木や住まいにまつわる世界中の良いものを旺盛に発信してきました。

そうしたなかで米澤さんは「今あらためて、富山の木の製材がやりたい」と言います。

SDGs、持続可能性や環境再生性が必要な社会のなかで、大きな可能性を秘めている「木」。

そこで地元の木材を使って、何ができるか。

米澤さんの右腕になり、ともに事業を生み出していく人を募集します。

都内や他地域にも出張の多い、勤務地の柔軟な仕事です。現場監督や建築士、加工や製材の現場スタッフなども幅広く募集しているので、気になる方はまず読んでみてください。

 

立山連峰を背景に、どこまでも青々と広がる田んぼ。車窓からふわんと稲の匂いがする。

富山県東部、入善町。米澤製材所は、山並みを望みながら海にもほど近い、入善駅のすぐ近くにある。

敷地内に置かれた木材の迫力に高揚しながら、まずは事務所へ。さまざまな住宅設備のカタログが並ぶ応接室で、米澤さんが迎えてくれた。

「富山県産材の使用率って、全国で何番目くらいだと思う?」

突然の質問にしばし考える。富山でよく目にするのは豊かな杉林、きっと林業が盛んに違いない。7番目、くらいでしょうか。

「それが、40番代以降なんだ。冬は雪で山に入れないし、山の斜面が急で作業しづらい。だから富山県産材は相場の1.2〜1.3倍くらいコスト高になる。一方で、水が多い土壌の質とかもあって、木の断面が黒くなりやすい。強度も少し落ちる。それじゃあ流通しないよね」

富山にはロシアの木材が入ってくる港があり、かつては製材といえばロシア材を意味するほど扱いが盛んだったことも、県産材の利用率が低い理由のひとつ。ただ今は、ロシア材も衰退している。

「今後、富山の林業をどうにかしていかないといけない。そこでうちができるのは、『製材』を核にした木材利用のあらゆる可能性を検討して、事業化していくこと。それを一緒に、右腕になって考えてくれる人に来てほしいんだ」

「僕は小学生くらいの頃から、家業の製材所に出入りして、家の仕事を手伝ってきた。当時はまだプレカットではなく木材を手加工してた時代で、製材の迫力がすごかったんだよ。ものすごい数の大工さんが、丸太の上に立って、手で皮を剥いで。そこに戻ることはできないけど、もっかい『木』がやりたいなって」

そう言いながら、米澤さんはたくさんの名刺を机の上に並べた。

「富山県木材組合連合会 会長」、「富山港北洋材荷受協同組合 理事長」、「株式会社グリーンエネルギー北陸 取締役」、「合同木材 副社長」。すべてに米澤さんの名前が書いてある。

北洋材とは、ロシアからの輸入材のこと。グリーンエネルギー北陸はバイオマス発電の事業者。合同木材はプレカット加工や木材を扱う問屋だ。

「木材にはA材〜Ç材まであって、A材は柱や床になる建材、B材はベニヤ、C材はバイオマス発電や製紙と、使い道がそれぞれ違う。『製材』を軸に考えていくと、あらゆるチャンネルと関わることになる。一つひとつの歯車が合い始めてきたから、もっと展開していきたいんだよね」

今回募集する人にも、それぞれの会社の業務内容を知り、そのなかでなにができるのか、常に横断的に考えてほしい。

ただやはり一番重視するのは、米澤製材所としての事業。一般のお客さんに届ける製品企画の部分だ。

製材からはじまる、富山県産材をいかした製品。どういったものが考えられるだろう。

「木曽檜とか、吉野杉とか、ブランドと勝負しようとは思ってない。ブランド木材の産地じゃないからこそ、自由な工夫が生まれる余地があるんだと思う」

たとえば今発売に向けて動いている、「サイコロ」という製品がある。

木材の山からの運搬時の長さは4m。その長さをそのまま活かして、4m四方の小屋を気軽につくれるキットとして販売するものだ。

ポイントは、接合金物をセットにすることで、大工仕事の職人技がなくても組み立てられるところ。壁は板金でも木板でも、好きなものを組み合わせることができる。

「昔から仲が良い、キャンプやサウナが好きな著名な建築家がいて。彼が今立ち上げてるキャンプサイトの建物を『サイコロ』でやることになったんだ。彼の事業の根底には社会課題の解決があるから、富山の林業振興になるサイコロはぴったりじゃん、って」

ほかにも、温泉観光地のバスターミナルの待合所をつくる話も進んでいる。

その待合所は数年後の移設が決まっているそう。ただ、一時的なものとはいえ、プレハブでは見栄えが悪い。そこで分解と組み立てが容易で、移設可能なサイコロに白羽の矢が立った。

「うちはJASの構造材の指定工場だから、強度基準はしっかりしてる。最高品質の木材に比べてランクは落ちるといっても、酷く劣るわけじゃない。ブランド木材と真っ向勝負しても勝てないけど、こういうやり方なら可能性がある」

