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毎日働くなかで、ふと自分の仕事について考えることがあります。なんだか物足りなさを感じたり、どこか新しい場所で力を試してみたいと思ったり。自分が本当にやりたいことはなんだろうと、考えることもある。
そんなふうに感じるとき、もしかしたら、仕事を通じて「成長できた」と思える体験を必要としているのかもしれません。
株式会社温泉道場は、地域に昔からあるお風呂屋さんをリノベーションして、個性的な温浴施設として生まれ変わらせ、運営を行っています。
地域に雇用を生み出しながら、新たなお客さんを地域に呼び込むことで、地域活性に貢献する温泉道場のビジネス。お風呂屋さんとカフェを融合させた「おふろcafe®」ブランドは、2018年のGOOD DESIGN賞にも選出されました。
今回、温浴プロフェッショナル職とデザイナー職の募集を行います。
温浴プロフェッショナル職は、店舗勤務が中心。最初は接客からはじまり、運営責任者として予算の管理やスタッフの採用、販促活動までを自身の裁量で行います。いずれは新規施設の立ち上げに携わる可能性もあります。
デザイナー職は、各店舗の販促物や会社の広告などの、グラフィックデザインを主に担当します。ブランディングやコンセプトを考えるところから関わるので、広い意味でのデザインに取り組むことができると思います。
どちらの職種でも、いずれは独立したいと考える人にとって、多くのことを学べる環境だと思います。
今の自分を超えて成長したいと考える人に、知ってほしい会社です。
埼玉県ときがわ町。JR八高線の明覚(みょうかく)駅を降りて、バスに乗る。
この辺りは車が主な交通手段なようで、歩行者がほとんどいない。少し寂しさを感じつつバス停から歩いていくと、10分ほどで「ときたまひみつきち COMORIVER(コモリバ)」に到着。
木の温もりを感じるカフェスペースで、最初に話を聞いたのは採用担当の齊藤さん。
「ここはもともと、ときがわ町が所有する古い集会所でした。温泉道場の施設なのに、温泉はないんです(笑)」
温泉道場がリノベーションをして、今年の7月にオープンしたこの場所。グランピングやバーベキューなどのアウトドアが楽しめるスペースや、ゆったりとくつろげるカフェが備わっている。
たしかに、今まで温泉道場が手がけた温浴施設のイメージとは少し違うように感じる。
「カフェには地元の方がたくさん来てくれていています。もともと、ときがわ町にはランチができる場所が少なかったので、こうやって利用してもらえる場所になっているのはうれしいですね」
現在、温泉道場が展開する施設は全国に8店舗。最近では、温浴施設以外の新しい業態や、フランチャイズでの展開も増えてきた。
「この場所のように、温泉道場の手がける施設は、お風呂以外にもどんどん広がっていくんじゃないかなと思います」
齊藤さんは、いくつかの会社に勤めた後、パートスタッフとして温泉道場に入社した。
社員になってからは店舗の副支配人を経て、現在は事業推進・管理本部に所属。採用や広報、研修旅行の企画やフランチャイズ案件など、さまざまな仕事に関わっている。
今までの会社と比べて、温泉道場はどんな会社だと思いますか?
「ちょうどいい放任主義ですかね(笑)。どの仕事も、『これをやって』とは言われるけれど、その進め方は完全に自由。私は細かくやり方を指示されたら嫌になっちゃうタイプなので、これくらいが好きですね」
自由に考えていい反面、どんな仕事でも最後まできちんとやりきる責任感が大切になるそう。
専務執行役員の宮本さんも、温泉道場の特徴は「自由さ」だと話す。
「一般的な会社って、上司の指示のもとに仕事をしますよね。失敗したら怒られるから、そうならないように進める。でも、うちの場合は逆で、上司に失敗させられるんです」
失敗させられる?
