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心地よい静けさを
取り戻すように
人の佇まいを整える服

evam evaの洋服は、自然の心地よさから着想を得てつくられている。

カシミヤやコットンなど、天然素材本来の柔らかな風合いを活かしたデザインに定評のあるブランドですが、アトリエと直営店のある山梨の景色を見ると、その意味がさらによくわかると思います。

私がはじめて直営店を訪ねたのは、ちょうど2年前の梅雨の時期。

曇り空の柔らかい光がさす田んぼには、山の稜線が映り込み、雨に濡れた植物が色濃く冴えて見えた。その色彩のニュアンスは、evam evaのイメージそのもの。

鳥の声や風の音が聞こえる空間に身を置くと、いつのまにか心が静かになっていく。

日々の暮らしのなかにも、この呼吸を取り戻せたら。肌にも心にもしっくり馴染む洋服を通してevam evaが届けようとしているのは、ひとつのライフスタイルなのかもしれません。

今回は、このevam evaの洋服の魅力を店頭で伝える、販売スタッフの募集です。

自然とともにある静かな心地よさを、お店でどう伝えていくか。日々の仕事に隠された工夫について、話を聞きに行きました。



春の終わりの雨が降る日、二子玉川駅近くにある髙島屋S.C.の2階、明るいフロアの一角に、evam evaのお店を見つけた。

店内には、生成りからグレーへ穏やかなグラデーションを描くように服が並べられている。洋服のディスプレイのそばには、いくつか水を張った花器があり、生けられた植物が空間の雰囲気を和らげていた。

迎えてくれたのは、店長の黒丸さん。

「ちょうど、夏に向けて半袖のお洋服が入荷したところなんです。たとえば、このトップスはコットン100%ですが、麻に似た風合いに加工しているので、手触りもサラサラしています。素材の心地よさを感じていただけるように、シンプルな形に仕立てたものが多いんです」

実際に手に取って触れてみると、肌に優しい柔らかさを実感できる。

ディテールを削ぎ落としたフォルムの洋服。袖を通すと、着る人の体に沿った自然なシルエットが現れる。同じ洋服でも、着る人によってまったく雰囲気が変わるのだそう。

「着心地や手触りも、シルエットの雰囲気も、実際に身につけてみるとその良さを実感してもらえる。試着をされると、表情が変わる方が多いですね」

落ち着いた柔らかな口調で、ブランドの魅力を伝えてくれる黒丸さん。evam evaのお店で働き始めたのは5年前。

はじめは洋服のデザインに惹かれ、そこからブランドのあり方や、ものづくりの考えについて知っていくうちに、自分の仕事にしてみたいと思うようになったそう。

このブランドの母体である近藤ニットという会社は、本社を山梨に構える創業昭和20年という老舗。

長い間、OEMでアパレル業界を支えてきた技術力を活かしながら、企画から縫製、出荷、販売まで、すべての工程を自社で行なっている。

人のシルエットをきれいに引き立てるデザインは、つくり手がそばでコミュニケーションを取り合い、細かなニュアンスを追求して生まれたもの。

そういう環境だからこそ、試行錯誤を続ける大変さもあるのかもしれない。離れて働く店舗のメンバーも、定例のミーティングなどで、考えを共有し合いながらお店づくりと向き合っている。

店舗のディスプレイや、お客さんとのやり取りで判断に迷うことがあれば、山梨にある本社やエリアマネージャーに相談しながら。evam evaらしさを一緒につくっていく。

黒丸さんは、自分がはじめてevam evaの世界観に接したときのことをよく覚えているという。

「入社前に、都内の店舗をいくつか見に行ったんですが、どのお店も掃除が行き届いていて驚きました。お洋服のお店は、どうしても埃が溜まりやすいはずなのに、それがまったくなくて」

黒丸さんご自身が、その空間をつくる側になってみてどうですか?

「やっぱりお掃除やお手入れなど、お客さまからは見えない地道なこともたくさんありますね。特にお洋服はきれいに畳んでも時間が経つと萎んでくるので、触れられていなくてもたたみ直して、柔らかく見えるように気をつけています」

「入社した当初は、とにかく先輩と一緒に見よう見まねでやっていたんですが、毎日繰り返すうちに、一つひとつの作業に意味があることがわかってきて。だんだん自分で、手入れすべきところに気付けるアンテナが立つようになるんです」

仕事を続けるうちに、深まっていくもの。

お客さんとの関係性の変化も、お店で働く醍醐味のひとつだという。

「二子玉川店の場合は、ご近所にお住まいで何年も通ってくださるお客さまも多いです。『前に買った服、気に入って着ています』とお言葉をいただくと、うれしいですね」

その人の好みがわかるようになると、新しい洋服が入ったときに顔が思い浮かぶようになる。

お客さんとの話題も、洋服にとどまらず趣味や家族のことへ広がっていく。

「最近も、お嬢さまの卒園式にあわせてワンピースを探しに来てくださった方が、『娘が0歳のころから通っているお店だから、家族みたいな縁を感じているんですよ』って話してくださって」

