株式会社モノサスは、Webやクリエイティブ、食の分野でものづくりをしている会社です。
やってみたかったことを仕事にしたり、暮らしたい場所にサテライトオフィスをつくったり。
事業を大きくすることを目指すというよりも、集まってきた人たちで話しながら、今のかたちを積み上げてきました。

13年前にタイ・バンコクで設立したモノサスタイランドは、Webをつくるメンバーが集まる拠点になっています。
人と関わりながらものをつくり、新たなプロジェクトを開拓していく。
これからタイでの活動を広げていくために、Webディレクター、フロントエンドエンジニア、そして営業として働く、新たな仲間を探しています。
向かったのは、モノサスの本社がある東京・代々木。
住宅街のなかにあるオフィスは、Webやクリエイティブ、バックオフィスのメンバーの作業スペース、そして食のチームが運営する食料品店を併設している。
オンラインミーティングをしている人がいたり、キノコを栽培しているチームが試食をしていたり。
さまざまなメンバーが働くオフィスで話を聞いたのは、代表の眞鍋さん。

長く広告やデザインのプロデューサーとして仕事をしてきた眞鍋さん。
料理人が開催したイベントの運営を担当したことをきっかけに、食のプロジェクトに関わることに。
モノサスに所属しながら、徳島の神山町に移住。会社のメンバーに応援してもらいながら、まちの農業を次の世代につなぐための活動「フードハブ・プロジェクト」を立ち上げた。
2年前にはモノサス、昨年からはモノサスタイランドの代表を受け取って、全体の活動を支えている。
「10年ぶりにタイに行ったら、都市開発の規模が想像を絶していて。スピード感、エネルギーをすごく感じました。アジアで仕事を増やしていくのがおもしろいんじゃないかなって思えたんですよね」

13年前、日本でWebのチームの採用が間に合わないことから、オフショアの拠点としてバンコクにつくることにしたのがモノサスタイランドのはじまり。
今では日本人ディレクターとタイ人のエンジニア、20人ほどのメンバーが所属するチームになった。
日本で受注したWeb制作の仕事のなかでも、ページを量産していく大きな案件や、仕様がある程度決まっているものを安定してつくることを得意としている。
ここ数年は日本人メンバーが帰国したり、仕事が少なくなる時期が重なった。今後について話すなかで、拠点を縮小する案が出たこともあったそう。
「タイにはコツコツとサイトをつくれるメンバーが集まっていて、続けてきた実績がある。やめるのは簡単だけど、同じ状況はつくれないだろうと思ったんです。せっかくあるチーム、関係性を活かしてできることはないのか話し合ってきました」
「これまでの、日本の仕事を受けるビジネスモデルではなくて、新しい価値をつくる場所にできないかって。オフショアじゃなくてバリューショア。タイのメンバーだからできることを見直して、新たな価値をつくって、伸ばしていくことに決めました」
たとえば日本で受注した仕事を受けるだけでなく、タイやアジアの企業と直接つながって仕事をつくったり。
タイのメンバーが主体になって進めるプロジェクトが増えていくことで、これまでとは違うことが起きていくかもしれない。
そこで、まずはタイの経営体制を強化。
営業やチームづくり、クリエイティブに強いメンバー3人を軸に、モノサスタイランドのこれからを考えていくことにした。
「彼らにとって大きな挑戦になるし、彼らだからできることもたくさんある。働いているメンバーが誇りに思えるような仕事、環境をつくっていってもらえたらいいなと思っています」
Chief Experience Officer、最高体験責任者としてクリエイティブのパートを担うことになったのが、林さん。

今はデザインやプログラミング、ディレクションまで、幅広い仕事をしている。
ものづくりに関心を持つようになったのは、中学生のときのこと。
「ギターをはじめたのが大きかったですね。テレビもゲームもやめて、音楽もつくるようになって。そこから派生してTシャツとか、CDのジャケット、ミュージックビデオもつくったりして。自然と、デザインへの関心が強くなっていきました」
プログラミングを学んだり、ゲーム制作を仕事にしたり。
フリーランス、会社員、仲間と一緒に会社を経営していた時期もある。
「関わりたいと思うプロジェクトとか、おもしろい人と仲良くなりたいなって思うと、自分もある程度おもしろくないと相手にしてもらえない感じがあって。関わりたい人と一緒に仕事をするために、できることを広げてきました」
「デザインをはじめたとき、鑑賞するだけではなくて、つくる側でいたいっていう意識を持ちました。それが、今も続いているんだと思います」

眞鍋さんと仕事をした縁がつながって、モノサスで働くことになったのが3年前のこと。
「届く範囲が広がった感じがしています。自分だけでやりすぎず、チームに任せられるところは委ねるとか。そういう意識ができるようになったのは、この3年の変化かもしれませんね」
印象的だった仕事について聞いてみると、知り合いのプロジェクトに関わったときのことを話してくれた。
「アートプロジェクトのWeb周りをまるっと担当しました。ディレクターが尊敬する先生で、アーティストなんですよ。同じ時期に、個展を開催したり、アトリエをつくったりもしていて」
アトリエに遊びに行って話し込んだり。ごはんを食べに行ったり。
一緒につくっていく人たちと過ごす時間は、自然と増えていったそう。
「クライアントではあるし、納期も予算もある。それでもお互いに人だから、調子の波があったりする。ここまでは僕の仕事、そこからはあなたの役割、みたいなことではなくて。起きたことに反応していくほうが、僕はやりやすいんです」
「制作物や納品物も大切だけど、関係性のなかで有機的につくっていく。その結果、全体がうまくいくっていうことを大切にしていきたいんですよね」

