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「この前、夕飯に栗ご飯を炊いたから友達を家に呼んで。最初は『仕事の続きがあるから、9時には帰る』って言っていたのに、おしゃべりしているうちに虫の声が聞こえて、時計を見たら深夜1時でした。友達は『この家に来るといつも帰れなくなる!』って」
そう話すのは、Rバンクの金子さん。
「なんとなく落ち着いて、無意識に長い時間を過ごしてしまう空間ってありますよね。一泊のつもりだったけど、2泊3泊って予定を延ばしたくなる宿とか。私たちがつくりたいのは、そういう心地いい場所なんです」
Rバンクはシェアハウスやホステル、集合住宅などの空間提案を通して、人と人が心地よく過ごせるコミュニティづくりに取り組む不動産会社。
もともとは、2006年にリノベーションによる住空間づくりを核にスタートした会社ですが、物件の管理運営まで自社で行うことで、そこに居る人たちの声や実感が企画に活かされています。
京急電鉄グループに入ってからは、沿線の活性化にも取り組んでいます。2019年にスタートしたホステルもその一環。シェアハウスなど共同住宅を多く手がけてきたノウハウを活かし、日常の延長にある居心地のよさを形にしようと取り組んでいます。
現在ホステルの拠点は、浅草、羽田、鎌倉、札幌の4地域7店舗。今回はここで接客やマネジメントなどを担うスタッフを募集します。
あわせてコーディネート賃貸の事業部でも、物件の管理を担うスタッフを募集しています。
Rバンクは事業部の垣根が低く、ライフステージの変化やキャリアアップなど希望に応じて働き方を変える先輩も多くいます。人の居場所づくりを軸に、いろんなことに挑戦してみたい人にとっては刺激が多い環境だと思います。
また、産育休や子育て中の時短勤務などの実績も多いチームなので、フルタイムで働けないなどの事情がある方も、気軽にコンタクトをとってみてください。
Rバンクのオフィスは、中目黒駅のそばにある。
2階にあるミーティングルームで迎えてくれたのは、ホステルの運営に携わる堂前さんと小山(おやま)さん。2人とも4年前にアルバイトで入社し、現在は正社員として関東の店舗のマネジメントを担っている。
Rバンクのホステルは2019年に浅草1号店が立ち上がり、翌年までに都内で4店舗がオープンした。
直後に見舞われたコロナ禍で一時は休館する店舗もあったものの、この夏は海外からのお客さんも増え、現在は7店舗がフル稼働、ようやく軌道にのってきた。
私も以前、浅草にある「plat hostel keikyu asakusa karin」を取材させてもらったことがある。
屋上からスカイツリーが見える建物は、カリン材を使用した内装が温かい雰囲気で、所々に和小物があって。さりげない収納や椅子の多いラウンジなど、何気ない気遣いが随所にあった。
みんなでも、一人でも、心地よく居られる。空間にちょうどいい境界線がキープされているのは、共同住宅などを多く手がけてきたRバンクらしさだと思う。
「僕が最初に働いていた浅草の店舗 “plat hostel keikyu asakusa station” はドミトリーがメインで、海外からのバックパッカーが多くて。初対面のお客さん同士が楽しく打ち解けられるように意識していました」
そう教えてくれたのは小山さん。みんなからはマックスと呼ばれている。
お客さんとの交流というと、ホステルの醍醐味というイメージもあります。
「Rバンクのホステルは共有スペースがコンパクトなので、自然と輪ができやすいです。英語を話せないお客さんは、僕たちがちょっと通訳するような感じで会話に交われるようにしていました」
「仲良くなったお客さんが、次の日に観光に一緒に出かけていくのを見ると、ああ楽しいな、この仕事していてよかったなと思います」
もともと自身も、海外を旅するのが好きだった小山さん。
ベトナム、タイ、ラオス、コンゴ、アジアの旅では、偶然出会った街の人と話をしたり、食事をしたり、ときには家に泊めてもらったり。宿泊先のホステルのスタッフに街を案内してもらったこともあった。
「Rバンクのホステルにはキッチンがあって。僕はよくシフト終わりに料理をしていました。海外のお客さんに人気のカツ丼とか、アルゼンチン出身のスタッフから教わった家庭料理とか。最初は自主的にやっていたんですけど、だんだんそれがイベントとして定着するようになりました」
「最初はほかのバイトと掛け持ちしていたんですけど、現場が楽しくて、気がついたらどんどんシフトを増やしていて。当時は僕だけじゃなくて、そういうスタッフは結構いましたね」
Rバンクのホステルは、20〜30代のアルバイトを中心に現場を運営している。ワーキングホリデーや留学に行きたい、英語を覚えたいなど、海外への関心がきっかけで働く人が多い。
小山さんも、もともとは自由に海外を旅行したくてアルバイトという働き方を選んでいたため、正社員登用のオファーを受けたときは少し迷いもあったそう。
社員になると施設管理やシフト、予算調整など、マネジメントに関する役割も多くなる。
