求人 NEW

五感を研ぎ澄ませ!
生きものにも、地球にも
フェアなものづくり

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

「世の中で間違ってると思うことに対して、違うって素直に言える場所がここにあるから。不器用でいいので、自分のことを理解して、チームと協力しながら、生きやすく暮らしやすく。一緒に働くおもしろい仲間、変わり者、新種と会えるのをたのしみにしてます!」

正しいと思うことを、自分の手で確かめる。

やってみるから、次にやるべきことが見えてくる。

そうやって、ものづくりに向き合い続けている人たちに話を聞きました。

tamaki niime(たまきにいめ)は、やわらかな肌触りのショールや服を中心につくってきたブランドです。

特徴はふんわりとした生地と鮮やかな色彩、そして作品はどれも一点もの。

コットンを育てるところから、糸を紡ぎ、染め、織り、縫って販売するところまで。すべてを自分たちでできる体制を整え、ものづくりに取り組んでいます。

ほかにも農業をしたり、ヒツジやヤギ、馬を育てたり。自分たちが正しいと思えるものづくりを追求するため、常識にとらわれず、さまざまなことに挑戦し続けています。

今回募集するのは、自分たちのことを伝える人、そして動物たちが幸せに暮らせる環境をつくる人。

どの部門も未経験でかまいません。大切なのは、常識にとらわれないこと。そして、まずは手を動かすスピード感です。



tamaki niimeの拠点があるのは、兵庫県西脇市。

連絡をもらって、そこから車で15分ほど離れた森へ向かう。

少し登っていくと、あちこちで作業をしている人の姿が見えてくる。

「ここはね、もうすぐキャンプ場になるんです。知り合った人が、たまたま近くで宿泊できる場所をつくるって話を聞いて、すごくうれしくって。今日はみんなで石拾いのお手伝いに来てます。やっぱり外で働くって、気持ちいいよね」

出迎えてくれたのは、作業したあとのサウナを楽しみにしているという代表の玉木さん。

「これまでは、西脇をおもしろくするには自分たちが全部つくらなきゃいけないんだ!周りはみんな敵だ!って思ってたんです。だけど最近、同じ意識を持っている人たち、相談し合える人たちが増えてきてね」

「そんな人たちの紹介で、今度、鎌倉と京都にお店を出すことになりました。お店をつくっていく人が必要なので、また人を募集します!」

20年前、播州織の職人さんにほれ込んで西脇にやってきた玉木さん。

自分たちで糸を染め、布を織り、縫うことで唯一無二の作品をつくり販売。効率よりも、ほかにない肌触りと着心地にこだわってきた。

素材についてよく知ろうとコットンを育てたり、ヒツジを飼ってみたり。手を動かし確かめながら、ものづくりを続けている。

あたらしい店舗の準備と並行して、西脇では紡績をはじめる場所の整備が進んでいるそう。

「自分たちで紡績をする準備も整ってきたし、動物さんも増えてきた。本当に素材をつくるところから、糸にして、染めて、織って、縫製して、販売するっていう一本筋がようやく通るんですよ。純国産がいよいよ動き出したって感じでワクワクするよね」

これまでもコットンやウールを購入したり、糸を仕入れたりしながら作品をつくってきた。

なぜそこまで、自分たちでつくってみることにこだわるんだろう。

「アパレル業界に入ったとき、見た目や上辺の装飾にすぎないものは、本当の意味で元気になるものではないなって、モヤモヤしたんですよ。仕入れるものって透明性がないでしょう」

「どこの誰が、どうやって、どんな想いでつくったものかわかると、自分がやっているものづくりが理解できる。ありがとうって受け取って、つくって、お客さまに届ける。それを着た人が元気になる。そうやって、循環させていくのがうれしいなって」

先に糸を染めてから織る播州織は、シャツやハンカチの生地として広く利用されてきた。世の中のニーズに応え生産性を重視した結果、やわらかさを出す技術や育まれてきた価値観など、失われてしまったものもあるという。

「なにがいいのかって、自分たちでやってみないとわからないでしょう。私たちはそこを実際に手を使って確かめて、いいと思うものを選べるようにしたい」

「現場で機械を改良してみたり、アイデアを出し合ったり、組み合わせを変えたりしながら。試行錯誤していくのがたのしいのよ。そうやってものづくりをしていくためには、短期決戦なものづくりではなくて、世代が変わっても生み続けられる仕組みに変えないといけないし」



tamaki niimeでは、最近「地球のゆがみを整えるネイチャーブランド」という言葉で自分たちを表現しているそう。

その言葉を編み出したのは、玉木さんとともにtamaki niimeを設立し、続けてきた酒井さん。

「今って資本主義、商業的なことの限界が見えてきているじゃないですか。原点回帰してみると、僕らは自然の一部であって、人間以上のなにものでもないわけですよ。動物さんにも地球にも、フェアにビジネスをして生きていきたいよねって思うんです」

社会をじっくり観察しながら、会社の方向性を考えることが多いという酒井さん。

「ネイチャー」という言葉からは、ゆったり穏やかな雰囲気を思い浮かべがちだけれど、tamaki niimeのものづくりは、決してスピードを緩めることなく続いている。

「生きている時間が限られているなかで、考えるよりも動かないと。モヤモヤしているひまがあったら、まず動く。動かないと、次にやるべきことなんて見えてきませんから」

「別にむずかしいことではなくて。不器用でいいから、自分ができること、得意なことをどんどんやっていく。動いて、自分の感覚を研ぎ澄ましていく人が増えると、総合的な力も上がっていくはずなんです」



