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それぞれの美しさは
内側にあると
教えてくれるジュエリー

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

たまに子どもと手をつなぐと、その手の柔らかさ、白さに驚くことがある。

大人になった自分の手はというと、これは何色というのか複雑な色合いをしているし、ホクロも皺もあって、表面は滑らかじゃない。

それはこれまでの人生で、たくさんのものをつかんだり、運んだり、寒さや暑さを何度も経験してきた証。積み重ねてきた無数の経験は、自分の内面にも何か豊かなものを与えてくれたと思います。

日々変わっていく人の肌にそっとなじむように考えてつくられたnoguchiのジュエリーは、その人が外見の変化とともに刻んできた時間を、思い出させてくれる存在かもしれません。

流行やステイタスではなく、自分に正直に向き合ってジュエリーを選べるnoguchiのお店で働く人を募集します。

ジュエリーショップというと、なんだか洗練されていてハードルが高く感じるかもしれませんが、必要なのは経験やセンスではなく、人に寄り添う気持ち。

いろんな年代や個性の人たち、それぞれの美しさを見出す目を、少しずつ養っていくような仕事だと思います。



東京メトロの表参道駅から、根津美術館のほうへ坂を下っていく。

天気予報によれば、今日は春の嵐。寒くはないけど風が強く、雨も降りだしそう。コートの裾を押さえ、急ぎ足でお店に向かう。

到着したのは、レンガタイルの外観が特徴的なビル。呼吸を整えつつ、外からショーケースを覗き込んでいると、スタッフの皆さんが招き入れてくれた。

穏やかな照明とアンティーク調の什器、大きな窓からは自然光も入ってくる。

きちんと整えられた部屋のような空間には温かみがあって、奥へと進む一歩一歩がゆっくりになるような感じ。

「お客さまが自分と向き合いながらジュエリーを選んでもらえるように、空間づくりは大切にしています。そこに、大きな観葉植物があるでしょう。この木を見たくなってお店に来ました、って寄ってくれるお客さまもいるんですよ」

そう話すのは、ブランド立ち上げ当初から運営を担ってきた佐藤さん。

「ジュエリーがほしいと思うきっかけは、みんなそれぞれ人生のなかで違いますよね。noguchiのお店に来る方は、流行っているかどうかではなく、実際にジュエリーを合わせてみて、自分がピンとくるものを選ばれることが多いです」

指先や顔だけでなく、その人の雰囲気やスタイルを全体で見られるように、店内には大きな鏡がいくつもある。

ショーケースに並ぶジュエリーはどれも、色や形が、有機的な雰囲気。金属が波打つ表情や、光沢を抑えた色味、手にとっていろんな角度から眺めてみたくなる。

スタッフのみなさんと一緒に新作のリングを試してみると、同じものでもつける人によって雰囲気が違う。それぞれの似合い方があるみたい。

あ、似合いますね。こっちのほうがいいかも。

お客さんともそんなふうに話しながら、似合うひとつを探していく。あれこれ話しているうちに、思いがけずその人の内面に触れることもあるそう。

「ジュエリーを買いに来るタイミングって、人生の節目に重なることも多いんです。結婚や誕生日、大きな仕事が終わったご褒美とか、これから転職を頑張るお守りに、とか」

子育てに忙しく誕生日を祝えなかった3年分のプレゼントを探しに来た夫婦、亡くなったお母さんの思い出をお揃いのリングに刻印しようとやってきた姉妹。

「デザイナーの野口は『ジュエリーは人が身につけてはじめて完成するもの』ってよく言うんですが、見た目だけじゃなく、思いを込めることでその人のものになるっていう完成のされ方があるんだなっていうのは、お客さんから気づかせてもらいました」

「人生のなかで覚えておきたいことって、誰しもあるし、それが心の栄養になることもある。ジュエリーを選びながら、これまでのことを振り返ったり、誰かのことを思ったりする時間を提案できるようなお店として、続けていけたらいいなと思います」

お客さんが、素直な気持ちでプライベートなことも話してみようと思えるのは、スタッフのみなさんの接し方も大きいと思います。

私も今、自然と気後れせずに話ができている。

「うちのスタッフはみんな思いやりがあるように思います。自分の好みや価値観を押し付けるのではなくて、お客さまの声をちゃんと聞いて、相手に似合うものを一緒に探せるような優しさというのかな」

人が身につけてはじめて完成される、noguchiのジュエリー。似合う人を見つけるショップの仕事は、いわばものづくりの仕上げの部分。

一つひとつのジュエリーを、どう見せるか。

配置や背景に使う布によっても、見え方は変わってくる。季節ごとの装いやお客さんの気分を想像してみることが、ヒントになる。

このディスプレイの仕事を、佐藤さんはあえてスタッフの感性に委ねることで、ジュエリーに新鮮な一面が見えることを期待している。

「テクニックよりも、このジュエリー素敵だな、誰かに立ち止まって見てもらいたいなっていう気持ちが大事なんです」

「最初は結構みんな苦戦していますね。私たちが『そこを1mmずらすときれいだと思う』っていう、その違いが見えるようになるまでが大変みたいで。だけど、やり続けたら、ちゃんと見えるようになってくるから大丈夫」

