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群馬県の山奥にある四万温泉で、新しい形の宿を次々とオープンさせている会社があります。
自由な発想で宿泊業を展開している株式会社エスアールケイ。
廃業寸前だった実家の旅館を独自のアイディアで高級旅館に再生。温泉とグランピングを掛け合わせた施設やカフェを運営したり、アートと融合したホテルを開業したり。
直近では、2つの旅館を買い取って新しいビジネスを展開します。
新しいことに挑戦して自分の力を試してみたい。野心はあるけれど、どんな一歩を踏み出せばいいのか分からない。
そんな人に知ってもらいたい会社です。
今回は、そんなエスアールケイが運営する施設で働くマネージャー候補と、運営スタッフを募集します。どの施設で働くかは、本人の適性や会社の運営状況で判断するそう。
いずれも経験は問いません。
自分から声を上げて新しいことに挑戦していく。そんなハングリー精神のある人を求めています。
東京から四万温泉までは、車で約3時間。
関越自動車道を北上して、群馬県へ。高速を降りてさらに山道を1時間ほど進むと、急に雪深くなってくる。
待ち合わせ場所のSHIN湯治ホテルLULUD(ルルド)に到着すると、代表の関さんが笑顔で出迎えてくれた。
「最近も宿を2つ買い取ったんですよ。ひとつはオーベルジュみたいにしたいなと思って。もうひとつは古着屋とコラボするとか、貸別荘みたいにするとか、色々なことを考えています」
次から次に新しいアイディアを語ってくれる、とってもエネルギッシュな方。
元々は、東京の旅行会社で働いていた関さん。廃業寸前だった実家の「つるや」旅館を建て直すため、30歳のときに四万に戻ってきた。
当時は、部屋に鍵も内線もなく、ぼろぼろの状態。
そんな中、お風呂を貸切で使えるようにしてみたり、チェックアウトを遅い時間にしたり。露天風呂から「けもの道」が見えることに注目して、「鹿覗きの湯」と名付けてPRするなど試行錯誤を重ねていく。
アイディアと実践の積み重ねが実を結び、つるやの年商は30倍に。周囲からは「奇跡の旅館」と呼ばれるようになった。
「日々発見、日々精進。毎日何かを変えて、何かをやっていたら良くなると思う。失敗してみないとわかんないし、チャレンジしないと失敗もないでしょ」
その後も2017年には、温泉とグランピングを掛け合わせた「シマブルー」を開業。続いて廃業した旅館を改装し、地元のアーティストの作品を飾った「ルルド」もオープンした。
関さんは、アイディアを考えるだけじゃなくて「まずはやってみる」という姿勢を大切にしてきた人。やりながら考えが変わることも多いから、一緒にはたらく人は計画通りに物事を進めたい人よりも、柔軟に変化を楽しめる人のほうが向いていると思う。
今は、旅館の改装や、運営しているカフェのそばに地元のアーティストの作品を飾ったアートなトイレを建設中。ほかにも、新しく買い取った2つの旅館のオープンに向け動いている。
「今後は、SHIN(しん)湯治を軸に事業を展開したいと考えているんです」
SHIN湯治ですか。
「SHINには、新、身、心、賑などの意味を込めています。四万温泉は元々、体調を整えるために湯治をしにくる場所。1週間や1ヶ月くらい滞在するのが当たり前で、お客さんがゆっくり過ごす場所だったんです」
「SHIN湯治は、今の時代に合わせた新しい湯治のかたち。仕事で疲れた心をリフレッシュしたり、アウトドアやヨガ、坐禅などのアクティビティーをして賑やかに過ごしたり。お客さまのニーズに合わせていろんな楽しみ方を提案できるようにしたいと思っています」
次々に宿をつくったり、新しいアクティビティーを手掛けたりするのは、多様なお客さんのニーズに応えるため。いろんな種類の宿やアクティビティーがあれば、自分にあったものを選んで組み合わせることができるし、長く滞在していても飽きない。
色々な人が来て、長く滞在してくれる仕組みづくりは、地域全体の賑わいにもつながるもの。
「自分は、ホテルや旅館をやっているって気持ちはないんです。僕らがやっていることは、要は地域おこしだと思っています」
事業を拡大していく一方で、最近力を入れたいと思っているのが人材育成だ。
「高校生のときから、吉田松陰の松下村塾みたいなところをつくってみたいなって思っていて。ここで働いた人が啓蒙されるような場所にしたい。将来的には社員が独立したり、給料が上がったり、みんなが変わっていくようにできないかなと思ってる」
そんな思いを実現するため、今はまさに試行錯誤をしている段階。
「2、3年前に一部のスタッフに経営を任せてみたんです。でも、みんな何をしていいかわからなかった。努力はしているけど、結果が出なかったんです」
「私自身は、これまでの経験でどんなものが売れるかとかそういうノウハウがついてきたけれど、社員はまだそこまで考えてなかったんだなって気づいて。今後は情報共有も含めて、自分の考え方とかを手取り足取り教えていきたいと思っています」
新しく入る人も、関さんの経験やノウハウを吸収しながらマネージャーとして成長していってほしい。