そんな酒井さんの話を「そうなんですよね…」とうなずきながら聞いているのが、販売チームをひっぱる田中さん。

物腰がやわらかく、話しやすい雰囲気の方。tamaki niimeと出会ったのは、百貨店でアシスタントバイヤーとして働いていたときのこと。

「すごいショールがあるって聞いて、触ってみたんです。めちゃめちゃやわらかくて。今まで触ったことのない感触が衝撃でした」

その後、神戸に自分のお店を開き、出会ってきた作家やものづくりが好きな人たちが集まる場所をつくってきたそう。

tamaki niimeとは、ときどきポップアップイベントで販売の手伝いをし関わり続けてきた。

「それがすごく楽しかったんですよね。自分でお店をやるのはすごく自由だけど、誰かと話しながら成長していく機会がなくて。tamaki niimeのスタッフってとにかく話すし、協力するんです。それがめちゃくちゃ居心地がよくて」

ポップアップでお店をつくるときには、染めや縫製など、ふだんは制作をしているスタッフが手伝いにいくこともある。

販売の常識にとらわれない意見が飛び交って、結果としていいお店ができていくことも多いそう。

「いろんな人の技術やアイデアを組み合わせるからこそ、あたらしいものが生まれていく。人と人のかけあわせで、ものすごいものが生まれるっていうのをここなら経験できると思ったんです」

今も自分のお店を続けながら、tamaki niimeの販売チームに関わり続けているの中心として働いている田中さん。

西脇のほかに、全国各地で開催するポップアップのイベントにも出向きながら、tamaki niimeの作品をたくさんの人に知ってもらうために動き続けている。

「個性的な人が多いので、生きかたも考えかたも違います。ぶつかることもあるけど、みんな正直だからおもしろいし、理解したいなって思えるんです。最近はお客さまのなかにも、スタッフのファンだからこの作品がほしいっていう人がいたりするんですよ」

「私はここに入って、常識に縛られていたと気がついて楽になったんです。以前はお客さまに似合うものを提案してよろこんでいただければいいと思っていたけれど、今はもっとブランドの奥のほうを知ってほしい。お客さまにも仲間になっていただけるように、たのしく伝えていきたいなって思ってます」



SNSでは毎日、作品のことや自分たちの考えかたを発信している。

コツコツと伝えてきた情報を受けとって、ここだ!と思って働きはじめたのが、動物たちの担当をしている石倉さん。

tamaki niimeを知ったのは、専門学校で服飾について学んだあと、就職について考えながら日本仕事百貨をみていたとき。

「動画で酒井さんと社長が考えを発信しているのをみて、自分がこうあるべきだと思う会社のありかたと100%マッチしたんです。この人たちとものづくりができたら、すごくたのしそうだなって」

最初は編むチームでニットづくりをしていたものの、自給自足的な暮らしに関心があったこともあり、1年ほど前に米づくりや畑、動物たちの世話をするチームに移動した。

tamaki niimeでは、自分たちでコットンを育ててみようと畑を借りたことをきっかけに野菜や米づくりもスタート。

さらに、ショールの素材になるウールについて知るために、自分たちでヒツジを育てはじめたのが3年前。今ではヤギやアルパカ、馬に犬、烏骨鶏など、20匹ほどの動物たちがものづくりをする敷地内で一緒に暮らしている。

「私が入ったときはヤギ2頭とヒツジ3頭くらいしかおらんくて、これから増えますってときでした。当時は畑仕事を中心に、朝晩は動物にごはんをあげながら働いてたんですけど、事件が起きてしまって」

「1頭のアルパカが、うまく栄養をとれなくて死んでしまったんです。どんどん動物が増えていくなかでキャパオーバーだったのか、それをきっかけにスタッフが4人もやめてしまって」

そのころのこと話を、声をふるわせながら話してくれる石倉さん。

「私はすごくくやしくて。動物さんをこれ以上死なせたくない、ここで幸せに過ごせるようにしてあげたいって、強く思うようになりました」

今、動物や植物のこと担当をしているのは3名のスタッフ。

石倉さんの主な仕事は、食べものを用意して、掃除をして、周りに育つ植物の世話をすること。そしてなにより、動物たちをよく観察して、ちいさな変化を見逃さないようにすること。

「個体によって特徴も違うし、行動も変わってきます。グイグイくる性格だったり、1人で行動することが多かったり。私はただただ見るのが好きだから、ずっと行動を観察しちゃうんです」

「五感を研ぎ澄ましたいなっていう想いがあって。動物さんって人間よりも本能というか、直感が鋭くてお手本になるんです。言葉は使わないけれど、行動でちゃんと示してくれる。みんなが今どういう状態かを感じ取れるかどうかは、この仕事ですごく大切なことだと思います」

石倉さんが働く様子を見ていると、ヒツジのうんちを素手で拾っているのが気になった。

「手でつかんじゃいけない理由がわかんないっていうか。もちろん気をつけないといけないことはあります。だけどいわば発酵した草だし。こうしたほうが早いんですよ」

あたらしく入る人は、道具を使ってもかまいませんか。

「スピードが変わらないなら、その人のやりかたでいいと思います。どんどん経験して失敗して、次に活かそうっていうのは、ものづくりと変わりません。といいつつ、私はもんもんと考えちゃうこともあるんですけどね」

「私、ここに骨を埋める覚悟でいるから、極端なことや重たいことを言うときもあるかもしれません。だけど命に関わることなので、どうやったって重くなっちゃうんです。動物とも、私とも、通じ合える人に来てもらえたらいいんですけど」

手を動かしながら、自分の感覚に正直に生きる。

tamaki niimeのメンバーと働くことにいい予感がしたら、まずはぜひ、話をしてみてください。

(2023/9/7 取材 中嶋希実)

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