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街に、世界に、生活に
つながりをつくる
フェスティバル

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

美しさには人を引き込む力があると思います。

時間を忘れるほど目を奪われたり、誰かと感想を共有したくなったり、見るだけで幸せな気持ちになったり。アートやデザインなど、美しいものがあることで、暮らしは豊かになるように感じます。



一方で、気に入ったアートやデザインに出会うきっかけは少ない。どこで買えるのか、自分の空間にどんなものが合うのか、最初の一歩が難しく思えます。

そんな最初のハードルを下げ、アートやデザインの豊かさに出会えるイベントが、「DESIGNART TOKYO(デザイナートトーキョー)」。

現代アートや建築、インテリア、プロダクト、ファッション、工芸などあらゆるジャンルの垣根を越え、クリエイターたちが一堂に会する10日間のフェスティバル。

渋谷・六本木・銀座など約10のエリアで、まち歩きをしながら展示を楽しめます。2017年からはじまったこの催しは、今年で6回目を迎えるところ。

今回募集するのは、この秋に開催されるDESIGNART TOKYOの運営をサポートするボランティアスタッフ。

事務局サポートやWeb制作、SNS運営など。会期前から長期的にイベントに関わる人たちと、会期中の運営や設営をサポートする人たちをそれぞれ募集します。

アートやデザインの業界に関わってみたい人はもちろん、人とのつながりがほしいなど、どんなきっかけでも大丈夫。業界のことを知らない人も歓迎です。

深く関われば関わるほど、面白さが増していく。そんな活動だと思います。

 

東京メトロの外苑前駅から歩いて数分。青山通りから一本奥の通りに入る。緑が心地よいエリアにあるマンションにDESIGNART TOKYOを運営する株式会社デザイナートの事務所がある。

白を基調とした室内に、アートワークやデザイナーズアイテムが並んでいる。

まず話を聞いたのは代表の青木さん。

「2016年に、東京オリンピックのロゴの盗作問題や、野外展示作品の火災事件があって。人を豊かにしてくれるアートやデザインに不信感を持ってしまうムードが世の中に生まれた。それを変えなければいけないと、5組6名の発起人によってはじまったのがDESIGNARTです」

「DESIGNART」はデザインとアートを組み合わせた造語。

機能と美を兼ね備え、日常生活に寄り添い感動を与えてくれるモノやコトを新たに定義した言葉であり、その素晴らしさを発信、共有していくための活動そのものでもある。

ジャンルを横断するような多彩な表現が登場する昨今、新しい価値観の定義が必要とされていた。

「初回は5万人にも満たないイベントでしたが、去年は84会場、来場者が18万人と徐々に成長してきました。今年はこれ以上の会場数、来場者人数になるよう準備をしています」

「ここ2年はコロナ禍の開催ということもあり、オンラインコミュニケーションに力を入れていて。オンラインエキシビションやデジタルガイドマップ、SNSでのライブレポートなどをおこないました。より参加しやすくはなったのですが、リアルな場の良さをあらためて感じて」

クリエイターやボランティア、来場者など。イベントで実際に会ったときの「気」のようなものがある、と青木さん。

同じ場を共有しているからこそ感じるものがあり、何か新しいアイデアや閃きが生まれるきっかけになるのかもしれない。

「実際に展示会場で関係者、参加者のみなさんにお会いしたとき、このイベントは出会いの展覧会でもある、と強く感じました。ここ数年、コミュニティが分断されるような出来事が多くありましたが、分断からまた人と人がつながっていく機会になりたいと思っています」

今年のテーマは「TOGETHER 〜融合する好奇心〜」。

これから発表される今年の企画について、少しだけ教えてもらう。

「アジアのデザイナーやメーカーが集まる『アジアデザインリレーション』という企画を考えています。『アジア』って今まで日本で取り上げられることが少なかったんです。日本もアジアの一員だけど、アジア各国といい関係を築いてきたかというと、あまりできていない面があって」

「アジア各国のデザインをリードする団体と協力して展示をつくることで、つながりを深めたり、お互いに刺激を受けたり、アジア全体のブランド力をあげていくような企画にしたいと思っています。」

今はまだ準備中で、どういった展示になっていくか、具体的にはこれから決まっていくそう。

これまでもパートナーカントリーとしてひとつの国の機関やアーティストと深く関わる企画をおこなってきた。とくに印象に残っていると話してくれたのが、2019年にイスラエルを迎えたときのこと。

「何百キロもの麦がシャンデリアのように何層にもつり下げられ、その下には4トンを越える塩が盛られている。麦が農業革命や現代生活を、塩が死界を象徴し、イスラエルの資源であるふたつのストーリーが表現されているような素晴らしい展示でしたね」

重量感のある圧巻の展示。作品によって、現実世界とは別の世界がつくられる。

国同士のつながりをつくれたことで、イスラエル最大級のデザインイベント『エルサレム・デザイン・ウィーク』にDESGNART TOKYOの出展者が招待され、現地での展示もおこなった。

「東京での展示以降も交流があって、ほかのイスラエルのクリエイターからも参加したいという声をかけていただいています」

DESINGART TOKYOのもうひとつの取り組みとして「値段をつけて販売すること」もある。

「『見るもの』だったアートが『買えるもの』になったとき、人はすごく集中して見る。ただ見るだけではなく、気に入ったものを日常に取り入れられたら、生活が豊かになると思うんですよね」