「自分はもっと力を発揮できるはず、とか、変わりたいって思っている人に来てほしい。一緒にいろんなアイディアを出し合っていい場所をつくっていきたいですね」
そんな関さんがマネージャー候補として期待しているのが、ルルドでリーダーとして働く森山さん。
取材のあとに、売上を上げるための計画書を関さんに見てもらうため「少しそわそわしている」とのこと。
元々はアパレルショップや飲食店で働いていた森山さん。日本仕事百貨の記事をきっかけに3年前に転職し、初めはグランピング施設のスタッフを経験。その後、半年でリーダーに就任し、昨年10月にルルドに異動になった。
「リーダーの仕事で一番重視しているのは、予約を増やして稼働率を上げることです」
「まだまだ試行錯誤中ですが、最近だとSNSを使った宣伝に力を入れ始めています。この施設に色々な魅力を増やしても、お客さんに知ってもらわないと意味がない。来てもらえれば、楽しんでもらえる良さはたくさんあるので、まずは足を運んでもらうための工夫をしていきたいと思っています」
SNSの運用の他にも、カフェ&ダイニングスペースで提供するドリンクのメニューを増やしてみたり、ロビーの家具の配置を変えたり。日々の気づきを大切に、自分で考えながら細かい変化を積み重ねている。
「あとは、従業員のシフト管理も大事な仕事です。限られた人数でいかに効率的に仕事をしていくか考える。たとえば、掃除のスタッフがすぐに作業を始められるように、事前に掃除道具の準備をするとか」
売り上げの管理や掃除、接客、SNSの運用。さらには地元のピザ屋で修行をして、ルルドのダイニングで提供するピザを焼くことも。
リーダーと一言でいっても、本当に多様な業務がある。
「うちの会社は決められた仕事をやったうえで、自分でやれる仕事を増やしていけるんです。大変だけどその分成長にもつながると思うんですよね」
新しく働く人は、四万に移住することになる。ここでの生活はどうですか。
「いろんな人にお会いすることが増えました。ルルドで作品を展示しているアーティストのギャラリーに休日遊びにいくとか、公私共につながりが広がっていくのは楽しいですね」
「あとは、温泉に毎日入れるのもいいなと思います。四万温泉って、無色透明で、匂いもほぼなくて湯当たりしづらいから、毎日入っても気持ちいいんです。従業員は温泉入り放題なので、温泉好きな人にとっては絶対いいと思いますよ」
次に話を聞いたのは、四万温泉で生まれ育ったという山口さん。
「ここから歩いて30分くらいのところに奥四万湖っていうのがあるんですけど、風がなくて晴天のときは、水面が鏡みたいでめちゃくちゃ綺麗なんですよ。その瞬間を見るために休憩時間に何度も通ってます」
奥四万湖の澄んだ水や、夜空に広がる満天の星など、四万の豊かな自然もここで働く魅力の一つ。
「僕はルルドの前にあった旅館の息子なんです。実家の旅館の運営が厳しくて、関さんに相談したら買い取ってくれて、僕も去年の4月から入社させてもらっています」
入社後はグランピング施設のスタッフとして、掃除や接客などを担当していた。
「実は今日から、そばの修行をすることになったんです(笑)」
そばですか?
「四万温泉の入り口にあるカフェで新しくそばを出すんです。まったくの素人なので、できるかできないかはわかんないけど、とりあえずやってみるのが大事かなと思って、今日はそば打ちの練習をしてました」
すると、横で聞いていた代表の関さんが一言。
「山口は、面白い男なんですよ。普通の人は考えつかない視点がある。だから、運営スタッフよりも、もっと活躍できる場があるんじゃないかと思っていて。そば屋を任せてみることにしたんです」
「アイディアを活かして売り上げを上げて、どんどん自分の給料も上げていってほしいです」
急に今までと違う仕事を任されたら、戸惑う人もいるかもしれない。
少し強引にも感じるけれど、それぞれの従業員の特性を信じて、いろんなチャレンジをさせてくれる環境ってなかなかない。こういう場所なら、今まで気づかなかった自分の力を知れるきっかけにもなるかもしれない。
「この会社に来て、自分の好きなこととかアイディアが仕事に生きるのが面白いなと思います」と山口さん。
「たとえば、グランピング施設で働いていたときは、余っていたレンガブロックをつかってちょっとした焚き火スペースみたいな場所をつくったんです。」
ほかにも、アウトドア好きのスタッフの提案で四万の自然を体験できるツアーを実施するなど、現場のアイディアが事業になった事例もある。
代表の関さんと従業員の距離が近いから、自分から声をあげれば聞いてもらえる機会も多いんだろうな。
取材中も、「近くの森でクワガタを獲って、旅行に来た子供たちに配りたい」という山口さんのアイディアに興味津々の関さん。
もともと実家の旅館の再生も、はじめはお金をかけずにアイディアだけで工夫してきた方。立場に関係なく、いろんなアイディアを面白がってまずは挑戦してみる。そんな風土がある会社だと思いました。
なにか新しいことにチャレンジしてみたい。そんな思いがある方はまず、この会社で一歩踏み出してみるのもいいかもしれません。
(2023/01/15 取材 高井瞳 )