「そういう話題が出ると、次にお会いしたときに『ご入学おめでとうございます』って、気持ちを込めてお伝えすることもできますよね」

販売したその日だけでなく、洋服がその人の暮らしの一部になってからも関係が続いていく。

だからこそ一人ひとりの誠実な言葉で、製品のことを伝えていく必要がある。

「私は、ここで働きはじめて着心地の良さを実感して、今は仕事のない日もほぼ毎日evam evaのお洋服を着ています。以前は、ニットって手洗いが面倒なイメージもあって、あまり選ばなかったんですけど、今は日常の一部というか。自分の好きな洋服がきれいになるのがうれしくて、好きな家事のひとつです」

自分が本当に好きだと思える服だから、正直な言葉で伝えられる。もちろん、すべての洋服を試すことはできないので、スタッフ同士で情報交換しながら、お客さんとのコミュニケーションに活かしている。

「お店のメンバーは好みも性格も、結構バラバラで、アパレルや接客が未経験だったというスタッフも多いです。やっぱり人と関わる仕事なので、相手を思いやる気持ちを持って向き合える仲間が加わってくれるといいですね」



続いて話を聞いた中林さんも、もともとは介護関係の仕事をしていたのだそう。

「子どものころからお洋服が好きで、服に携わるお仕事をしてみたかったんです。昔は色やデザインで選ぶことが多かったんですが、evam evaで働くようになってから、着心地の良さやフィット感など、自分にしっくりくるものを選びたいっていう気持ちが強くなりました」

「ブランドの世界観には、かなり影響を受けていると思います。ここに勤めるようになって、部屋に植物を飾ったり、川で石を拾ってみたり。自分が暮らす空間に対する視点も変わって楽しいですよ」

お店が持っている空気感や、スタッフの方の佇まい。ここにいると、evam evaらしい美意識を感じます。

一方そういう感覚って、言葉やマニュアルにしづらいものですよね。スタッフの方は、どうやって身に付けていくんですか。

「私も最初は全然つかめなくて悩むこともありました。洋服の畳み方、言葉遣い、所作、大きな足音を立てて歩かないように、とか。先輩が丁寧にご指導くださるんですが、私はちょっとおっちょこちょいなところもあって苦労しました(笑)」

中林さんと話している今も、静かなBGMが心地よく耳に届く。それはお店で働いている方が、日常の動作に小さな気遣いを込めているからかもしれない。

「自分がお店に買い物に来ていたときは、evam evaのスタッフ=柔らかい雰囲気、っていうイメージで。いざ入社してみると、柔らかさだけじゃなくて、ちゃんと一本芯がある人が多いなっていう気づきもありました」

一本芯があるって、前回の取材で別のスタッフの方も同じことを話してくれました。

なんとなく私もわかる気がしますが、evam evaの芯って、なんでしょうね。

「うまく説明できないんですけど…、修道院にいる女性のような、凛とした強さにも似ている気がします。仕事に対して妥協がないというか。お客さまにご迷惑をお掛けしたり、失敗したりしたときは、先輩がきちんと向き合って指導してくださいますし、ときには厳しい言葉をもらうこともありました」

頭ごなしに叱るというよりは、どうすればいいか、自分で考える時間をもらいながら、先輩と一緒に解決策を探っていく。

そのやりとりの積み重ねがあったからこそ、今の自分があると、中林さんは言う。

「注意を受けた当時は少し落ち込んだりもしたんですが、今にして思えば相手を思いやる厳しさだったんだなって思います。反省は大事だけど、引きずらないで次にどう活かすか考えていけば、自分でできることが増えていきますよ」

はじめは、未経験からアパレルの仕事に加わることに不安もあったという中林さん。

お客さんと話すときは、いきなり商品の説明をするよりも、何気ないやりとりから。季節や天気の話題を通して、相手の気持ちに共感するように話を聞くことを意識してきた。

「できないなりに一生懸命伝えようとすると、お客さまにもちゃんと通じる。それで『ありがとう』っていう言葉をもらえることが、この仕事の楽しさなんじゃないでしょうか」

働きはじめて5年。今は、中林さんが先輩として新人さんを迎える立場になった。

いろんな経歴を持つメンバーが集まるお店だからこそ、その個性を活かしていきたいという。

「静かでお淑やかな人だけじゃなくて、すごく元気なスタッフがいてもいいし、いろんな視点を持った人がいることで、お客さまの楽しみ方の幅も広がっていくはず。それぞれの苦手なこと、得意なことを見極めながら、サポートしていけたらいいなと思います」

仕事で身につけた習慣や美意識が、働く人の日常にも深く入り込んでいく。

着せられた制服ではなく、自分の正直なあり方と結びつく服だからこそ、その魅力を人に伝えられるようになる。

心地よい服との出会いを通じ、時間をかけて自分自身を磨いていくような仕事だと思います。

(2022/5/13 取材 高橋佑香子)
※撮影時はマスクを外していただきました。

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