それぞれがまずは感じるところから。アドバイスをするときも、佐藤さんたちは“noguchiらしさ”を一緒に考えるように、スタッフとコミュニケーションをとっていく。

経験を重ねていくうちに、それぞれの個性も表れてくる。

スタッフの山田さんは、SNSやDMの写真を撮影することが多い。デザイナーの野口さんから「山田くんが撮った写真はもう、noguchiじゃなくてyamadaだな」とお墨付きをもらうほどだという。

「自分のなかでルールがあるわけじゃないんですけど、ジュエリーのかっこよさはわかるから。自分がいいと思うところを正直に撮ろうと心がけています。なんだか写真家みたいなことを言っちゃいましたね(笑)。全然そんなことじゃないんですよ」

「もちろん『もっとこうしたほうがいいんじゃない?』って言われて、やり直しになることもありましたが、それで凹むことはなかったです。もらった言葉を素直に受け入れることで、またひとつブランドのことを理解できたなという感じで」

デザイナーから教わるだけでなく、ときには、お客さんとの対話を通じて気づいたことをアトリエに伝えて、デザインや構造がブラッシュアップされることも。

デザイナーと近い距離感でコミュニケーションをとれるのも、noguchiならではのよさ。

「デザインが生まれた背景や、メンテナンスのこと、もっといろんなことを覚えていきたいです。話の引き出しが増えると、やっぱりお客さんも安心して聞いてくれる感じがするし、ただ『かっこいいですよね』っていうだけじゃなくて、理由や裏づけも大事だなと思います」

「自分もまだまだ勉強したいっていう気持ちがあるし、新しく入ってくる人には細かいところまで、教えてあげたいなって思うようになりました」



お客さんとの出会いを通じてブランドを育ててきたnoguchiにとって、2020年はお店のあり方を見直す転機にもなった。

新しい挑戦について話してくれたのは、浜田さん。

「お店に直接来られない方のために、修理依頼や、気になる商品についての質問を受け付けるメール窓口をつくりました。店頭でお話ししているような距離感でやりとりできるように工夫しながら、文章や写真を送っています」

なかでも気を配っているのが、写真。既存のデータを使い回すのではなく、問い合わせの内容に応じて撮り直しているのだそう。

自然光の下で撮影したり、アングルを何パターンも組み直したり。どの写真も野口さんがチェックした上で、お客さんに届けている。

「それなりに時間もかかるので、お客さまはもしかしたら、ちょっとやきもきされているかもしれません。でも、やっぱり届いたときにギャップを感じてしまわないように、その手間は大切にしたいんです」

そう話す浜田さん自身も、最初は商品写真を撮るのが苦手だったという。

オンラインでやりとりをはじめる以前から、DMなどの写真撮影は店舗のスタッフが手がけてきた。

「野口に見せると『角度が微妙に…』って言われるんですけど、最初は本当にその差がわからないんですよ(笑)。何度もやり直してどうにかDMを完成させたあとで、お客さまから『これ、家に飾っています』って言ってもらえたことがあって。ああ、報われたなって、うれしくなりましたね」

なかなかOKが出なかったり、完成したあとでもっといいアイデアを思いついたり。簡単にできないからこそ、おもしろいと感じることもある。

浜田さんは今、働きはじめて10年目。振り返ってみてどうですか。

「最初の5年くらいはあっという間でしたね。何が美しいかもよくわからなかったし、野口が求めるものに応えようと必死でした」

美しいもの、人の心が動くもの。その引き出しを増やそうと、お花屋さんのワークショップに行ったり、美術館に行ったり。

仕事を通じて、自分の生活のなかにも新しい習慣ができた。

「最初は接客するときも、当たり障りのない言葉を選んでいたけど、最近は自分の素が出ているなと思うことが増えました。気負わず話しかけてみることで、相手の緊張がほぐれて、信頼が生まれることもあって。長く働くうちに、お店が自分にとって心地いい場所になってきた感じはします」

もともとファッションの仕事をしていた浜田さん。お客さんの装いから想像できる範囲で「似合う」だけじゃなく、ちょっと意外な魅力を引き出すような提案も心がけるようになった。

浜田さん自身、前より自由になったと感じるのは、noguchiのジュエリーと自分の美意識との距離が縮まったからじゃないかと思う。

そのブランドの「らしさ」を、制服やマニュアルのように着せられるのではなく、自分の内側とリンクさせながら身につけていける。

そのあり方は、noguchiのジュエリーとも重なるような気がします。

最後に佐藤さんは、こんな言葉をくれました。

「美意識を自分のものにするって、難しく感じるかもしれないけど、たとえば今noguchiのジュエリーを見ていいなと思ってくれたなら、その時点で心が動いているわけだから。入り口はそれで十分です」

(2021/3/2 取材 高橋佑香子)
※撮影時はマスクを外していただきました。

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