モノサスタイランドの体制を変える話を聞いたのは、昨年の春のこと。
秋には拠点をバンコクに移し、日本と行き来しながら仕事をしている。
「タイには友だちもいたし、海外で働くのもいいなって思っていたんです。あとはやっぱり、仕事以外でもタイのメンバーに関われる。ちょっとした雑談とか着てる服、聴いてる音楽とか。どんな人なのかを知った上で関われるのがいいですよね」
元々ゲーム開発をしていたり、海外で働いていたり、電子工作で家庭菜園をスマート化したり。いろいろなスキルを持っているメンバーが集まっている。
話をしたり、一緒にものづくりをするなかで、少しずつ、それぞれの得意なことや関心を持っていることが見えるようになってきた。
勤怠管理のシステムを自発的につくったり、AIの勉強会を積極的に開いたりしているのだそう。
「僕自身、Webのオープンな文化に育ててもらってきたところがあるので。還元するじゃないけど、ここで僕にできることはやっていきたいと思っているところです
「Webってコミュニケーションのための道具をつくってる部分が大きいと思うんです。みんなに平等に情報が届くような世界をつくりたい。文化的にも技術的にも、Webの可能性を信じている人と一緒に仕事ができたらうれしいですね」

新しく入る人は、日本での研修期間を過ごしたあと、基本的にはタイに移って一緒に仕事をしていくことになる。
そちらの生活はどうですか。
「めちゃめちゃ楽しんでます。食べものはタイ料理だけじゃなくて中華も洋食も和食も美味しいしカフェも最高。人も親切だし、現代美術が盛り上がってきて文化的にもいろんなことが起こっている」
「アジアの人たちが集まっている国でもあるので、いろいろな価値観に触れています。ここでなにができるのか、いろいろな可能性を感じているところです」
そんなバンコクでの生活が13年になるのが、ディレクターの日向さん。
オンラインでつないで、話を聞かせてもらう。

「学校を卒業したあとは、栄養士として働きました。職業訓練で基礎を学んでコーダーになったんです。自分が書いたコードが画面に反映されて、いろんな人が見てくれることが楽しくて。社会の一員になって実感がありました」
当時のパートナーがタイに移住することになり、観光気分でついてきた。
暑さやクラクションの音など、日本とは異なる環境に慣れない時期が続いたそう。
「5年ほどして、1人で暮らすことになりました。日本に戻るっていう選択肢もあったけど、不完全燃焼なままタイを離れたくないって思ったんです」
「住めば都で、今は本当に気楽に生活しています。タイの人はやさしいので、困ったら助けてくれる。だけど、放っておいてもくれる。誰も私のことを気にしてないっていう感じが心地いいんですよね」

モノサスタイランドに入社したのが8年前。
ディレクターとして、日本のクライアントからの依頼を整理して、タイのエンジニアに展開。つくったものを確認し、納品するのが主な仕事。
いくつもの案件が並行して動いていて、毎日あわただしく過ごしている。
「Webサイトって、世の中にあるものはおおかた再現できるはずなんですよね。要は頑張るか、頑張らないか。予算やスケジュールがあるので、自分たちができることなのか、見極めるのがディレクターの重要な仕事かなと思っています」
お客さんがやりたいことを膨らませていても、できることは限られてくる。
すべて実現させたいけれど、現実的なところに落とし込まないと、クライアントも制作するメンバーも困らせてしまう。
「仕様をそのまま受け取るというよりも、こうしたほうが読みやすいとか、使いやすいとか。そういうところをこちらから提案できる関係性をつくっていきたいと思っています。お客さんと私たちがチームになってものづくりをしていく感覚でないと、いいものはできないんじゃないかな」

クライアントと話したことをタイ人のエンジニアに伝えるときに意識しているのは、どんなサイトなのか、なぜリニューアルするのか。そして、お客さんがどんな人なのかを共有すること。
「そのほうが、日本語が読めないエンジニアさんたちも、画面の向こうにお客さまを想像できて、仕事がしやすいと思うんです。コーダーさんたちが安心して仕事ができるように展開するのは、心がけていることのひとつです」
ここ数年はディレクションだけでなく、メンバーのマネジメントにも関わることが増えてきた。
「私の性質的に、人の感情に敏感なところがあって。タイのメンバーたちが今どういう感じなのか、どうしたら働きやすいかを考えるのは、向いているんじゃないかなって。私がいそがしいときには、『日向さん、大丈夫だよ』って逆に声をかけてもらうこともあるんですけどね」
体制が変わり、林さんが移り住んできて、一緒に取り組む仕事もはじまっている。
タイのメンバーの雰囲気も、温度が上がっているように感じている。
「関わってくれる人が増える、しかも林さんは引っ越してくるって聞いて、すごくうれしかったですね。強い味方ができて安心したし、これから新しいことがはじまるんだってワクワクしています」
モノサスタイランドのメンバーと、一緒にものづくりをしていく。
地道な仕事と向き合ったり、新しい仕事や関係性を開拓したり。
変化の時期を楽しめる、柔軟な方からのご連絡をお待ちしています。
(2026/4/8 取材 中嶋希実)


