たとえば、新しいお財布を探しているとき。
ちょっと大人っぽいものが欲しいな。
これ良いかも、と見ていると、店員さんが話しかけてくれました。
「この色可愛いですよね」
聞けば、このお財布をつくっている職人さんは、ドイツで革の修行をしたそう。
コンパクトながら収納力があること、使うほどに手に馴染んでくること、いろいろ教えてもらううちに、このお財布が好きになってくる。
うんうん、これだな。これにしよう。

「好きなお店で買ったときの『温かくなった気持ち』を思い出しながら使うと、その度うれしくなりますよね。お客さまにもそう感じてもらえたらいいなって、いつも考えているんです」
そう話すのは、自由が丘にある「日本のカッコイイを集めたお土産屋さん」がコンセプトのお店、カタカナで働く脇田さん。
これまで何度も日本仕事百貨で募集しているカタカナ。今回はオンラインストアの運営スタッフと、店舗スタッフを募集します。
オンラインストアの運営は、商品ページに載せる写真の撮影や企画がメイン。写真や動画の撮影・編集経験があったり、IllustratorやPhotoshopといった編集ソフトが使える人だとうれしいですが、未経験でも大丈夫です。
店舗スタッフは、接客に興味がある人はもちろん、将来的に店長やバイヤー候補になるような、熱意を持った人も探しています。
スキルや経験よりも、重視しているのは「好き」「伝えたい」という気持ち。
ピンと来た方は、ぜひ読み進めてみてください。
東京・自由が丘。駅から徒歩3分。石畳のメインストリートとベンチのある気持ちの良い緑道を越えると、カタカナの店舗がある。

取り扱っているのは、アクセサリーや雑貨、洋服、食品、絵本までさまざま。
歩いてすぐの距離にはカタカナshinというギャラリーもあり、どちらもこだわりのアイテムが並んでいる。
「曲げわっぱのお弁当箱は、カタカナが創業するきっかけになった商品で、長年人気があります。私も、細長い形のものを愛用しているんですよ」
そう話すのは、オンラインストアのディレクターを務める脇田さん。

「細長い形だと、おかずをただ並べるだけでそれらしく決まります。木が湿気を調整してくれて、お米もおかずも本当に美味しくなるんですよね。サンドイッチを入れるのもおすすめです」
職人さんのことや木材のこと、加工方法や活用についてなど、次々と教えてくれる脇田さん。
つくり手のストーリーと、生活に根差した使い方が、脇田さん自身の言葉でしっかりと伝わってくる。
この曲げわっぱが本当に好きなんだろうな。
「今はオンラインストアの仕事がメインですが、店舗で接客をしていた期間も長いので、ついたくさんお話したくなっちゃうんです」

渋谷ヒカリエにあったカタカナの店舗で販売を経験したあと、カナダへ留学。その後再びカタカナに戻ってきた。
「帰国後の進路に悩んでいたとき、たまたま代表の河野夫妻に再会して。『カメラやってみない?』と誘ってもらいました。写真や動画は未経験でしたが、自分が心から共感、納得できることを仕事にしたいと思ったんです」
写真や動画に詳しい別のスタッフがいるので、やる気さえあれば初心者でも教えてもらえる。好きこそものの上手なれというように、働くなかで技術はついてくるはずだ。

具体的にはどんな仕事をしているのだろう?
「オンラインストア全体の責任者として、主に企画業務を担当しています。写真や動画の撮影編集をすることもあれば、インスタライブに出演することも。先日つくった商品紹介のリール動画は、いつも以上に反響があってうれしかったです」
業務の幅は広く、柔軟に動けることが大切になってくる。
「私が感動したポイントや、いいなと思ったことを、どこまで詳しく伝えるか。そのバランスが難しいんです。たとえば、買い付け先が急な坂の上にあって暑くて大変だった、とか(笑)。私は好きなエピソードですが、今のウェブには盛り込めない内容なんですよね」
本当はじっくり伝えたいところなんですけど、と脇田さん。
「扱っているものの物量がかなり多いことに加え、更新スピードも速い。売上もしっかり意識しないといけないので、気力と体力はけっこう必要だと思います」

今後はウェブサイトに、買い付けのこぼれ話や、読みもののページも追加し、さらに魅力的にしたいと考えている。
「生活が豊かになる出会いのきっかけをつくりたいんです。商品のストーリーを知って、それを喜びに変えられるように。お客さまの温度感に寄り添いながら魅力を伝えたい。そこに共感してくれる人にぜひ来てもらいたいですね」
続いて話を聞くのは、オンラインストアスタッフの腰塚さん。日本仕事百貨の記事を読んで半年ほど前に入社した。

