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大海を見たダルマ
ものづくりの川上から
新しい流れを

キュッと結んだ口、凛々しい眉毛。赤いダルマがトレードマークの糸メーカー、横田株式会社にはふたつの顔があります。

ひとつは、100年前から家庭で使う縫い糸をつくり続けてきた老舗としての顔。このダルマを見たときに、なんとなく懐かしさを覚えるのは、実家や学校にあった裁縫箱を思い出すからかもしれません。

もうひとつの顔というのは、直営オンラインストア「DARUMA STORE」を覗いてみるとよくわかります。

個性的なバッグやかわいらしい帽子、雑貨。これらはすべて、ダルマの糸をつかってつくれるハンドクラフトのアイテムです。

完成した作品を使うシーンまで想像してワクワクするようなデザインが、DARUMAのキットの魅力。

自分たちでSNSやオンラインストアを運営することで、ものづくりを楽しむユーザーの声を直に感じられる機会が生まれ、最近は海外との取引も増えました。

業界の「川上」に位置するメーカーでありながら、「川下」の向こうにいる消費者とつながれる。そのことは、ものづくりに対する意識にも大きな影響を与えています。

今回は、横田株式会社で営業担当として働く人を募集します。国内外の小売店や代理店と良好な関係を築き、「DARUMA」の世界を広げていく役割です。

新卒から長く働いているメンバーも多い部署なので、今回の募集でも経験は問いません。新卒でも歓迎です。成果を求めて一人で突き進むよりも、仲間と共感し合いながら楽しみの輪を広げていける人を求めています。



横田株式会社の本社があるのは、大阪市中心部の船場と呼ばれるエリア。昔からの問屋街で、本町駅からつながる「船場センタービル」には、長い歴史を感じる繊維問屋が並ぶ。

そこから歩いて5分ほど。数年前に建て替えられた本社のビルは、真っ白な外壁がすっきりと清潔な感じ。

代表の横田宗樹さんにお会いするのは、3年ぶり2回目。以前と変わらず、穏やかに迎えてくれた。

横田株式会社は、横田さんのおじいさんのおじいさんが1901年に創業した糸メーカー。

子どものころから家業が身近にあり、いつかは自分の仕事になることを自覚しながら育ったという横田さん。社会人経験を経て、いざ会社に入ってみると、当初は運営の課題も多かった。

「昔は営業と企画と生産っていう3つが、対立構図にあって。何かとうまくいかないことを、お互いのせいにして連携が取れていない状態でした」

どうやってチームをひとつにまとめていくか。これまで横田さんが経営者として大事にしてきたのは、「共感」というキーワード。新しい仲間を採用するときにも、必ずたしかめるようにしてきた。

「いかに相手の立場に立って物事を考えられるか。それって、社会人経験や仕事のスキルに関係なく、学生さんでもわかる価値観ですよね。新しくチームワークを構築していくためには、共感を軸にした関係性が基盤になると思いました」

「企業理念にも『お客さまの立場に立って物事を考える』っていうことを挙げていて。昨年は、その考えをもとに大きな挑戦をした年でもありました」

今まで横田株式会社がものづくりで大切にしてきたのは、いかに、ほかにない糸をつくり出すかというオリジナリティ。

もともとの綿糸だけでなく、ウールやアクリル、ジュート、紙やナイロンなど、異なる素材を縦横無尽に扱いながらつくる糸は、従来の「手編み糸」の範囲にとどまらない新鮮さがある。

既存のお客さんは、そこに創作意欲が掻き立てられ、手芸があまり身近でない人も思わず手に取ってみたくなるような。

お客さんがよろこぶ顔を思い浮かべながら、自分たちで「ここにしかない糸」をつくり続けよう。そんな目標意識を掲げることで、バラバラだった社内に一本の軸が通っていった。

ただ、昨年は新商品の企画をしなかったという。

一体どういう理由があったんでしょうか。

「今まで僕たちメーカーやバイヤーの間では、新商品は毎年出して当たり前っていう意識があったんですが、それって本当にお客さまのためになっているのかなっていう疑問を感じるようになって」

「そもそもお客さまは、糸そのものを見ているわけじゃなくて、糸から生まれる作品を見ているんですよね。本来僕たちは、糸のユニークさをアピールするだけじゃなくて、糸から生まれる“楽しみ”を提案していかないといけない。そこにちゃんと注力していこうって考え直したんです」

実はこのところ、毎シーズン新しい「糸」のアイデア出しに追われるうちに、それを使ってつくる「作品」サンプルのデザインが遅れがちになっていた。

作品提案ができないまま、糸の種類だけ増えると、廃番になるものが出てくる。すると結果的に、その糸を愛用してくれたお客さんを悲しませることになってしまう。

やみくもに新しいものを求め続けるよりも、今までつくった商品が定番になるように磨いていく。目先の利益を失ったとしても、長く愛してくれるお客さんを大事にしたい。それが、横田さんたちが出した答えだった。