小屋を自分でつくれれば、二拠点居住がすぐに始められる。想像すると、なんだかひとつ、欲しくなってくる。

「マンションの内装リフォームを全部、うちの木材でやるっていうのもあると思う。一緒に山に行って木を選んでもらって、製材の過程も見てもらって。床材、はめ板、下地材、家具、全部無垢材でつくって」

「山で選んだ木の家に住む。それ以上の豊かさってないよね」

連綿と続いてきた、山と人の営みに参加すること。ほんとうに、それ以上の豊かさってないんじゃないかと思う。

「SDGsって、昔のやり方がそのままそういうことなんだよね。そこにある山の木を伐って、ここで製材して、建物をつくる。こんなに無駄がないこと、ないよ」

きっと昔の人は、今よりもずっと山や木を身近に感じて暮らしていた。

建材にも、家具にも、燃料にもなる木は、エネルギーの塊。化石燃料を産出しない日本、化石燃料の使用を抑えなければいけない今後の社会のなかで、木の持つ可能性はあらためて存在感を増していくはず。

今回募集したいのは、その可能性を形にする人。どういう人に来てほしいですか?

「アイディア止まりじゃなくて、しっかり事業計画が考えられる人。面接のときには、富山県産材の立ち位置と、今後どういうふうにしていけばいいと思うか、意見を聞いてみたい」

「働くことになったら、まずは山に入って、伐るところを知ってほしい。大変さ、何が大事なのか、どうやって山から降ろされてくるのか。全部知って、そのうえでどうするかだから」

昨年の秋には、建築事務所や工務店を対象にした山ツアーを実施。20名弱の参加者に、山での木材伐り出しや製材所での作業工程を見学してもらった。

そこから新しく動き出した、県産材をつかった富山市のプロジェクトもあるそう。

災害などで生じる倒木をアートに変えるカナダの作家、ブレント・コンバーの制作支援のほか、小坂竜や橋本夕紀夫といったインテリアデザイナー、建築家とも親交の深い米澤さん。自身もものづくりが大好きで、自ら設計図面やデザイン画も描く。

新たな事業企画のなかでも、トップクリエイターとの交流には、アイディアや販路形成のヒントがたくさんあるはず。自分で図面こそ引けなくても、ものづくりへの敬意や情熱は必ず必要だと思う。

「現段階で木には詳しくなくていい。ジブリの鈴木さんみたいなイメージで、異業種の視点を持ち込んでもらえたらうれしい。僕はもう木=木材って先入観がどうしてもあるからさ。突飛なこと言えば化粧品とか、布だってあり得る」

「ただ、いずれにしても重要なのは、マーケティングからものづくりの収支計算、販路の戦略までを組み立てる構成力と実行力。プロジェクトが回り始めて利益が出たら、その額に応じた成功報酬はもっと出してもいいと思ってる」

いずれは会社の役員として、経営に加わってもらうことも考えているという。

「自分が旗振り役になってリスク負って、何かを一生懸命立ち上げた経験がある人だとうれしい。変な話、『会社やったんだけど潰しました』ってことだっていいんだよ」

「これは仮定の話だけど、東京でラーメン屋をやりたいとして、『そんな激戦区で勝てるわけないじゃん』ってどっかで聞いた話をするよりも、やってみたけど6ヶ月で潰しましたってほうが、真実味がある。次は同じ失敗しなくなるじゃん。そういう自分で考えて行動した経験が、すごく大事だと思うんだ」

 

お話を聞いたあとで、近くにある一枚板の加工工場をみせてもらった。

世界中からさまざまな樹種を集め、樹形をそのままいかしたカウンターやテーブルへと加工する場所。その製品はリッツカールトンやマンダリンといったホテル、ジャパンハウスロサンゼルスの展示空間など、名だたる場所へ納品されている。

工場長の高山さんは、米澤製材所に勤めて10年になるそう。

「同じものをつくることはほぼありません。全部の仕事にそれぞれの大変さがあります。たとえば木をそのまま天板にするのは、皮の部分を自然に仕上げるのがすごく難しい。でも、規格が決まったものをただただ量産していくより、確実に楽しいですね」

「ものづくりには、いつも感動があります」

もともと建築に興味があって働き始めたという高山さん。米澤社長はどんな人ですか?

「ワイルドな人。新しいことを常に考えていて、エネルギッシュで。要求は難しいことも多いけど、それだけ自分のスキルアップになっています」

「みんな、いい顔して働いてますよ」

 

社長の右腕になる。製材にまつわる各種事業に目を配りながら、新しい事業を組み立て、世の中に送り出していく。そうして、山と社会とのつながりを取り戻す。簡単なことではないと思います。

一方で、豊かな富山の気候風土のなかで木と相対する仕事には、風通しの良さや安心感も感じられるんじゃないか。

山と木を相手にする、ダイナミックな仕事。

普通のスケールでは物足らない人はぜひ、門を叩いてみてください。

(2021/7/12 取材 籔谷智恵)
※撮影時はマスクを外していただきました。

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