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こういうものをつくりたい。こういうことをしたい。その思いに正直なことが、何かをかたちにするときの最初の一歩だと思う。
さらに良いものにしたいと思ったとき、1人では実現できないこともある。そんなときは、一緒に働く人とコミュニケーションを取りながら、思い描くかたちに近づけていく。
株式会社ラフジュ工房では、そんなふうに自分たちの想いをかたちにする人たちが働いていました。
アンティーク家具の仕入れから修理、ECサイトでの販売などを手がけるこの会社で、広報スタッフを募集します。
日本最大級のネットショップ「ラフジュ工房」やWEBマガジン「RAFUJU MAG」でのライティングに、インテリアコーディネートなど、広報の仕事は幅広い。
まずは商品を紹介する文章を書くことからはじめて、ゆくゆくは本人の希望する仕事に挑戦してもらいたいとのことです。
上野から常磐線で水戸まで。そこから水郡線に乗り換える。車窓からは稲穂が垂れる田んぼの風景が広がっている。
常陸大宮駅からは車で移動。10分ほどでラフジュ工房に到着する。
奥にあるのが、仕入れた家具をリペア・リメイクする大きな工房。中央の一軒家のような建物は1階がハウススタジオ兼展示会場、2階が事務所になっている。
手前の建物にある休憩室で、代表の岩間さんに話を伺う。
実家の裏庭で仕入れた家具を修理し、インターネットで販売するところからはじまったラフジュ工房。
立ち上げからもうすぐ10年。今ではスタッフも50人に増え、在庫家具は4000点を超えるほど、組織の規模は大きくなった。
「今までずっとインターネットで販売してきて、WEBマーケティングの方向性は固まってきました。じゃあこれからどうするかといったら、水戸周辺で実店舗をもって、家具を販売していこうと考えていて」
その考えの背景にあるのは、ただがむしゃらに売上を伸ばそうという、ビジネス的な観点だけではないという。
「心に余裕があって、人から感謝されて、家に帰ったらおいしいご飯を食べてゆっくり寝る。そんなふうに、働くスタッフが人らしい生活を送れるように会社の仕組みを整える。そうすることで組織がより安定して存続できる基盤をつくりたいんです」
具体的には、今働いている人たちがいきいきと活躍できる環境をつくること。
たとえば、自社のハウススタジオで月に1回、展示会を開催するようになったそう。
「スタッフが交代で店番をして、お客さんの生の声を聞いたり表情が見えたほうが、自分の仕事の価値を再認識できると思う。それが仕事へのやる気につながっていくのかなと思っていて」
お客さんから得た感想を、WEBサイトに掲載する商品の撮影に活かしたり、仕事の仕方にも変化があるそう。積極的にお客さんとやり取りする時間を持とうとするスタッフもいるんだとか。
「自ら展示会で接客したいと手を挙げてくれるようになってきて。いい刺激を生んでいると思います」
良い変化があるなかで、採用面では課題を感じることもあるそう。
「インターネットだけで商売をしてきたから、うちの会社は地元での知名度が低くて。すごくいいものをつくっている自負はあるのに、伝えきれていないという課題があります」
「自分たちの仕事を知ってもらうことによって、地元で就職、転職をするときの選択肢の一つになりたい。こういう田舎にも、家具や木工が好きな人って絶対にいるはずなんですよ」
岩間さんが強くそのことを意識したのは、スタッフと話していたときのこと。
会社から車で40分くらいの地元から通う、ある男性スタッフは、木工に興味があったものの働き先がなく、ものづくりの仕事を諦めかけていたそう。
「でも、たまたまうちを見つけて。『こういう会社があってよかったです』と言ってくれたんです」
「手を動かしてかたちづくったり、自分の感性を反映させる仕事をしたいと思う人たちに働く場を提供できたら、俺としてもうれしいです」
岩間さんの言葉からは、一緒に働く人のことをよく考えているのが伝わってくる。
けれども少し前まで、組織に一体感を出すためにはどうしたらいいかと悩んでいたという。
「自分がこうあるべきだと思う仕事のレベルを、スタッフにも同じように求めて頑張らせていたんです。組織が大きくなるなかで、それではダメなんじゃないかと思うようになって」
状況を変えるため、それまで関心がなかった経営セミナーに参加してみたり、社内の人事評価制度を整えたり、スタッフ全員が参加して話し合うオリエンテーションをやってみたり。できることから取り組んでいった。
特に大事にしているのは、コミュニケーションをとること。
意思の疎通がうまくいっていないと思ったら、理解し合えるまでとことん話す。ときには2時間もかけて話し合うこともあるという。
どうして岩間さんはそこまでするんだろう。
「俺が思うのは、うちの仕事や考え方を理解して、共感してくれる人と一緒に働きたいということ。お互いの価値観を尊重し合える関係性でいたいんです。そのためには、会社の魅力を上げていくしかないじゃないですか」
仕事に対する考え方という意味では、広報の仕事をふくめ、自ら考え、答えを得ていくものが多い。