営業担当の梶原さんは当初、この「今年は新商品なし」という判断に戸惑ったという。

「代理店や小売店のバイヤーさんはいつもDARUMAの新商品を楽しみにしてくれているので、商談に行くときは少し不安でした。一方では、業界の当たり前を変える、いいきっかけになるのかもしれないという期待もありました」

新卒で横田株式会社に入社した梶原さんは、現在32歳。この10年間で会社の考えや体制が変わっていくのを、間近に感じてきた。

「僕が入社した当初はまだ先代社長の時代でした。家庭糸と呼んでいる定番の縫い糸のほうはずっと安定していたんですけど、手編み糸はまだまだ弱くて。代理店さんに持って行っても『いらん、いらん』って言われるし、仕方なく値段で交渉するっていう、辛い状況が2〜3年続きました」

もともと縫い糸メーカーだった横田株式会社が、毛糸の製造をはじめたのは70年代ごろ。それまで手編み糸では主にシンプルなレース編みの糸を製造してきた。

オリジナルの糸の企画に力を入れるようになったのは、ちょうど梶原さんが入社したころ。ユニークな素材を取り入れ、デザイン性のある作品を提案しはじめた。

DARUMAの新しい魅力にいち早く気づいたのは、業界の担当者ではなくSNSのユーザーだった。そのリアクションに、バイヤーの見る目も変わってきたという。

「昔は考えられないことですけど、今では『DARUMAが出す物だったらとりあえず置いてみるわ』って言ってくださる方もいて。ブランドとして信頼してもらえるようになったのは、うれしい変化ですね。営業としては、今かなり恵まれた状況にあると思います」

期待されるブランドになったからこそ、「新商品なし」が取引先に与えるショックも大きかったのでは?

「そうですね。僕たちのスタンスを理解してくださる方もいれば、率直にがっかりされることもありました。新商品があったほうが、売り場はつくりやすいですからね。ただ、そこで自分たちが『すみません、新しい商品がないんです』って、謝るのは違うと思うんです」

「SNSを見れば、従来の商品を愛用してくれているユーザーが多いのは明らかです。営業担当の僕たちが『新商品はなくても、お客さんに喜んでもらう提案ができますよ』っていう姿勢でコミュニケーションをとることで、業界全体の常識が新しくなったらいいなっていう願いもあります」

ユーザーの実感を肌身に感じながらものづくりができるのは、横田株式会社ならではの強み。

それをもっと伸ばしていくために、梶原さんは最近、自分でも編み物に挑戦しはじめた。まったくの初心者だった梶原さんは、編み図ではなく動画だけを手がかりに編むことができるかを試したという。

それは、もともと編み物ができるスタッフにはできない体験ですね。知らなかったことも強みになるというか。

「糸のメーカーだからといって、編み物好きじゃないといけないことはないし、営業の仕事は特に、入ってから成長する部分が大きいと思います」

「メーカーの営業というと、ルート営業をイメージされるかもしれないですけど、うちの営業は本当に“何でも屋”です。商談はもちろん、海外出荷の手配も、経理的な事務処理も、自分たち担う仕事の幅が広くて。結構地道な作業もありますよ」

横田株式会社の営業先は、地域の小売店から大手量販店、海外までさまざま。若い担当者もいれば、80歳を超える店主もいて、現金でやりとりする取引先もわずかに残っている。



梶原さんの後輩である丹羽さんは、入社当時その文化に驚いたという。

「入社する前に横田株式会社のウェブサイトを見たとき、すごくおしゃれだなっていう印象があったので、かなりギャップは感じました(笑)。老舗の企業だからこそ、そういう仕事もあるんだなって新鮮で」

「今はそうやって年配のお得意さんを『まいど〜』って訪ねていく時間も、普段とは違うコミュニケーションのひとつとして、楽しいと思えるようになりました」

一方、横田株式会社の得意先は手芸店にとどまらず広がり続けている。

糸やキットに加えて、編み物本も自社で企画制作しているので、本屋さんでコーナーをつくったり、イベントを企画したりすることもある。

「いかにおしゃれなサイトをつくっても、店先で埃をかぶっていたら意味がない。現実世界でも、お客さんといい接点をつくっていけるように工夫していきたいなと思います」

「僕はもともと、人と話すのはそんなに得意ではなかったんですけど、新卒で入社して営業として働いていくうちに、なんとか社会人っぽくなってきて。これから僕たちの後輩になる人も、気負わずに入ってきてほしいですね」

先輩の梶原さんとは歳も近く、気も合うという丹羽さん。

お酒が好きという共通点もあり、普段からよく一緒に飲みに行く。デスクにいるときだけでなく、飲みながら話したことや、そこで出会った人とのつながりが、仕事に活きてくることもある。

お客さんとも、仲間とも、コミュニケーションを楽しむ。それが、「お客さんの気持ちを知る営業」であるための基本なのかもしれません。

(2022/6/3 取材 高橋佑香子)
※撮影時はマスクを外していただきました。

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