事務所の棚には、青木さんがイベント中に購入したものもある。それぞれに愛着があり、一つひとつのストーリーを楽しそうに話してくれる姿が印象的だった。

「これは去年『KURADASHI』という企画展示に出品されていた、アートユニット『we +(ウィープラス)』の『Swirl』という作品で。水の流れをかたどったオブジェなんです」

参加クリエイターのプロトタイプの作品を展示・販売する「KURADASHI」。完成品として世に出る前の、クリエイターが試行錯誤する過程が表れた姿に心惹かれて、購入する人も多かったそう。

「生活に必要なものは簡単に揃えられるようになったけれど、それだけしかない生活は味気ない。気に入ったアートとかデザインがあると、ペットとか植物みたいに癒されたり、暮らしの彩りになるんじゃないかな。そんな喜びも広めていきたいです」

数千円から購入できるデザインプロダクトやアート作品もあり、見て触れて帰ったあと、オンラインで購入できるものもある。

買うこと、身近に置くことで、アートやデザインとの関係はさらに近くなっていきそう。

ずっと持ち続けたい作品との出会い。そんな機会としての役割もDESIGNART TOKYOにはあるのかもしれない。

 

続いて話をしてくれたのは、2017年の立ち上げから青木さんと一緒にイベントをつくってきた、山嵜(やまざき)さん。

クリエイターと展示場所のマッチングコーディネートを担当している。

今は、どの展示場所に、どんなクリエイターを組み合わせたらいい化学反応が生まれるか、毎日考えを巡らせているそう。

「展示マッチングというシステムを採用していて。展示場所は提供できるけど、作品がない。作品は提供できるけど、展示場所がない。そんな会場とクリエイター双方から参加者を募って。コラボレーションのきっかけやそれぞれの可能性が広がる機会になるように、組み合わせを考えています」

例えば、インテリアショップとファッションブランドのデザイナー、ファッションブランドショップとインテリアを中心に活動するデザインユニットなど。

当たり前な組み合わせでも面白くない。一方で、場の雰囲気とクリエイターそれぞれの印象から外れ過ぎている組み合わせでもいい反応は生まれない。

「去年は44組がマッチングして素晴らしい展示をしてくれました」

2020年の出展時に知り合って結成された5人組クリエイティブグループ「MULTISTANDARD(マルチスタンダード)」。参加2年目の去年は、閉鎖されていた渋谷の廃ビルの1階で展示した。

空間づくりからほかのクリエイターも巻き込み、廃ビルの上階では別の展示が行われている状況をクリエイター自身がつくり出した。

同世代の作風が近いクリエイターを自らキュレーションした集合展。明治通り沿いという立地もあり、買い物ついでにふらっと立ち寄る人も多かったそう。

「過去に展示に使われたことがない場所も、クリエイターの手によって展示空間に変わる。どの場所にクリエイターを入れるかでまちの景色が変わるところがすごく面白いですね」

「クリエイター自身のアイディアが展示に活かせる自由度の高さは、DESIGNARTならではだと思っています」

自由な発想で広がっていくクリエイティブな仕事。ボランティアで加わる人にも、積極的な気持ちで参加してほしい。

「毎回ボランティアさんにはすごく助けられています。事務局の人数も少ないので、対応をお願いすることもありますが、いつもこころよく引き受けてもらって」

来場されるお客さんから見たら、ボランティアも事務局スタッフも同じ、イベント関係者。だからこそ、DESIGNART TOKYOのスタッフとしてイベントにかける情熱を共有する必要がある。

「毎年ボランティアに参加してくれる方がいたり、自然とコミュニティができていたり。参加してくれた方がイベント後もつながっているのは、うれしいですね」

過去のボランティアスタッフたちが予定を合わせて、展示に来てくれることも。ひとつのイベントをつくり上げるなかで生まれる縁がある。

今年は、会期後もイベントのファンとつながりを持てるような企画も考えている。

長く関わっていけば、よりおもしろさを感じられるんだろうな。

 

最後に再び、代表の青木さん。

「僕自身、学生時代にボランティアを経験しました。それこそ今考えたら、なんでこんなに…ってくらいのハードワークもして。そこでよかったな、と思ったのが、学校だけでは出会えなかった多様な人との出会いがあったこと」

「視野が広くなったし、お互いに感化し合えた。そんな仲間と社会人になってから一緒に仕事をすることもありました」

そのボランティアがきっかけで青木さんはクリエイティブの業界に入ったそう。この業界に興味がある人は、何かを掴むきっかけにしてほしい。

「これをやりたいって野心的に参加してもらいたいです。SNSの運用を実践しながら学んで、その経験からステップアップしたいとか。人生の貴重な時間をせっかく使うなら、のめり込んで、自分の可能性も伸ばしてもらいたいと思います」

 

敷居が高く感じるクリエイティブ業界だけど、一歩入るとどんどん、その世界がひらけてくる。

まずは、自分にできる関わり方から。どんな形でもアートやデザインや人に触れ、新しいつながりを見つけていけると思います。

(2022/6/21 取材 荻谷有花)

※撮影時はマスクを外していただきました。

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