「そう。失敗したら、社長の山﨑に『やると思ったんだよねえ』って言われます(笑)。失敗が許容されているというか。失敗することで、次にどうすればいいかを主体的に考えるから、きっと成長できるんですよね」
宮本さんは、将来経営者になりたいという思いを持って4年前に入社。最初に配属されたおふろcafé utataneでは、支配人として働いた。
「現場の仕事からはじまり、販促活動や人事、経理業務まで一通り関わりました。自分で考えて予算を使うなかで、余計なものを買ってしまったこととか、お金をかけたのにうまくいかなかった販促とか、たくさん失敗しましたよ」
たとえ失敗があっても、店舗では新しいことに取り組み続けるのが大切なんだそう。
「店舗は変化し続けないと、お客さまに飽きられてしまうんです。だからいろいろな実験をして、失敗と成功を繰り返しながら、ビジネスの種を蒔いておくんです」
「やってみなきゃわからないので、失敗してもいいからまずやってみる。それがうちの会社のやり方ですね」
温浴プロフェッショナル職として入社する人は、当時の宮本さんのような働き方をすることになると思う。経験にもよると思うけれど、自分の裁量で決められることは多そうだ。
「うちの会社はセクションもはっきり分かれていないし、社長の山﨑をはじめ、上司は『やりたいならやってみれば?』っていうスタンスなので、川上から川下まで全部自分の責任でやることになります。誰かのせいにはできないし言い訳が効きません」
「だから、ここまでが自分の仕事、と線を引かないでほしいんです。会社全体をひとつのチームとして見て、そのなかで自分がどう動けばいいのか考える。チーム全体で勝負しているという意識が必要ですね」
宮本さんが担当しているフランチャイズの新規開発でも、自ら現地に出向いてリサーチやヒアリングをし、開発プランを立て、スタッフの研修まで一緒に行うそう。
地域の特徴や風土に合った事業形態を考えるからこそ、地域のニーズと合った施設が展開できる。
「僕たちは『地域の経済圏の中で、お金を回す一旦を担わせていただいている』っていうイメージでやっています。その土地やそこに住む人たち、もともとの施設に訪れていたお客さまが求めていることを考えなければうまくいきませんから」
「場所から人との関係性まで、本当の意味で地域をデザインしたいっていう人がうちの会社には向いているんだろうなと思います」
最後にお話を聞いたのは、デザイナーの武藤さん。これからデザイナーとして入社する人と共に働く方。
「温泉道場に入る前は、ずっと東京のデザイン会社で働いていました。やりがいはあったんですけど、毎日夜中まで働く生活をしていて、『人生これでいいのかなあ』って思っていたんですよね」
そんなときに日本仕事百貨で温泉道場の募集記事を見つけ、約2年半前に入社した。現場研修も、担当するデザインの仕事も、最初はすべて新鮮で面白かったそう。
けれど、すぐに困難にぶつかってしまった。
「おふろcafe bivouac(ビバーク)をつくるときに、デザイナーとして開発に関わったんですけど…、仕事が全然進まなかったんです」
デザイナーとしてのキャリアはあったのに、どうしてでしょう?
「それまでのデザインの仕事は、すべて素材が準備された状態ではじまっていました。相手先の担当者から送られてくる文章と画像を使って、決められた納期通りにつくっていくだけでした」
「でもここでは、コンセプトやターゲット、文章も構成も自分で考えて、スケジュールも自分で管理しなくちゃいけない。必要なら自分で現地に出向いて写真も撮る。何もないところから自分ではじめなきゃいけなくなったとき、どう動けばいいのかがわからなかったんです」
結果、進めている仕事がどれも納期に間に合わないという状態になってしまった。そのときは、当時の上司だった宮本さんがスケジュールを管理してくれて、乗り切ることができたんだそう。
「そのころが一番つらい時代でした。社長の山﨑と話して、そこから仕事のやり方を学ぶために店舗配属になりました」
店舗では、現場の仕事とデザイン業務に並行して取り組んだ。1年かけて仕事の進め方を覚え、現在のデザイン室へ。今は、各店舗所属のデザイナーが制作した販促物や、会社としてリリースする広告など、デザイン関係のすべてを監修している。
当時、店舗で働いた経験は、今も生きているという。
「僕らがつくるものは、デザインがかっこよければいいというわけではなくて、店舗のスタッフやお客さまが使うためにあるものなんです。だから現場のことを考えないと、不都合が生まれてくるんです」
たとえばお客さんに渡す割引券などのチケット。スタッフが毎回、有効期限のスタンプを押すので、そのスタンプのサイズに合ったチケットをつくらなければ、ただ使いにくいだけのものになってしまう。
「インハウスのデザイナーだからこそ、実際に使うスタッフやお客さまの気持ちになってつくることができる。使いづらかったらすぐに変更できるし、こんなものがほしいっていう要望にもすぐ応えられるんです」
これから入る人も、まずは数ヶ月店舗に入って、お客さんや業界のことを学んだ上で、デザイン室に加わることになる。
「すぐにお客さまの反応もわかる環境だし、自分の出した広告の効果も見えやすいので、実験を繰り返せると思います。トライアンドエラーで成長していくことを許してくれる社風なので、どんどん挑戦してほしいですね」
今年の夏、武藤さんは「お砂cafe」という企画に挑戦した。大宮のおふろcafe utataneに砂を運んで、砂浜をつくったんだそう。
「モデルも撮影もスタッフでやって、『埼玉には海はないけど砂浜をつくりました』ってちょっとふざけた広告を打って」
「ちょっとバカっぽい広告ですよね(笑)普通の会社はやらせてくれないと思います。うちは、経営陣が面白いクリエイティビティを求めていて、そこにお金も使ってくれるので、デザイナーにとってはありがたい環境ですね」
武藤さんは、新卒のデザイナーに向けた勉強会の実施や、新規施設のインテリア監修も行っている。最近は、山﨑社長からラジオCMの脚本執筆を任されたんだとか。
「今までやったことがない多種多様な仕事が、自分の守備範囲を超えてどんどん来ると思います。それを楽しみながら、『失敗してもいいからやってみよう」って気持ちで取り組んでいってほしいですね」
取材の後、「温泉道場の仕事は、すべて“デザイナー”になるのではないか」と3人が話をしていました。
温泉道場というブランドをデザインすること、社内外の人間関係をデザインすること、地域コミュニティをデザインすること。
ここで得られる成長の機会を掴んで、自分のものにしていくことは、自分のキャリアや人生をデザインすることにもつながるのかもしれません。
(2018/09/21 増田早紀)