「以前は車の販売会社で、事務や人事を担当していました。一緒に働く整備士の方々の、車がすごく好きという思いに触れて。大好きなことを仕事にできるって素敵だなと思ったんです」
自分は車の魅力を伝え切れているのかな。自分が本当に好きなことってなんだろう。そう考えてたどり着いたのがカタカナだった。
「旅行したときに、その土地の作家さんの器や小物を見るのが好きで。生活に潤いを与えてくれるようなものに囲まれていたいな、と気づきました」
「休日でも『この作品可愛いな、カタカナに合いそうだな』とか『どうしたらもっとカタカナを知ってもらえるかな』と、考えている自分がいます」
仕事と休日をはっきり分けたい人もいるけれど、休日に考えていても苦じゃないことを仕事にできるって幸せだと思う。

現在は、オンラインストアの受注管理やお客さま対応を担当している。
オンラインストアで購入があると、まずは注文内容をチェックして倉庫に商品を探しに行く。商品を取りまとめたら、配送チームに受け渡すという流れ。
「お客さまへ送るメールの文面は、固くなりすぎないよう気をつけています。私は前職の癖で、つい結論から先にズバッと書いていたのですが、先輩からアドバイスをもらい試行錯誤しているところです」
店頭での接客を大切にしているカタカナ。腰塚さんも月に1〜2回は店頭に立っている。
「商品の知識はまだ浅いので、品出しをしながら先輩の接客を観察して『そう伝えればいいのか』と真似してやってみたり。学ぶことが多いです」

カタカナが自由が丘にお店を構えて、もう16年目。「お店って楽しいんですよ」と話すのは代表の河野さんと、妻で店長の与輔子(よほこ)さん。
まずは与輔子さんから。
「私はほとんど毎日店頭に立っています。売り場ってすごく正直で。同じ商品でも、置く場所が少し変わるだけで反応が変わる。最初はその違いに驚くと思います」

カタカナでは、売り場を完成させるというより、毎日少しずつ良くしていくものだと考えている。
「自分が手を入れた売り場で、お客さまが商品を手に取ってくれたとき。『伝わったかも』って思える瞬間があって、それがおもしろいんです」
続けて河野さん。
「ふたりともアパレルの仕事をしていたので、やっぱりお店は大切にしていますね。私も週末は店頭に立っています」
カタカナでは、代表である河野さんをはじめ、バイヤーや広報スタッフもときどき接客をしている。
オンラインストアのスタッフも、交代でお店の掃除と開店準備を担当。実店舗とオンラインストアが密接に関わり合っている。

与輔子さんが、接客に込めた想いを教えてくれた。
「ただものを売るわけではないんです。どんな思いで、どんな場所で、どう生まれたのか。そういった背景ごとお客さまにお渡ししていく。つくり手の想いを、次の人へ手渡していく仕事だと思っています」
カタカナの接客では、うまく話すことがゴールではない。
「接客って、最初はちょっと緊張しますよね。私もそうでした。でも、自分の感じたことをそのまま話すところからはじめれば、お客さまも少しずつ会話してくれます」
「帰り際に、また来ますねって言っていただけたときは、やっぱりうれしいですよ」
雨の日はお客さまがガクンと減るし、ときには思うようにいかないことも。だけど、それ以上にこの仕事ならではのよろこびがある。
「『前に買ったもの、ずっと使っています』と言ってもらえたり、贈りものを選んでいた方が『これにしてよかったです』と笑顔で帰っていかれたり。ここで働いてよかったなと思える瞬間が、きっと何度もあると思います」
最後に、再び河野さん。
カタカナには、どんな人が合っていますか?
「人が好きで、商品が好きで、ワクワクしながら働ける人がいいですね。働きながらいろいろ教えるので、違うジャンルからの転職も大歓迎です」
「自分のスキルを、もっと好きな分野で伸ばしていきたい方。今の仕事ではスキルを活かし切れず、もどかしい思いをしている方。納得しながら働きたい方。ぜひお待ちしています」

カタカナの今後の展望も聞いてみる。
「コロナ禍以降のぼり調子で来て、ギャラリーをオープンし、事務所を移転。さあここから頑張るぞ! というタイミングで見えない壁にぶつかってしまい、2025年度は想像していたよりも少し厳しい年になりました」
「だからこそ、僕たちのありたい姿を考える機会になったんです。たとえばイベントやトークショーを増やしたい。ウェブサイトにはコラムを載せて、週に1度は覗きたくなるようにしたいと思っています」
単に売るだけではなく、対話する場所へ。店舗でもオンラインでも、温度のあるコミュニケーションを丁寧に重ねたい。
「誰かの暮らしのなかに当たり前にカタカナが存在する。ゆくゆくは、そんな『まちの老舗』になっていきたいんです」
お店のファンクラブもあるほど、リピーターのお客さんに支えられているカタカナ。
先日、小さな頃から通ってくれていた子が成人して、お店に振袖姿を見せに来てくれたのがすごくうれしかったそう。
16年続けるって、すごいことだな。
人がお店を盛り上げ、お店がまちの景色を変える。
お店っておもしろいと、笑顔で話すみなさんの姿が印象的でした。
好きなものを大切に届けたい。その情熱は、きっと強い力になります。
(2026/03/06 取材 今井夕華)