「社員になるとお客さまと接する時間は減りますが、日常のデスクワークもホステルの現場でやっているので、コミュニケーションの機会がなくなるわけではありません」
「今は、お客さんとの出会いだけじゃなくて、各拠点でアルバイトの人たちが楽しそうに働く姿を見るという楽しみが増えました。どうやったらみんなの士気が上がるか考えるのが自分の仕事だと思います」
現在、社員としてホステルの運営に携わっているメンバーは5人。いずれは7つある施設それぞれにメインの担当をつけられるように体制を整えたいという。
今回の募集で正社員として入る人も、まずは2〜3ヶ月、現場で仕事の流れを覚えることになる。ホステルでの1日について、堂前さんに聞いてみる。
「まずは朝8時ごろからチェックアウト業務、施設によっては朝食の用意もします。そのあと施設清掃をしながら、フロントに来るお客さんの対応、夕方からチェックインがはじまって、そこからは夜23時ごろまでは、お客さんとコミュニケーションをとりながら過ごします」
ホステルの仕事というと華やかなイメージもあるけれど、実際には清掃など地道な業務も多い。
「エアコンの効きが弱いとか、設備が使いにくいとか、運営してみて初めて気づくことも多いです。運営方法と建物の管理、両面から改善を考えることが大事ですね」
仮に、掃除が行き届いていない場所があったとしても、スタッフの不注意と決めつけず、見落としてしまう理由が建物の構造にあるかもしれないと考える。
その発想は、企画から管理まで一貫して行うRバンクならでは。
月に一度のRバンク全体ミーティングは貴重な情報共有の場。ほかの事業部のノウハウも参考にしつつ、問題解決の方法を考えていく。
「ルーティーンの感覚でできる仕事は少ないです。同じ業務でも、お客さんに合わせた対応が必要だったり、台風など不測の事態が発生したり。日々の変化に積極的に対応できる気持ちを持った人が加わってくれるといいですね」
ホステルオープン直後から長引いたコロナ禍は、まさにイレギュラーな事態。
観光客が見込めない時期には、地元の商店街に呼びかけて帰省客にアプローチするなど工夫を重ねてきた。
インバウンドが回復した後も、地域とのつながりは意識し続けたいと堂前さんは話す。
「社員になると、ひとつの拠点に常駐するわけにもいかないので、現場スタッフの情報が頼りになることも多いです。観光地なのでお店の入れ替わりも激しいけど、みんなが飲食店を開拓してエリアマップをつくっていて」
「あとは、スタッフから出てくるイベントのアイデアにも地域性がありますね。浅草だと雷門までのお散歩ツアーや、ミニ屋台とか。隅田川の花火大会のときには、屋上でフランクフルトを焼いて売っていました」
ホステルで、そんなこともできるんですね。
「もちろん、事前に自治体に申請が必要ですし、そのための予算確保など準備も必要です。施設によっては屋上の使用が制限される場合もあるので、全部を実現するのは難しいんですけど、なるべくみんなのアイデアが実現できるように考えています」
隣でにこやかに話を聞いていた取締役の金子さん。ホステルの現場に行くといつも元気をもらうという。
「初々しいアルバイトの子も多いですし、この2人ももともと正反対の性格で、それがおもしろかった。マックスは行動力のあるムードメーカーで、たまたま私が現場に行ったときも、シフトが終わっているのに仕事場から帰らないんですよ。仲良くなったお客さまの帰りを待っていたり、スタッフみんなとラグビーの試合を見たり」
「堂前くんは真面目で、決められた業務をきちんと進めていく一方で、ゲストのためには柔軟な対応もできる、気配りの人なんです。タイプは違うけど、将来絶対いいコンビになるって、最初から確信していました」
Rバンクの取材に来ると、いつも金子さんはとても率直にスタッフのことを褒める。
会社の創業メンバーでもある金子さんにとって、スタッフそれぞれがお客さんのことを考えて自主的に行動しているのは、うれしいんだと思う。
「トップダウンで進めるより、現場のアイデアを活かせるチームがいいですよね。うちはちょっと放ったらかしというか、基本のフローをつくった上で、現場にも裁量を持たせて任せていて。逆に、指示がないと動けないタイプだとちょっと厳しいと思います」
「ホステル、賃貸、シェアハウス、Rバンクにはいろんな事業部がありますが、私たちの仕事はすべて、その地域ごとに人が心地よく過ごせる空間をつくるという点で共通なんです」
金子さんは以前から、自分たちの役割を“まちづくり”だと話していた。
あらためてRバンクがこれまでに手がけた空間を見てみると、DIYができる家、ペットと暮らせる家、音楽家専用の家など、さまざまなライフスタイルが浮かび上がってくる。
それは、ひとつの地域のなかにも、世代や考え、文化の違う、住人、旅人、いろんな人がいることを肯定的に捉える手掛かりになるかもしれません。
一人ひとりが自分らしくいられる場所を増やすこと。つくった空間を自分たちで「居場所」に育てること。
それが、Rバンクの仕事なのだと思います。
(2023/9/11 取材 高橋佑香子)