「もし仮に1から10まで教えてしまったら、全部型にはまった個性のない商品だらけになってしまう。うちの会社はそれをよしとしていません」
「自立していて主体性のある人。もっといえば自分の人生を生きている人と一緒に働きたいですね」
つづいて話を伺った広報スタッフの方たちからは、主体的な働き方が伝わってきました。
下馬場怜奈(しもばば・れな)さんは、商品についてのライティングや、印刷物・WEBのバナー制作などデザイン関係を担当している方。働きはじめてもうすぐ1年が経つ。
前職では、カタログ制作のリーダーを任されていた。
「クリエイティブな仕事ではあったけれど、デザイナーというよりディレクターのような役割で。もっと自分が0からかたちづくる仕事がしたいと思い、転職を決めました」
そのころ、日本仕事百貨でラフジュ工房の広報スタッフ募集記事を見つける。
両親の影響でアンティークのものが好きだったこともあり、応募したんだそう。
入社後すぐに任されたのは、会社案内などのカタログ制作の仕事だった。
「さっそくこんな仕事をやらせてくれるんだ!という驚きがありました。それに、コーポレートカラーを使うこと以外は君が考えていいと言ってもらって。楽しくて楽しくて」
「考えるのもつくるのも大変ではあるんですけど、自由に仕事をやらせてもらえているのをこの1年ずっと感じていますね」
ときには、こだわりが強いことが悩みの種になることも。
「展示会にいらっしゃったお客さまに、オリジナルのノベルティをプレゼントしようという話が出て。レーザー加工で模様をつけたコースターや透し彫りした瓶をつくろうと決まったんです。そのデザインデータを私がつくることになって」
「遠いところから足を運んでくださったお客さまが、たとえお気に入りの家具が見つからなかったとしても、少しでもうれしい気持ちになってもらえるようなクオリティの高いものをつくりたい。そう思って、力をいれていました」
ただ、力みすぎたのか、代表の岩間さんが求めたスピード感よりも、時間がかかってしまったんだそう。
質の高さと仕事の速さとのバランスを指摘された下馬場さん。それでも、自分が納得できるものをなんとかつくりたい。
悩んだ結果、思い切って岩間さんに自分の考えを伝えてみることにした。
「どういう考えでつくっているかをちゃんと伝えたら、わかってもらえて。すごく悩んでいたけれど、話し合える環境でよかったと思った出来事でしたね」
自分の意見がすべて受け入れられるとは限らないけれど、まず伝えてみる。
それができるのは、自分の考えを持って仕事をしているからだと思う。
最後に紹介するのは、高瀬唯那さん。昨年4月に新卒で入社し、現在は主にメディアサイト「ANTIQUE LOG」の記事を書いている方。
高瀬さんは小学校のときから詩や文章を書くことが好きだったそう。好きなことと仕事を近づけたいと、大学時代にはコピーライター養成講座に通った。
記事はどんなふうに書いていくのだろう。
「アンティーク家具をほしいと思う人はどういう暮らしをしているんだろうと想像します。類似した商品やコーディネート写真をたくさん見て、どういう表現をしたら魅力を届けられるか考えながら書いていきます」
暮らしを想像する。
その考え方は、最近書いた記事にも表れているという。
「世界3大高級ブランドの一つであるイタリアのアルフレックスというブランドの家具の買取記事で。自分には全然なじみのない世界だったけど、アルフレックスが好きな人ってどういう人なんだろうと想像しながら調べていきました」
ほかのブランド家具と特徴を見比べたり、口コミを読んでいくなかで、アルフレックスは、品質がよくベーシックなデザインの家具だとわかった。
「だからこそ、ものを長く大切に使うお客さまが多いのかなと思って。そういう方が大切にしてきた家具とお別れするとき、きれいに修理して、次の持ち主へと届けていくことに共感してもらえるように意識しました」
ANTQUE LOGの記事は、1万字ほどの大作になる。商品の種類や値段、コーディネートの仕方などいろいろな要素があるなかから、お客さまにとって何が必要な情報かをライターが自分で考え、自由に構成して書いていく。
「試行錯誤しながらまとめていくのが、いちばん難しくもあり、楽しいところですね」
商品の紹介文を書く仕事も、どういう言葉で表現をしたら商品の良さが伝わるのか、慣れるまでは迷うこともあるかもしれない。でも、これまで蓄積されてきた事例を見たり、ほかの雑誌などを参考に養っていくことができる。
今は2時間以内に書くというルールを設けてリズムよく書いているそう。事務所を見せてもらったときも、もくもくと集中して仕事をしている姿があった。
最後にどんな人と働きたいか、聞きました。
答えてくれたのは下馬場さん。
「柔軟に意見を言ってくれる人だといいですね。それから、休日にほかのアンティークショップにいったり、骨董市や古いものが好きという人が多いので。普段からアンテナを張るのが好きな人だと、馴染みやすいと思います」
好きなアンティークのなかでも、ラフジュ工房の家具はきちんと直されていて、きれいなんだと、嬉しそうに話してくれたのが印象的でした。
自信をもって働く人たちがいるこの工房には、いい空気が流れています。
(2017/10/12 後藤響子)